八苦

四苦八苦は、一般的に「〇〇〇に四苦八苦する」など「非常に苦労する」という意味で使われがちです。
そんな「四苦八苦」ですが、本来は「仏教由来の言葉」なのです。

仏教での四苦八苦の意味は、現在一般的に使われる「四苦八苦」の意味とは全く異なっています。
本来の意味としては、「人生の避けられない8つの苦しみ」を意味する言葉なのです。

前回の投稿では、最初の「四苦」
「生苦」「老苦」「病苦」「死苦」について書きました。

今回は、残りの4つ「八苦」について書きたいと思います。

⑤. 愛別離苦 (あいべつりく) 愛する人や物と別れる苦しみ
「幸福な時間」の1つに愛する人や物など、愛着を持って接する対象と過ごす時間があると思います。
しかし、その愛する何かが突然この世から失われた事を想像してみてください。
その愛が深ければ深いほど、それを失った時の苦しみや絶望感は非常に大きくなると思います。
例えば、愛する人が別の誰かに奪われたなら、大きく傷つくばかりではありません。
恨みや憎しみなど、普通なら感じたくも無いような苦々しい感情が溢れ、人生は苦しみに覆われます。
しかし、その愛する人や何かとはいつかはどんな形であっても必ず別れる時はやって来ます。
この世には、一生存在するモノなんてあり得ません。
「愛別離苦」の苦しみは、愛する何かがある限り、逃れる事は出来ないのです。

⑥. 怨憎会苦 (おんぞうえく) 会いたくない人や物と会わなければならない苦しみ
誰でも、「この人だけは許せない、思い出しただけで腹が立つ」という人がいるかと思います。
普段の生活でも、「どんな教育を受けたら・・・」と感じるような酷い振る舞いをする人と出会ってしまい、無性に腹が立つといった経験をした事があるかもしれません。
完全に1人で生きる事は、不可能な現代社会で、憎い人や腹立たしい人との出会いは避けたいと願っていても、突然やってくる。
そう簡単には、避けられるものではありません。

⑦. 求不得苦 (ぐふとっく) 求めた物が得られない事の苦しみ
いくら努力しても、求めた物の全てが絶対に得られるという事はありません。
世の中は、全て自分の思い通りに回っているものではないのです。
努力して手に入れられるものもあれば、「人事を尽くして天命を待つ」
そんな言葉もあるように、人の力だけではどうにも出来ない事もあります。
求める物への気持ちが強ければ強いほど、それを得られなかった苦しみは大きくなるのです。

⑧. 五陰盛苦 (ごおんじょうく) 肉体あるがゆえの苦しみ
五蘊 (ごうん) とは、人間の「心」と「体」の事を意味しています。
この「心」と「体」が思い通りにならない事で苦しみが生まれます。
私達の持つ意識 (心) と、身体は「自分のモノ」と思って生きています。
しかし「自分のモノ」であるにも関わらず、「自分の思い通り」になりません。
どれだけ気を付けていても、突如として病気になったりします。
どれだけ気を付けても、老いて死んでいくのです。

「五陰盛苦」とは、肉体あるが故に苦しむ事で、これまでの7つをまとめたものなのです。

今回も、4つの苦しみについて書きました。
やはり、どれも当てはまるのではないでしょうか?

仏教は、お釈迦様が2600年も前に説かれた教えです。
その当時のインド人も、現代の日本人も、苦しみは「共通」するものだと思いますね。

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