第三章 宣戦布告⑫
「てかさ、オレ別に安奈と付き合ってないし、安奈はオレの客の一人に過ぎないから。安奈の言ってる事、気にしないでね。マジ痛い事言ってたでしょ?アイツは、可愛い子は何を言っても許されると思って生きてるからさ」
「あは、そうかもね。まあ、でも気にしてないよ。安奈さんによろしくね」
あたしは、それだけ言って電話を切った。
関わるのは面倒だから。
一哉も、そんな事でわざわざ電話なんてしてこなくたっていいのに。
あたしの生活に介入してくるのは、やめて。
安奈も、一哉も……。
クラブ内へと戻り、踊って飲んではっちゃけた。
キャバの仕事の事も、一哉の事も……。
今は、全てを忘れていたい。
ふと、周りを見渡すと……。
鈴がいない。
「鈴は?」
典子に、尋ねる。
「充とどっか消えてったよ」
「へ、マジ?じゃあ、うまい事いったのかな?」
「どうだろね。阻止したいけどね笑、賭け的には」
そうだった、忘れていた笑。
鈴がミッチーと付き合ったら、あたしと典子は賭けで負けって事になる!
鈴には幸せになってもらいたいけれども、それはそれで悔しかったりして笑。
その頃、クラブの二階のラウンジには……。
鈴と充の姿があった。
充がクスリをやっている事は……。
あたし達の、誰も知らない事だった。
鈴は、好奇心旺盛だから。
「あたしもやりたい!」
なんて、自ら名乗り出ちゃって。
充のクスリを分けてもらった。
「これで酒飲んだら、鈴もハイになれるよ」
鈴の耳元で、充が囁いた。
くすぐったい……。
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