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第六章 開始②

そして、またまたあたしにマイクが向けられて……。

「今夜は、楽しくなりそう♪」

と、笑顔で発したあたし。


安奈が、何か頼んでいるのが見えた。

そして……。

安奈の反撃が始まった。


「安奈さんの席に、なんとブラック入ります!」


マジ?

いきなりブラックかよ……。

ブラックは、白なんかよりも全然高いシャンパンだ。

物事には順番があるだろうってのに。


「ちょっと待ってて」


そう言い残し、一哉は安奈の元へと向かってしまった。


マイクを向けられた安奈は……。

「白より黒のが好きに決まってるよね、一哉♪」

なんて、言うのだった……。


むっかつくー!

安奈、マジむかつく!


そんなあたし達のシャンパン合戦を、他の客やホスト達は好奇心旺盛に見ている。

今日は、締め日でもなく全然まだ月初めなのに。


「すいません、ゴールドお願いします」


あたしは、ブラックよりも更に高価なドンペリを頼んだ。

もう、はっきり言って一哉の気持ちなど関係ない笑。

安奈に勝つ事さえできれば、それで良かった。


「梨紗さんのお席、なんと今月初!ゴールド入りましたあ!」

店内の盛り上がりは、一気にピークに。


一哉が、ものすっごい怒った顔をしてやってきた。

「おい、梨紗!」

あ……呼び捨て。

「はい」

「ゴールドって、いくらか分かってる?!」

ゴールドは、確か五十万。

さっきの白は、二本で十万。

まだ六十万だ。


「全然余裕でしょ」

「だからね、どうでもいい女だったらそりゃありがたいよ。ただ、梨紗がオレの売り上げ貢献する事を、オレは望んでないの!」

「あのね、一哉くんの売り上げはもう関係ないの。安奈には負けないってだけ!あたしが勝ったら、もう安奈はここには来ないよ。あたし達の前には、もう姿を現さなくなるんだよ、安奈」

「何、じゃあ梨紗はオレの太客が店に来るのを阻止しようとしてるわけ?オレの邪魔をしてるのは、梨紗って事になっちゃうよ?」


そうか……。

確かに、安奈が一哉の太客であるのは間違いない。

その安奈がいなくなったら……。

一哉だって、多少は困るだろう。

例え、他にいっぱい太い客がいたとしても。

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