第七章 愛梨②
「梨紗さん、代表の隣に座ってください」
勿論だ。
ナンバーワンの男の子にそう言われ、あたしは代表とナンバーワンの男の子との間にちょこんと座った。
「サムサラの社長やってます、優月(ゆづき)です」
「オレは、ナンバーワンの拓巳(たくみ)です!」
なんて、自分で言っちゃうナンバーワンくん笑。
「初めまして、日向梨紗です」
そして、乾杯。
ぶっちゃけ、もう酒は結構限界なあたし。
愛梨が気を利かせて、こっそりと焼酎の入っていない水だけのグラスを手渡してくれた。
ナイス、愛梨♪
「今日は、何故ブリリアントに?」
「いや、実は、日向梨紗のすっごいファンで笑……あの、指名してもいいっすか?」
え……?
こっちかい!
あたしのファンとやらは、ナンバーワンの拓巳の方だった。
社長の方がお金持ってそうなのにい……。
「指名して頂けるんですか?ありがとうございますっ!嬉しい♪」
なんて、口では言いますが……。
サムサラのナンバーワンと、スーパーライトのナンバーワンと。
うーん……、微妙だ。
「拓巳、店でもすごいんだよ。梨紗ちゃんの載ってる雑誌とかいっつも見てるし。サムサラ来ないかなあが口癖だからね」
社長の優月が言う。
「ちょ、優月さん!それは言わないでくださいよ!キモいじゃないですか笑!」
「拓巳の客とか、全員知ってるよな。拓巳が梨紗ちゃんファンだって」
う、それはやめて欲しい。
敵は、無駄に作りたくはないのだ。
はは、まあありがとさん拓巳。
「梨紗さん、お願いします」
「え、もう行っちゃうんだあ?」
「ごめんなさい、名刺に電話番号書いてあるんで良かったら連絡ください」
そう言って、席を立った。
「やっぱ、有名人は忙しいんだな」
話す声が聞こえた。
いや、嬉しいよ。
嬉しい。
確かに、ナンバーワンなだけあってかっこいいと思った。
けれども、今は二日酔いの気持ち悪さの方が勝っている。
そして、やっと本日の営業が終了した。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?