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なぜ病気になるのか?

 「なぜ病気になるか」と考えたことはありますか。私は、医学の勉強をするまで考えたことがありませんでした。今回は病気の原因について話していきます。


1. 病因とは

 まず医学用語として、病気の原因のことを病因と言われています。病因は大きく外因と内因の2つに分類されます。
外因は、体の外から生体に対して障害性に働く病因のことをいいます。
内因は、生体側の何らかの因子で病気にかかりやすい状態になる病因のことをいいます。

2. 外因

 外因は以下の5つに分類されます。

① 生物学的因子

 感染症を引き起こす細菌、ウイルス、寄生虫などが生物学的因子です。
 細菌として、黄色ブドウ球菌や大腸菌、肺炎球菌、結核菌などが存在します。
 ウイルスとして、ここ数年間、世界を脅かしている新型コロナウイルス感染症(COVID-19)や季節性インフルエンザ、胃腸炎を引き起こすノロウイルスなどがあります。
 寄生虫として、マラリアやアメーバ症、クリプトスポリジウム症、アニサキス症などがあります。寄生虫感染症は、衛生環境が改善されたことで現在では減少しています。

② 物理学的因子

 放射線、熱、圧力などが物理学的因子です。原発事故によるものも含まれます。
原発事故で有名なのが、チェルノブイリ原子力発電所事故です。
 チェルノブイリ原子力発電所事故は、1986年4月26日のウクライナ・ソビエト社会主義共和国のチェルノブイリ原子力発電所4号炉で起きました。この原発事故によって大量の放射線が約10日間放出されてしまいました。健康被害として、白血病や甲状腺癌がありました。特に甲状腺癌は、放出された放射性ヨウ素を生体内に取り込まれて、甲状腺に蓄積されたために発癌リスクが上がったとされています。

③ 化学的因子

 毒物を含む化学物質などが化学的因子です。毒物や劇物の他に、内分泌攪乱物質、アレルギーを生じさせる様々なの物質などが存在します。
 私を含め、毒物や劇物を扱う職業の方々は特に注意が必要です。他にも家庭でよく見かけるハイターなども取扱方によっては危険となり得るので、肌に触れないように注意してほしいです。

④ 栄養学的因子

 栄養学的因子には、正の外因と負の外因があります。
 正の外因は、過剰に摂取すると疾患を生じる外因のことです。
代表的なもので、アルコールがあります。アルコールを過度、持続的に摂取することで、肝障害や糖尿病、心疾患、高血圧、がんなどを引き起こすことがあります。
また、過食も正の外因となります。
 負の外因は、欠乏すると異常を生じる外因のことです。日本人では、ビタミン欠乏症があります。特にビタミンD3が不足している人がほとんどです。サプリメントに批判的な私でも、ビタミンD3だけは摂取したいなと思うほどです。ただ、詳しく話しませんが、ビタミンD3とビタミンK2の同時服用が良いとされています。

⑤ 社会的因子

 社会的因子で代表的なものがストレスです。
職場環境、家庭環境による様々なストレスが、生体の内分泌環境などの恒常性を乱すことで疾患を引き起こします。現代社会はストレスの温床で、ストレスを溜め込まない環境ずくりが大切です。ストレスを発散できるように、運動や旅行、趣味などに没頭する時間を設けることが、現代社会を生きるすべての人に共通して言えることです。

3. 内因

 内因は以下の3つがあります。

① 一般的因子

 年齢、性別、人種などが一般的因子に該当します。年齢や性別、人種によってある一定の病気の起きやすさが異なります。

② 個人的因子

 個人的因子には、先天性素因と後天性素因があります。先天性素因の代表例はアレルギーです。後天性素因の代表例は栄養不良です。栄養不足により、免疫力が低下して感染症にかかりやすくなります。

③ 遺伝的因子

 遺伝的因子には遺伝子異常や染色体異常があります。
遺伝子異常症は、遺伝子配列の変化で起こる変化のことを言います。
染色体異常症は、染色体の数や形の変化で起こる病気のことです。
代表的なものとして、ダウン症があります。ヒトの染色体は常染色体が44本(22対)、性染色体が2本(1対)の46本(23対)で構成されています。ダウン症は常染色体の21番目が3本になることが原因で起こります。

 今回は、病気の原因「病因」について話していきました。総論的な解説なので例で挙げている疾患について詳しく話していません。今後、詳しく解説しようと思ってます。
 
では、また。

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