【概説】CULTAの農業変革構想「未来の適地適作」とは何か?
このnoteを読んでいただき、ありがとうございます。
株式会社CULTA(カルタ)代表の野秋です。
このnoteでは、CULTAが持つ農業変革構想の1つ「未来の適地適作」について、簡単にご説明します。
自らを「農業先端技術の会社」ではなく「農業変革構想の会社」と定義するCULTAにとって、「未来の適地適作」は事業の基盤となる重要な構想の1つです。
ぜひ、概要をご理解いただきたいです。
通じなくなってきた「農業の常識」
イチゴやサツマイモといった園芸作物の生産には「適地適作」という原則があります。「その土地の気候にあった作物を作る」のが、これまでの常識でした。
しかし、激しい気候変動、社会変動が農業を襲い、これまでの当たり前が通用しない時代へと突入しています。
気候変動
2023年、日本に住む人々が身を持って感じた酷暑・残暑は、農作物に大打撃を与えました。
【イチゴ】
最初の開花の遅れにより、収穫の遅れが多数発生。結果、クリスマスのピークシーズンに出荷が間に合わず、数多くのイチゴ農家が経済的損害を受けた。
【リンゴ】
リンゴは栽培適地が北上中。現在、リンゴの名産地・長野県でも近い将来、リンゴの栽培が難しくなる可能性さえもある。
こうした気候変動による農業生産への実害から
品種改良、高速育種を強みに持つCULTAには
「耐暑性作物の育種」に関する問い合わせが急増しています。
社会変動
人口動態や所得動態、地政学的リスクなどの理由からグローバルにおける農産物ニーズの変化が激しくなってきています。
タイでは、日本産イチゴは、中国産の8倍の輸入単価にも関わらず過去5年市場規模がCAGR(年平均成長率)56.5%で成長しています。
人口・所得動態の変化から、東南アジア都市部の消費力が旺盛となり高品質なフルーツ需要が急増。
その機会を逃さないために、CULTAでは輸出に適した日本生産向けイチゴ品種の開発を急速に進めています。それは「棚持ちの良さ」を担保すべき、表面の強度を重要視した新品種です。
さらに、ウクライナ情勢を受けて、チャイナリスク回避の動きが活発化。日本の輸入作物の多くは、中国産に依存している現状があります。
国内企業から「日本、他国での生産増強をしたい。どうすればいいか」。そんなCULTAへの相談が急増しています。
気候変動・社会変動に適応する「未来の適地適作」
こうした食と農の未来を大きく左右する気候変動、社会変動に向き合うのが、「未来の適地適作」という構想です。
市場ニーズと地政学リスクを把握し新しい土地での生産に適応できなけば、気候変動に適応できなけば、農業という産業は持続できない。生産者にも、消費者にも、不幸な未来が待っています。
「世界的な大変動に適応した生産ができるか」
農業が直面するこの難題を解く鍵こそ、品種改良です。
市場ニーズ、地政学的リスクから最適な生産地を選び
最適な品種を開発し
最適な生産方法で作る
品種改良を軸にこの3つを実現する農業の在り方が、CULTAの提唱する「未来の適地適作」です。
「未来の適地適作」の実現には、世界中で役割分担をしていた食料生産をより狭い範囲で担う「分散型の生産/供給システム」への転換が必要になります。
この転換をCULTAでは「近産近消」の実現と呼んでいます。
例えば、シンガポールの消費者が、モロッコからはるばる運ばれてきた、新鮮でないのに高価なイチゴを食べる現状が、好ましいと考えません。輸送距離が長い分、地球環境への負担も大きい生産と消費の在り方です。
それならば、CULTAが進めるように、日本・マレーシアで意欲ある農家と専門農協を設立。CULTAが美味しさと安定価格を両立する、高品質な農作物を届けた方が良いと考えます。
さらに技術的な強みを活かして、温暖化する日本でも、高温多湿な東南アジアでも、高い品質をキープできる品種を開発。この品種改良こそが、「近産近消」の鍵となります。
CULTAはまず、イチゴという作物で、アジア太平洋地域の「近産近消」を実現します。
その後は
インド、トルコ、ケニアなど、当該地域外でのイチゴ生産・販売の展開
イチゴ以外の作物への展開
2030年までに世界中で高品質な農作物を生産し、真のグローバルブランドに成長していくロードマップを描いています。
この「近産近消」「未来の適地適作」という考えに、「End to End Model(垂直統合モデル)」を掛け合わせた先で、次世代のプレミアム農作物ブランドが誕生すると考えます。
【参考】
「End-to-End Model(垂直統合モデル)」によるプレミアム農作物ブランドの創出
そのCULTAの独自構想に関しては、下記のnoteをご覧ください。
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