小寺の論壇:フォトストレージ対決。GoogleとAmazon、写真を探すなら?
毎週小寺信良が、知財、IT産業、ネット、放送、買ったもの、ライフハックなど、コデラの気になるところを語ります。
写真のバックアップというものは、10年ぐらいまでは本当に課題だった。当時Google PhotoもAmazon Photosもない。Dropboxはサービスを開始していたが、これはデータの共有と同期に使うというもので、バックアップとはまた違っていた。
撮りためた写真は、ローカルの大容量HDDにバックアップするしかなかったが、相手はHDDだ。もしもの時の備えて定期的に光ディスクに焼くなどする必要があった。とは言え、光ディスクも未来永劫読み出しできるものではなく、結局のところ本人が頑張ってもどこかに限界がある、そういうものだった。
2013年にAmazonの自動アップロードサービス「Amazon Cloud Drive Photos」が公開された。2015年にはGoogle PhotoがGoogle+から分離され、独立したサービスとなった。
この頃から、新たにパソコン内に取り込んだ写真は自動で同期させる運用に切り替えていった。1つのサービスに依存するのは危険だが、2箇所にアップロードしておけばどうにかなるだろうという考えである。
サービスの安定性も見えてきたところで、これまでローカルHDDに保存していた写真全部を2つのクラウドにアップロードした。HDDは一応そのまま残してあるが、新規のバックアップは行なっていない。2017年頃から、写真はすべて両クラウドへの自動バックアップだけで済ませている。
デジタルカメラの普及は2000年よりちょっと前ぐらいだろう。筆者の手元にある一番古いデジタル写真は1999年のもので、当時フジフイルムのFinePix 2700で撮影したものであった。そこから現在まで、写真枚数はおよそ10万枚、容量にして81.6GBとなっている。
家族写真だけならここまでにはならないと思うが、職業柄イベントや展示会、また貸し出された製品の写真などが資料として大量にあり、必要に応じて引っ張り出さなければならない。「家族の思い出がスライドショーで出てくる」みたいな機能は特に期待しておらず、特定の写真を探す必要があるわけだ。
写真には日付がメタデータとして付いている。最低限、撮影した年月が思い出せれば探せるのだが、いつ撮ったか分からない場合は、探し出すのは大変だ。
だが両サービスにはAIによる写真解析機能がある。これを駆使して写真を探せるわけだが、両サービスには能力の違いがあって、なかなか興味深い。今回は両方のサービスを、AIによる写真解析という視点で比較してみたい。
■ホーム画面のUIは…
まず、両サービスのホーム画面を見てみよう。ここが特定の写真を探すスタートラインになるわけで、両サービスの性格が出るところである。
Google Photoの場合は、左側のエリアがシンプルで、すべての写真が時系列でならぶ「フォト」がある。ここで表示される写真を下にスクロールしていくと、過去の写真にさかのぼれるのだが、特定の日付に行きつくまでに時間がかかる。スクロールしていると、右側に時間軸が表示されるのだが、もたもたしていると消えてしまう。再度表示させるためにはまた写真をスクロールしなければならず、このあたりのインターフェースはイマイチに感じてしまう。
Amazon Photosも同じく左側のエリアで写真区分があるが、ここには撮影日として西暦が常時表示されており、そこをクリックすると月別の写真にアクセスできる。撮影年が分かっている場合や、何年かは分からないが4月ということは分かっているような場合には、こちらのほうが探しやすい。
AIによる写真解析は、人物ごと、場所ごと、被写体の要素によって写真を分類してくれる機能だ。場所はGPS情報があれば正確にわかるが、そうでない場合は写り込んだランドマークなどを参照して分類する。
まずは人物分類で比較してみる。双方とも、人物の分類に関しては間違いは少ない。兄弟姉妹で顔が似ている場合、子供の頃の写真など、親でさえ「これどっちかな?」と迷うこともあるが、AIはそういうところは間違わない。赤ちゃんから大きくなるまでの顔の変化をそれほど間違えないというのは、なかなか大したものである。
Google Photoの人物分類で優れているのは、動物に対応している事だ。例えばネコはあらゆるネコが出てくるわけではなく、特定の模様の動物を分けているので、自分のペットの写真を一覧することができる。ただ、似たような柄のネコがいた場合は、紛れ込む場合もある。
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