思い出は給食と共に ②

四年生 ジャンボ餃子


「みんなー席ついてー!今日は新しいお友達を紹介しまーす!入ってきていいよ!」

先生に呼ばれて入ってきたのは、少し小柄な色黒の男の子だった。

「それじゃあ、自己紹介をお願いします」

「神奈川県から引っ越してきた、廣瀬成海です。よろしくお願いします」

「それじゃあ、なるみくんの席は窓際の1番後ろね。席が近いたくみくんとあかりさんはなるみくんが何か困ってたら助けてあげてください!」

「「はーい!」」



「なるみん!私は遠藤あかりよ!みんなからはあかりんって呼ばれてるから、よかったらなるみんもそう呼んでね!」

「オレは山口拓海だ!たっくんとかたくみくんって呼ばれてるぜ!よろしくな!」

「あかりんに、たっくん、だね!よろしく!」

2時間目が終わって20分休みになったら、囲まれるかな?って思ってたけど、珍しい転校生の存在に戸惑っているようで、みんな遠巻きに見ているだけで、誰とも話せなかった。たっくんとあかりん以外は、まだ誰も覚えられてないけど、2人が校内を案内してくれたおかげで、学校内で迷子になることはなさそうで一安心。

4時間目が終わると、みんなお楽しみの給食!

僕の班は、あかりんとたっくんと今日は欠席のひなちゃんっていう子だ。

「今日の給食は久しぶりのアレか!」

「たっくん、アレって何?」

「なるみんは知らないか。今日の給食はジャンボ餃子なんだ!今日の欠席は1人。つまり予備の2つと欠席分の3つがおかわりのチャンス!ジャンボ餃子は人気が高いから、勝ち取るのが大変なんだよ…お前もジャンボ餃子ジャンケン参加するだろ?」

「うん、美味しそうだから参加したい!」

「なるみん細いのにいっぱい食べるんだね!男の子ってすごい!」

「あかりんは女だけどたくさん食べるだろ!」

「たっくんうるさい!」


そしてついにジャンボ餃子ジャンケンの時が来た…!

「ジャンボ餃子食べる人!既に半分以上給食を食べ終わってて、全部食べ切れる自信のある人だけ参加してください!」

「「はーーい!」」

14人の挑戦者たちが、前に集まってきた。

「人数多いから王様ジャンケンにしようか、じゃあ先生に勝った人だけ残ってねー!いきまーす!王様ジャンケン、ジャンケンポン!」

「「うぉぉおお負けた…」」

「「うっししゃーーー!勝った!」」

勝ち残ったのは僕、たっくん、あかりんの他に男の子2人。

「5人か、それじゃあ一気に決めるか!」

「「さーいしょーはグー!ジャンケンポン!」」

「「よっしゃーー」」

最終的に勝ったのは、僕と知らない男の子2人。

嬉しくて思わず3人で手を取り合う。

「転校生やるな!俺は後藤弘樹!ヒロとかひろくんって呼ばれてる。よろしくな!」

「僕は宮本凪!ナギって呼ばれてるよ!よろしく!」

「えへへ、僕はたっくんたちに、なるみんって呼んで貰ってるよ!ひろくんとナギ!よろしく!」


「よかったね、なるみん!」

「うん、ジャンボ餃子勝てたよ!」

「羨ましいぜー」

「違うよーいや、それもだけど、私たち以外とも仲良くなれたみたいでよかったねってこと!ジャンボ餃子ジャンケンのおかげだね!」

「うん、そうだね!今日がジャンボ餃子の日でよかったー!!」



五年生 バイキング給食


今日は楽しみにしていたバイキング給食!
4時間目は食育の授業で、みんなで栄養バランスについて勉強した。給食の後の5時間目には、今日のカロリー計算と振り返りの感想文を書く。
色んなメニューがあってどれもとっても美味しそう。
みんなはどんなメニューを選んだのかな?

「たっくんは主食、何を食べる?」
「俺はゆかりおにぎり!あかりんとなるみんは?」
「僕はサンドイッチかな。ツナ卵サンド好きなんだー!」
「私は焼きそばかな!梅しらすおにぎりも気になるけど、給食の焼きそば好きだからこれにする!」
主食を決めて主菜コーナーへ向かうと、様々な種類のおかずが並べてあった。
ここでは色々なおかずの中から、2種類選ぶみたいだ。
「いっぱいあって迷うね。僕はクリームグラタンとコロッケかな」
「私は唐揚げとししゃもにする!」
「俺はハンバーグとシュウマイ!」
主菜コーナーの隣にある副菜コーナーには、担任の若林先生が立っていて、みんなを見守っていた。
「サラダとスープは全員取ってってくださーい」
「「はーい先生!」」
副菜コーナーでは、ドレッシング以外、特に選ぶものもなかったので、そのままデザートコーナーへ。
フルーツ系のデザートひとつとケーキをひとつ選ぶ。
いつもの給食だと、デザートはひとつだから、特別感があってすごい嬉しい!
「デザート!私はフルーツの盛り合わせとチーズケーキにしよ!」
「俺はフルーツポンチとチョコケーキ!」
「僕はフルーツゼリーといちごのケーキにする!」

全員が席に着くと、学級委員が前に出てくる。
「今日の給食は、バイキング給食です。給食室の方々がさまざまなメニューを作ってくださいました。4時間目に学んだように、普段は、栄養士の方が私たちの栄養バランスと摂取カロリーを計算して、メニューを決めてくれています。そのことに感謝して、今日も残さず食べましょう。手を合わせてください。いただきます」
「「いただきます!!」」

今日のバイキング給食では、主食、主菜、副菜、デザートの4つのエリアに分かれていました。
普段はあまり気にしていなかったけど、それぞれに身体を作る、重要な役割があると知りました。僕の食べた給食のカロリーを計算してみると、おかわりも含めて約700kcalでした。
カロリー計算や栄養バランスを考えながらメニューを決めるのはとても大変でした。給食室で働いている人たちがいつもしっかりメニューを考えてくれているおかげで僕たちの美味しくてバランスの良い給食ができていることを知って感心しました。これからも毎日残さず給食を食べたいと思います。
5年1組 廣瀬成海



六年生 コロッケサンド


2月1日。この日は都内各地の私立中学校の受験の日だ。
このクラスからも5人ほど受験生がいて、学校を休んでいる。

「今日は、遠藤、廣瀬、宮本、村松、山口が休みかー」
給食の時間、いつもより静かだと思ったら、いつも給食の時間に生き生きしてる5人がお休みだった。
先生もそのことに気づいたようで、名簿を見て少し苦笑いしている。

「今日の給食争奪戦は静かそうだねー」
「たしかに!5人も休みだから欲しい人全員お代わりできそうだね!」

今日のメニューは、コロッケサンド。
ふわふわのパンにサクサクの衣がついたコロッケが挟まっていて、甘辛いソースが美味しい、人気メニューのうちのひとつだ。
「ゆりちゃんの大好きなメニューだから、今日がコロッケサンドって知ったら嘆きそうだね」
「確かに…まぁ給食よりも受験の方が大事だからしょうがないよ!」

配膳が終わり、日直が前に出てくる。
「今日の給食は、コロッケパンとクリームスープとフレッシュサラダです。美味しい給食に感謝して、残さず食べましょう。手を合わせてください、いただきます」
「「いただきます!!」」

「やっぱコロッケサンド美味しいねー」
「うん、衣はサクサクだし、油っぽくないし、いくらでも食べられそう!」
「今日は食い意地の張った男子も少ないしおかわり争奪戦参加しようかな?」
「そしたら私も食べようかな!もう一つ食べれるかな?」

「コロッケサンド食べる人ー!!」
「「はーい!」」
前に出てきたのは全部で6人。
「じゃあジャンケンしよっか!」
「あ、私ひなちゃんさえよければ2人で半分こでいいよ!」
「私もみかちゃんと2人で1つでいいから、4人はひとつずつ食べていいよ!」
「お、本当か!ラッキー!」
「今日たっくんたちいないせいでスムーズだね笑」
「ちょっと静かすぎて寂しいけど笑」

みんながコロッケサンドをお代わりして、食べ始めたところで、突然教室のドアが開いた。

「コロッケサンドまだ残ってる!?!?」
「ゆりちゃん!!」
「コロッケサンドへの執念強っ!!」
「あー…たった今さっきお代わりの人たちに分配されたところ…」

ひなちゃんのその言葉に崩れ落ちるゆりちゃん…

「そんなぁ…コロッケサンドのためだけに受験のあとに急いで来たのに…」
「ゆりちゃん泣いてるの!?…あの、私もおかわりしたんだけど、ちょっとだけ食べる?もうだいぶ食べちゃったけど…」
「ひなちゃんー…グスッ…ありがとう…グスッ…欲しいー」
「じゃあ残った分全部あげるね!スープとサラダもよそってくるから、座って座って!」

次の日、学校に来たあかりんとたっくんが休んでた日にコロッケサンドが出たことを知って、悔しがり、その後に、コロッケサンドのためだけに学校に駆けつけたゆりちゃんの話を聞いて、爆笑したとかしてないとか…笑

☆☆☆

六年生のお話だけは、半分くらいノンフィクションです笑
これが書きたいがために、1年生から5年生まで頑張って書きました!
面白い!と思ったら、是非評価お願いします。

これにて"思い出は給食とともに"は、完結です。
最後まで読んでくださりありがとうございました。

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