見出し画像

スラップ奏法を考える

 ベース奏法の1つに「スラップ奏法」があり、演奏時の見た目の派手さや音の印象からも見せ場の1つになります。

 スラップ奏法を多用するプレイヤーとして上ちゃん(マキシマム ザ ホルモン)、フリー(Red Hot Chili Peppers)、Ikuo(BULL ZEICHEN 88)、Hiromu Fukuda(Suspended 4th)等、他にも多数のプレイヤーが挙げられます。

 スラップ奏法の基本としては

・(指をグーの形にして)親指を立て、弦に当てるサムピング

サム前
サム後

・人差し指を弦の下に潜り込ませ、上に引き上げて音を出すプル

プル

に分けられます。

 また基本的な手の構え方として大きく分けると

・親指を弦に平行に当てる構え方

構え 親指平行

・手をだらんと脱力して人差し指から小指先を下に向ける構え方

構え フリー

があります。

 どちらの構え方が良いという訳ではなく、演奏する曲によって構え方を変えていきます。

 このスラップ奏法を行うにあたって必要な腕の動きとして、小さく前ならえをした状態から掌を下に向ける動きである「回内」

前腕回内位

掌を上に向ける動きである「回外」

前腕回外位

 という動きが必要になります。

 教本や動画等でよく「肘を支点にして腕を回転させる」等の言い方をされる動きです。

 では実際に肘から先の動きを踏まえて練習していくと

親指や人差し指で弦を鳴らすことに意識が向いて速い曲では指が追いつかない

肘から手首の間の筋肉が疲れてしまい長時間の演奏が難しい(場合によっては痛みにつながることもある)

等々の問題に直面する方もいると思います。

 そこで今回、スラップ奏法における効率的な腕の動きを考えていきます。 


関節運動の軸

 先ほど述べた「前腕の回内外」という動きで親指と人差し指を弦に当てていきますが、ただ単純に前腕の回内外をして弦を鳴らすのは危険です。

 なぜかと言うと関節の動きには必ず「軸」があり、その軸に沿った動きが行われないと関節周辺の筋肉や骨に負担をかけてしまうからです。

 関節以外で例を挙げると、折りたたみ式の携帯電話やパソコンには必ず軸となる場所があると思います。

画像9

 その軸に対して少しでも違う方向に折り畳もうとすると機械が壊れてしまいますよね。同じことが関節にも言えます。

 では前腕の回内外を行う上での軸はどうなっているのかと言うと

「回転軸は橈骨頭中心から尺骨頭の小窩を通過する(岡 久仁洋:肘関節のバイオメカニクス Jpn Rehabil Med 2016 : 53 : 758-761)」

とされており、画像で言うと肘の外側から手首の小指側に向かって斜めに向かっていることになります。

前腕骨格

 つまりスラップ奏法を行う際にはこの軸を理解した上で前腕の回内外運動を行う必要があります。

 とは言え常に「前腕の回旋軸はこうだからこう弾かなくちゃ・・・」なんて思いながら演奏するなんて全くもってナンセンスですよね。

 次回の投稿では回旋軸を踏まえたスラップ奏法の練習方法をお伝えします。

 今回はここまでのお話となりますが、何か1つでも皆様の演奏活動の手助けになれば幸いです。

またTwitterもやっておりますので(アカウント名「@no_w_here0903」https://twitter.com/no_w_here0903)、興味のある方はこちらもフォロー等よろしくお願い致します。何か1つでも皆様の演奏活動の手助けになれば幸いです。

それではまた!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?