薬を飲みたくない患者。
薬は治療に必要不可欠だ。病気そのものを治すのにも使うし、症状を軽減させるためにも使うし、患者と薬は切っても切り離せない。
抗がん剤治療には副作用の問題がつきまとう。
抗がん剤治療というと、バケツを抱えてオエオエとずっと吐き続けている感じをイメージすると思う。
今は副作用がなるべく出ないような抗がん剤や支持薬と言って抗がん剤の副作用を抑える薬の開発が進んだりと昔ほど副作用が強く出ることは無くなった。
昔ほど副作用がひどくなくなったとはいえ、副作用はでる。胃のムカつき、吐き気、食欲不振、痺れなどなど。
副作用が強く出れば追加で薬が増えていく。
薬を増やせばある程度、症状のコントロールもつきやすくなる。
薬って偉大。
でもしかし、偉大な薬を飲みたくないという患者も多い。本当に多い。
「その薬を飲むくらいなら、我慢できるから飲まなくてもいい。」
と患者は言う。
副作用を抑える薬にももちろん副作用がある。
吐き気を抑えるための薬を飲むと、吐き気を抑える薬のせいで眠くなる。みたいに、副作用の副作用が起こる。
患者は、この副作用の副作用がしんどい。
だから、薬を飲みたくないとなる。
つらそうに、しんどそうに我慢している姿を見ると薬に頼ればいいのにと思ってしまう。
つい最近までは思っていた。
そう、実際にオレがその副作用に悩まされるまでは、、、。
持病の悪化で咳が止まらなくなって、その治療のために6剤くらい薬を飲んでいた。6剤中3剤の副作用に眠気があった。
薬剤師からの説明でも理解していたが、実際に薬を飲み始めてみると酷かった。
眠くて眠くて、家にいる時はほぼ寝ていた。寝ていると言う感覚もなかった、気がついたら時間が過ぎている感じ。
仕事もあるし、やることもあるし、寝てばかりいられなくて起きていようとしても、頭はぼーっとするし、集中できない。
持病を治すための薬だけど、ここまで生活に支障が出るとさすがに飲む気も失せる。
でも、これを治さないともっと働くのがしんどくなる、、、と気合いで飲み続けた。
副作用の副作用がここまで辛いとは、、、。
オレの場合は2週間くらい我慢すればその薬たちとはおさらばできるわけだけど、慢性疾患だったり、長期の治療が必要な患者だと1年以上、長ければ死ぬまで薬を飲み続ける必要だってある。
そう考えると、副作用の副作用ってめっちゃ重要だなと思う。
主疾患の治療のための薬で生活に支障が出て、日常生活が思うように過ごせないのでは本末転倒。なぜ、治療しているのかわからない。
患者の多くは副作用の副作用を我慢するか、副作用が辛いから飲まないという選択をする人が多い。
今はいろいろな薬が出ている。同じ作用をする薬でも、副作用が同じだとは限らない。
我慢や、飲まないという選択肢にもう一つ、薬を変えてみるという選択肢も増やしてほしい。
医師や薬剤師に相談し、薬剤調整をしてもらえれば少しは楽になるかもしれない。
オレも患者の飲みたくないをもう少し考えて介入できるようにしたいと思う。