患者さんが教えてくれた。幸せは1つのコンビニプリン。
生きているだけで幸せなことはそこら中に転がっている。がん終末期の患者さんと関わるといつだってそう思う。
病状が進行して、今までできていたことが少しずつできなくなっていくがん終末期の患者さんたち。
「病気になる前は海外旅行に行きたいとか、うまいもんをたらふく食いたいとか、そんなことを思ってたけど、今は家族と家で過ごせればそれでいいって思っている。」
「最後に思い出のハンバーグを食べたい。」
「仕事終わりのビールも飲めなくなった。もう生きていても仕方がない。」
病気になる前の何気なくしていたことのなかに人生を豊かにしていことがたくさんあった。意識しなければ別にいつも通りの日常。だけど、そのいつも通りの日常を過ごせていたことそれ自体が幸せだったんだ、と患者さんたちは教えてくれる。
僕は仕事が忙しかった日はコンビニで100円のプリンを買って帰る。無駄に甘くて、やけに小さいそのプリンをゆっくり食べるのが幸せだ。そんな些細なことでも、もしできなくなったら、僕もなにか穴が開いたような気持ちになるのかも知れない。
別に幸せじゃない。そんなことを言っている人がたくさんいるらしいとTVでは言われているけど、幸せじゃないことなんてないと思う。
いつだって、どんなに小さなことだって、日常の中に幸せは転がっている。それに気が付けるか、気がつけないか。
幸せな人と、幸せじゃないと思っている人の違いはそれだけしかないような気がする。
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