第七章 愛梨⑥
ルンルン気分でご出勤のあたし♪
ポルシェだあ!
「色は赤になっちゃうけど、平気?」だなんて聞かれたけれども、全然いいっすよ!みたいな。
そう言えば、一哉の新車はどんな車だろう。
結局、まだ乗せてもらってないや。
社交辞令かな。
そして日曜日、相原さんと一緒に横浜へ。
休みの日にはお客さんとは滅多に逢わないけれど、今日は特別だ。
そのポルシェを一目見て、あたしは気に入った。
「チョーかっこいい!欲しい!」
「うん、これだとだいぶ安く手に入れられるんだよね。横浜から新宿まで、ぶっ飛ばして帰りな笑」
優しいなあ、相原さん。
見返りを一切求めないところも素敵である。
そして、早速運転して新宿まで向かう。
運転は、大好きだ。
車を持っていなかったから運転していないだけで、実家ではよく親の車を運転していたものだ。
最高♪
アクセルを少し踏んだだけで、ポルシェはグンと音を立てて走り出す。
しかも、乗るのであれば外車かつ左ハンドルの車がいいと思っていたので、本当に嬉しいのだ。
真っ赤なポルシェは派手だったが、元来派手好きのあたしにはぴったりな車だと感じた。
健康診断から、一週間が経過した。
最近では珍しく、平和な一週間だった。
女の子達に、結果の書かれた書類を手渡すマネージャーさん達。
あたしは、よっちゃんに手渡される。
あら、あたしってば意外と健康じゃん?
思ったよりも、悪いところはなかった。
とりあえず、一安心だ。
「愛梨!どうだった?」
「……あたし、今日は店休むわ」
「え、何で?どっか引っかかったの?」
「うん……ちょっと、病院また行かないとならないみたい」
「マジ?分かった。心配だから、営業終わったら電話するよ」
「うん……」
元気のない愛梨。
心配だよ……。
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