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三国志を全然知らない一般人の『WO LONG(ウォーロン): FALLEN DYNASTY』プレイ雑感(ネタバレあり)

WO LONG(ウォーロン): FALLEN DYNASTY』をクリアしました。

コンティニュー前提の高難易度ゲー、いわゆる死にゲーを初めて遊んだのがチームニンジャの『仁王2』だったんですけど、それが戦国・妖怪・サムライニンジャと好きなもの全部盛りでまー楽しかったので本作も非常に楽しみにしていたわけです。トレーラー見た限りだとシステム周りとか世界観も仁王と似てるっぽいし同じ感覚で遊べるかなーとは思ったんですけど、唯一心配だったのは僕が三国志をほとんど知らないことで。

僕の三国志知識と言ったら曹操・劉備・孫権とかの世界史の教科書に載ってる級の超有名人の名前程度、あとはFGOとかパリピ孔明みたいな他にやってるゲームや読んでる漫画、それとTwitterで流れてくるコラ画像とか画像リプくらいのもので↓

こういう画像で会話をする人が僕のツイッターにはたくさんいる

こういう原作ありきのゲームって大本のストーリーを知らなくてもきちんと楽しめるんだろうか……? ってちょっと不安だったんですけど、結論から言うとめちゃめちゃ楽しかった! 大昔から数えきれない人達に愛され続けてきた物語のパワーって凄まじいんだなって改めて思いました。そんなわけで今回はクリアまで遊んでみて個人的に良かったところと改善して欲しかったところ、あとは最後に思ったことを書き連ねていこうかと思います。

※最後まで遊んだうえでのネタバレを含むので知りたくない人は自己防衛!

良かったところ

①キャラが全員めちゃめちゃ魅力的
まず何よりもこれ。
カッコイイ奴はどこまでもカッコイイ、強い奴はハチャメチャに強い、忠義に厚い奴はとにかく義理堅い、悪漢はどこまでも暴虐で小悪党はどこまでも憎たらしい、美女はとにかく美しい……みたいに登場人物みんなにどこか一つは尖った個性がある。キャラ立ちが良すぎてさっきまで全然知らない人物だったのにそうそうこいつこんなキャラだったわー! って突然知らない記憶が生えてくるまである。このへんのキャラ立ちの良さって多分コーエーテクモのノウハウも多分に注ぎ込まれてると思うんですよね、三國無双を作り続けてきた会社だし。

なんとなくどの作品でもイケメンなイメージのある趙雲さん。
体験版で貰った防具一式には最後までお世話になりました。

②自由度が高いキャラクリ
仁王に引き続きキャラクリがかなり細かいところまで弄れる。髪型はさすがにある程度は限られるけど、基本の髪型+前髪の形+(長髪の場合は)後ろ髪のまとめ方みたいな感じで複数のパターンを組み合わせることもできるのでとことんこだわればおおよそどんな人間の顔でも作れると思います。
理想のキャラで遊ぶもよし、ネタに走るのも良し、最高にアガる自分の分身を作ってゲームの世界に飛び込もう!

自キャラ。V系バンドのライブにいそうな人を作った(つもり)

③戦闘の流れとシステムが補完し合っている
今作の重要なシステムとして、氣勢化勁(かけい)というものがあります。他のゲーム的な説明をすると氣勢はいわゆるスタミナゲージ、化勁はパリィ(弾き)にあたるシステムですが、これがちょっと独特で。
だいたいのアクションゲームにおいてスタミナって何もしていない状態がMAX(100%)で、そこから攻撃なりガードや回避なりをしていくと減っていき、スタミナが0になると行動不能(か著しく不便になる)っていう使われ方が普通だと思うんですけど、今作の氣勢はデフォルトの状態が0(ニュートラル)で、攻撃をすると増えガードや回避をすると減るという仕様。氣勢ゲージは秘技(いわゆる必殺技)や仙術(魔法的なやつ)を使う際のMPとしても必要だし、氣勢が減り続けて下限に達してしまうと一定時間行動不能になってしまうので、基本的には攻撃し続ける必要があります。

が、当然敵も攻撃してきたりこちらの攻撃をガードしたりするので一方的に攻め続けるわけにもいかない。そういう時に必要なのが化勁。これで敵の攻撃をいなすと自分の氣勢ゲージを回復させ、さらに敵の氣勢ゲージの最大値を減らすことができる。氣勢を削り切った敵には絶脈(致命攻撃)を入れることができるので、特に体力の多いボス戦だとこれが必須になってくる。

要するに、攻めてるほうが優勢で守りに入ってるほうが劣勢、しかし戦況は戦い方次第であっという間にひっくり返せるっていうバトルの流れが上手いこと戦闘システムで表現されているんですね。これが楽しかった! 敵の攻撃パターンを覚える重要度が増したとも言えますけど、動きの素早い敵の攻撃を連続で化勁できた時なんてリズムゲーで難しい曲のコンボを繋げられた時みたいな気持ちよさがある。タイミングも体感的には他のゲームのパリィよりはかなり緩めだったので、慣れるのは割と簡単かと思いました。

④能力値の振り分け方がシンプル
これは結構好みが分かれるところだと思うんですが、僕は本作くらいの匙加減のほうが好きです。仁王もそうでしたし、元を辿ればソウルシリーズもそうですけどこの手のゲームでレベルアップ時のステータス振りって項目がかなり細かいことが多いですよね。ウォーロンにも勿論ステ振り要素はあるんですが、その項目は五行になぞらえた木・火・土・金・水の5種類のみ。世界観に合わせた設定とも言えますけど、僕はどんなゲームやってても結局最後は火力上げて物理で殴るのが一番手っ取り早いやろ! ってなっちゃうタイプなのでこのシンプルさがありがたかった。

改善して欲しかったところ

①ターゲットロックオンが暴れやすい
操作に慣れろと言われたらそれまでかもしれないんですけど、それにしてもロックオンが変なところに行きやすい印象はありました。明らかに目の前にいる敵よりも遥か遠くの敵にロックしちゃったりとか、氣勢ゲージ削り切れてる敵がいるのに他の敵にロックが飛んじゃって致命入れられない、みたいなことが多々あって。これはちょっとストレスだったかも。

②ステージクリア後に直接マップに飛べない
個人的に一番面倒だったのがこれ。
今作のステージ構成って主戦場(メインストーリー)と副戦場(サブストーリー)と隠れ里(アジト)、それを表示するマップって感じなんですけど、

・主戦場をクリアすると自動で次の主戦場に進む
・副戦場をクリアすると「同じステージをもう一度遊ぶ」「未クリアの主戦場に進む」「隠れ里に進む」の3つからどれかに進む
・マップには各ステージのセーブポイントから「移動」を選んで移動する

っていう仕様になってるせいで、特に副戦場のクリア実績を埋めたい時が激しくめんどくさいんですよね。一度どこかのステージに入って、最初のセーブポイントで移動しないと次の副戦場を選べないっていう。仁王はこうじゃなかったと思うんだけど……

ひょっとして三国志ってめちゃめちゃ面白いのでは……?

とまあ若干のストレスはあったんですけど、最初に書いた通り総合的にはめちゃめちゃ面白いゲームだったなー! って思ってクリアできたんですね。それと同時に原作である三国志の作品としての面白さや懐の深さみたいなものにも気づけた。

そもそも三国志のこと全然知らないで遊び始めたんで、そのキャラが原作の三国志や史実にもいた人物なのかゲームだけのオリジナルキャラなのかもよく分かってないことが何回かあったんですけど、

ウォーロンの甄氏(しんし)。蛇と意思疎通できてる超人が史実の人間だとは思わないじゃん……

そういうのも後から調べて「へーそうだったのか!」ってなることが多かったんで、今回に関しては逆にこれでよかったかなとも思うんですよね。

例えば中盤で紅晶(これはゲームのオリジナルキャラ)が董卓(これは勿論史実の人物)の屋敷に踊り子として潜入する場面があるんですが、この時に董卓に名前を聞かれて紅晶が名乗った名前が貂蝉

貂蝉こと紅晶さん。かわいい

これ、二人とも架空のキャラだからこそ出来る繋げ方なんですよね。
三国志知ってる人にはお馴染みのキャラだと思うんですけど、僕はこれ後から知ってすごく膝を打ったんですよ。なるほど! 架空のキャラ同士だからこういう遊び方もできるんだ! って。

そういう話で言うと一番衝撃だったのがひとつ。
遊んでる時「このゲーム三国志ものなのに孔明の存在感がまるでないな」ってずっと思ってたんですよ。(後で調べたらそもそもこの時代だと孔明ってまだ子供だったので当然といえば当然ではある)

ゲームで主人公が最初に出会う"目覆いの少年"。どう見てもオリキャラであるが……

でもエンドロール後のムービーに出てきた"目覆いの青年"、あれどう見ても孔明じゃないですか!! 三国志全然知らなくてもこれは分かる、あのヒゲの形と羽毛の扇子は紛れもなく孔明!!

コレね

そう思って後で調べたら、
・臥龍(ウォーロン)=世に出る前の孔明を指したある種の異名
・ゲーム最初のステージが徐州(=孔明の出生地)の山村
・目覆いの少年に宿る守護霊が『応龍』

ってもうゲーム最序盤で全部のヒント出てたんじゃん!!
こんな重大なこと三国志知ってる人達は初めから気づいていたのか……?
「孔明いつ出てくるんだろうなー」とか呑気に考えてた自分がバカみたい。
最初からずっと出てたのに。

要するにこのゲームって、プレイヤーの分身たる主人公目線で体験する三国志異聞であると同時に、諸葛亮が歴史の表舞台に登場するまでを描いた彼のエピソードゼロでもあるわけですよね。思えば『仁王2』でも"秀吉"の武勇伝を作ってきたのは木下藤吉郎ではなく主人公で、主人公はいわば歴史の教科書には載らない豊臣秀吉の影武者。今回もゲームの最後の最後の最後での鮮やかな主人公交代。僕こういう引き大好きなんですよ……

そんなわけで、ろくに三国志を知らないまま始めた『ウォーロン』ですがとっても楽しいゲーム体験でした! 死にゲーと呼ばれるゲームの中では比較的やりやすい難易度でもあると思うので「死にゲーってすごい難しいんでしょう……? そういうのはちょっとな……」という人にも一度遊んでみて欲しい。

知ってる? 三国志ってめちゃめちゃ面白いんですよ。


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