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小寺の論壇:より具体的な議論になってきた、AIの学習利用

知財、IT産業、ネット、放送、買ったもの、ライフハックなど、コデラの気になるところを語ります。


教育界は今、AIの出現によって大きく動き始めようとしている。英国ではすでに教員が授業計画の作成や採点にAI技術を活用しており、機会も課題ももたらすものという認識を示した。

日本においても、文科省がAIの取り扱い指針原案をまとめているという情報もある。夏休み前には公開したいとあるが、指針は有識者会議を経て作成されるという。だがこうした分野こそ、パブリックコメントにかけて有意義な意見を取り込むべきではないだろうか。

一方で長時間労働が問題になっている教務を、AIによって効率化できないかという議論や研究も始まっている。

息子は進学校と言われる公立髙校に通っているが、PTAの委員会で夜6時半ぐらいに学校に行くと、職員室外の廊下に置いてある長机の上で、先生が生徒達の大量のノートを前に採点していたり、勉強のために居残りしている生徒の質問に応えたりしている。ミーティングが終わった8時ごろに通っても、職員室の明かりが消えていることはない。

九州地方特有の「朝課外」も週に3回あるので、曜日によっては朝7時ごろから働いている。生徒の将来のためとはいえ、12時間ぐらいの動労が常態化しているのでは、先生のなり手がいなくなるのは時間の問題だ。

こうした先生の過剰な労働を削減するため、公務のIT化が急務とされてきた。それでも遅々として進まなかったが、ある意味GIGAスクール構想にて強制的にIT化されることで、ようやく公務のIT化も多くの学校で可能な環境が整った。

教えることは得意でも、授業計画や部活動計画の作成などの書面作成は苦手な先生もいる。こうした苦手作業に時間が取られるわけだが、そこをAIが助手として手助けしてくれるなら、毎日1〜2時間の時間短縮は見込めるだろう。

ただ、個人ごとの指導分析については、個人の成績をAIに入力する必要がある。名前や出席番号などで特定個人と紐付けをしなければ、それは個人情報ではなくなるが、元データにはそうした情報もくっついているので、コピペ操作を誤ればドカッと情報が流出する可能性もある。

文科省の取扱指針に沿って運用、という流れになるだろうが、「○○に注意せよ」みたいなものだと役に立たない。どうすれば○○に注意できるのかについて、まずは先生がAIとは何かを学ぶ必要がある。ただでさえ忙しい先生に、そこまで求める事ができるだろうか。

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