見出し画像

#葛木英と作る舞台脚本ワークショップ に参加して挫折体験をひっくり返してきた話


遊田乃愛(ゆだ のあ)です。
私の人生の中でもトップクラスに充実していた2024年6月の話をします。
約4000文字、読むのに10分弱くらいかかるかもしれない記事です。

よわよわだったころ

書けなかったはなし

数年前にも一度、脚本の執筆に挑戦するため、教室に参加していました。
ですが、そのときには一本まとまった話を書き上げることができないまま、なんとなく挫折をして、なんとなく書くのを辞めてしまったのです。
その後は小説の執筆に戻り「脚本を書きたいな〜」の気持ちは頭の奥底に押し込まれることになります。

当時、小説の執筆経験はあれど、脚本は書いたことがありませんでした。
大体おんなじ感じだよね〜と臨んで痛い目を見たのです。
周囲の皆さんはシナリオの賞レースに応募するために、主に長編を書いていましたが、脚本で長編を執筆したことのない私にはまだ早かったのでしょう。まんまと心が折れてしまいました。
今よりもっと忍耐力もなかった頃ですしね……。

当時の参加者の皆さんは、すでにシナリオの執筆経験があったうえで、さらに内容をブラッシュアップするために教えを乞うことが主目的だったように思います。
「柱って何?」「ト書きって地の文とどう違うの?」から入った私には少しハイレベルだったんですね。

それって全部言い訳でしょ……と言われてしまったら、はいそうですと頷くしかありませんが……。
私はこのときから、ぼんやり「脚本書いてみたいなあ」の気持ちを抱えたまま数年間社会に放流されることになりました。

天啓

Twitter(X)のおすすめ機能は神

5月上旬、こちらの投稿が突如おすすめタブに現れました。
ぬいぐるみと犬と猫とご飯しか流さない私のおすすめタブがこの告知を流してきたということは、そういうタイミングなんだと本気で思い、迷うこともなく申し込みを済ませました。

ヤバい申し込んじゃった緊張する……と思い始めたのは、参加決定の連絡がきた後でした。(感情の発露にややラグあり)

カリキュラム

案内をご覧になっていただければわかるかと思いますが……

カリキュラムが丁寧!!!!!! 体系的すぎる!!!!!!!!!

今回のカリキュラムを通して私が普段感じていた『創作を進める上での弱点』がかなり解消されました。(後述します)
やっぱり基礎は大事なんですね。
そして基礎から教えてくださるプロの方は……国宝……。

ちなみに私は作品作りコースで申し込みをしました!◎

ワークショップ

初日

提示された課題について事前に考えていこう! と思いつつも何もできないまま迎えた初日。

カリキュラムはもちろんのこと、葛木さんは初日に「目標」を立てる大切さを何度も伝えてくださいました。
実際、目標の効果は絶大で、初日からずっとモチベーションを保ち続けられた一因でもありました。

ちなみに私は
・一本の作品を書き切ること
・上演に耐えうる作品にすること
とクオリティや作品全般に関する目標に加えて
・物語を書く勘を取り戻す
といった創作全般に関する目標を立てました。

このとき、仕事が忙しかったり自分の人生に対する迷いだったりで大スランプに陥っていて、昔より全然言葉が浮かんでこない、書きたいものがない状態だったので、ワークショップを通してまた書けるようになればいいな、と願いを込めて目標としました。
結論からいうと、これら3つの目標は全て達成できました!(私の中では)

勘、かなり戻ってきた

2日目の講義からは自分の中でもブーストがかかったのか、書きたいもの、言葉がかなり浮かんできました。
プロットが仕上がった後、本文に着手してから初稿を書き終えるまで、人生で一番筆が乗っていた頃(コロナ禍で家にいるしかなかったとき)くらい早く作業を進められました。

が!

初稿に自分の創作上の弱点がこれでもかというほど詰まっていました。

列挙すればキリがないので特に困っていたところをあげると
①書きたいものがありすぎてまとまらなくなる
②特に書きたいところを優先するせいで会話や流れが繋がらない
③雰囲気セリフに頼ってしまう
④締め切りギリギリになって①〜③を見直す時間がない
といったところでしょうか。

難しくしたくないのに小難しくなる、なんとなく「エモい」のはわかるけど結局何が言いたいの……? という、小説を書いていても出てくる悩みが今回も出てきたわけです。

ここで葛木さんとの怒涛のフィードバック⇔修正タイムがスタートします。

↑すべて葛木さんからいただいたコメントです(内容はないしょ)
この熱量のコメントを全ての参加者さんに送っていました。すごい。

葛木さんと何度もラリーをし、最終稿は第8稿に及びました。多ければいいというものではないと思いますが、一人で書いているととにかく見直しが億劫になります。一度書いたものがもったいなくて削除する勇気が出なくなることもありますね。
昔から締切ギリギリになることが多く「推敲する時間がないよ〜!」「そもそも追い込まれた方が筆が乗るし……」と自分を甘やかしていました。
今回は締切が明確かつ直近であることと、葛木さんからいただいたコメントになんとか応えたい! という気持ちで、何度も自分の原稿を見直すことができました。
ラリーの中で、普段見直すときにどういったところに焦点を当てるべきかもわかってきました。

以前は書いたものを定期的に合評する環境に身を置いていたのですがそれがなくなり、一見孤独な作業に見える執筆も人と関わらないとダメになるな……と改めて感じました。
ワークショップでは一緒に執筆する仲間がいます。実際に皆さんが頑張っている姿を見ながら自分も励まされ、最後まで成し遂げられたと思っています。人間って社会的動物なんだなあって思いました(?)。

そしてどの弱点に関しても、まずは目標の3つ目である「物語を書く勘を取り戻す」が達成されなくては自覚できないものです。
この時点で、私は物語書きたいマンに戻ることができていました。(ヤッタ~!)

最終日

なんとか最終稿を送り、いよいよ最終日です。
この日はついに、実際に俳優さんに演じていただく回でした。

私の作品は花戸祐介さん金子侑加さんに演じていただきました!

11時から15時までびっちり演じ続けなければならないにも関わらず、休憩時間も使って脚本の疑問点や動き方などをご質問くださり、気づくことが多くありました。(動き繋がらないな、動線どうかしてるな、とか。その場でイメージをお伝えしたにも関わらずご対応くださり感激でした)
実際に演じていただいて、セリフはこうしたほうが映えるかも、動きはこういうほうがらしいかも、という、自分がイメージしきれていなかった部分まで明確になっていき、脳みそが喜んでいました。
SEまで入れていただき、私にはもうネオン街も見えていました。ありがとうございます。

当日なぐり書きした絵 事前に用意しておくべきでした

目の前で命が吹き込まれていくキャラクターを見て、もっとこの二人の話を書きたいなーと心から思ったのでした。
15分の脚本の外に二人の過去や未来があるんだ、ちゃんと書かなきゃ自分が満足しきれない! と、書きたくて書きたくて仕方なくなりました。
……というわけで今、こちらの作品の長編版を書いているというわけです。

金子さんのミズイロと花戸さんのムラサキはもう俺のもの……

元々長編にしたいなあと思いながら書き始めたものではありましたが、より意思が固まりました。
感情を整理するために書いた小説パートもあるので、そういうのもまとめて自分用に本にしたいなあ……。

全てのプログラムが終了した後、懇親会に移り、たくさんのタメになるお話や嬉しい感想をいただけてホクホクです。今も思い出すだけで口角が上がりますね……。
おすすめのSF映画や監督を伺いましたので、絶賛視聴中です。もっとSFを食べたい……っ!
人見知りが過ぎて最終日になってようやく皆さんといろいろなお話ができるようになって、寂しさを抱えながら電車に乗りました。終わるんだけど終わらない、不思議な感覚でした。

まだモチベーションが生きている

書くってたのしい!

そうして一ヶ月があっという間に過ぎました。
ワークショップ初日付近に前職退職が決まったり、本文執筆中に引き継ぎ作業があったりで忙しいは忙しかった日々でした。が、久々に体力が有り余って無限に椅子に座り続けられそうなくらい書くのが楽しかったです。(ツケは今来ています。熱が出て寝込んでいました。やっと一時間以上椅子に座れるようになった)

あと、書くのが楽しい間はいいんですよね。
湯水のように言葉が浮かんでくるから。
問題は書けなくなってきたとき、行き詰まってきたときなんですが、それは今回のワークショップで学んだプロットの書き方やキャラクター設定の考え方を活かして自分を助けてあげようと思います。
本文の執筆は確かに楽しいですが、やっぱり未来の自分を救うのはプロットなんですよね……。
飽き性の人間は特に! プロット必須!(はい!)

第2回待ってます

第2回が今回と同じくのカリキュラムで実施されるのであれば、そこはぜひ今回参加できなかった方にお譲りしたいという気持ちもありつつ、しかし一席はいただきたいという葛藤も。
ゼロから作品を書き始めて、実際に目の前で演じてもらったときの、世界が変わる感じをもっとたくさんの人にも味わってほしいです。そして無限に書きたいものが生まれる人生に道連れにしたい。

成功体験って本当に人生変えますからね……。

これからのこと

書くことを職業にしたいなあとあらためて思う一ヶ月でした。
自分のやりたいことって、こうやって物語を考えて書くことなんだと。
筆が乗らなくてもつらつら書けるようになったけど、完成してみるとなんとなく熱量を感じない自分の文章に絶望しながら、どうにか活路を見出そうとしていたときに葛木さんに出会えてよかったです。
ワークショップ、参加してよかった〜!
何度も修正のラリーをいただいたお礼はビッグになって返すしかないので、前に進むのみです。

書きたいことが一生浮かんでくる人間でよかった。
私の頭の中をもっともっと皆さんにおすそ分けしていきたいです。

葛木さん、関係の皆さま、参加者の皆さま、ありがとうございました。

楽しかったー!

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?