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2019プラハ旅行記~その2・迷宮編~

うまく眠れなかったが、目を閉じて横になっているだけでも身体が休まるというのは本当で、わりとすっきりした朝を迎えることができた。上階の部屋で寝ている父もずいぶん早くからテレビをつけていたようで、いやほんと別の部屋に隔離してよかった。あと父の寝室にテレビがあってよかった(母とわたしの寝室にはなかった)。

ホテルの朝食はビュッフェスタイルとのことで、実はそんなに期待していなかったのだがどっこいこれがなかなか種類も豊富で美味しかった。特にチーズ類と肉製品、あと黒パンの種類の多さがかなり魅力的で、ついつい欲張って朝からずいぶんしっかり食べることになってしまった。コーヒーはネスカフェのコーヒーメーカーなので特筆するような美味しさはなかったものの、カプチーノだけはなんか妙に美味しく感じた。牛乳の違いなんだろうか……。

長時間のフライトでさすがに疲れたかな? 今日はちょっとセーブしていったほうがいいかな……などと思っていたのだが、こちらの予想を超えてめっちゃ元気な両親から発される『早くどっか出かけようぜ』オーラが半端なかったのでとりあえず散歩がてらスーパーに買い出しに行こう、と提案。

ホテルの外に出るだけでうっひょー、とテンションが上がってしまったのはわたしだけではなかったようで、3人揃ってこんなことばっかしてちっとも進まないのである。Můstekまでまっすぐ行けば10分ほどで着くところを、写真を撮ったり建物を眺めたりあれは何だこれは何だとやっていたら30分以上経っていた。いや、存分に街歩きをエンジョイしてくれているようでこちらとしては大変嬉しいのだが、気が付くと父の姿がない→周辺を見回すと離れたところでひとり写真を撮っている→そのままこっちに合流してくれればいいのに、なぜかこっちを見失っている→しかたがないのでわたしが迎えに行く っていうパターンが多すぎてこいつぅ……となった。ちなみに本人の中では「だっておまえたちがいなくなるんだもん」となっている。こいつぅ……ほんと要注意人物だな……。
とりあえず海外Wi-Fiの手配は大正解だった。あれこれ尋ねられたことを手元ですぐに調べて答えてあげられるのは自分のためにも良い。ただし調べてもわからないこともある。

ベツレヘム礼拝堂の外観と中庭を眺め、Rytířská経由でヴァーツラフ広場まで出てきた。Můstekを目指したのは市内交通のインフォメーションセンターで3日券を購入したかったからなのだが、どれだけ地下を探してもあのオレンジ色のブースが見当たらない。改札近くにはでかでかとセンターの案内広告があるのに、肝心のマップに飛べるQRコードが死んでて結局位置がわからない。おい~!
諦めてとりあえず同じ地下にあったalbertに入る。ていうかalbertこんなにおしゃれだったっけ? なんかきれいになってない? と思いつつ店内を見て回り、とりあえず晩酌用にビール・ワイン・ウイスキーをゲット。母が見つけたザクロジュースも買って、これがすごく美味しかったんだけどその後TESCOでは見つけられなかった。JUMEXというメキシコのブランドらしい。
モラヴィアワインが飲みたくて棚に並んだワインの産地をひとつひとつ確認していたのだが、チェコ国内で生産されたワインはキャップの天面に国旗を模したマークがついているのね! ただし天面なので結局棚に並んでいる状態ではわからず、一本一本確認しないといけない……日本と違って産地別に並べてくれるなんていう親切なことはしないのだ。だってスーパーだもん。
わたしはKozelのダークをこの上なく愛しているのだけど、500ml缶1本で100円もしないのは本当にどうかしていると思う。チェコビールもわりかし日本で飲めるようになってきたなと思うのだけど、Kozelだけはマジで見かけないのでこればっかりはチェコに行って飲むしかない。Plzeňský Prazdrojと同じところが作ってる=アサヒの管轄なんだからKozelも売ってくれたらいいのにな……。

一度地上に戻って、Můstek北側の地下へ行ってみる。やっぱりこっちにお目当てのインフォメーションセンターあった~!!!!! MůstekはメトロA線・B線の乗り換え駅となっていて結構大きいので、地上出口も複数あるのだ。よく見たら案内ページにちゃんと「výstup směr ulice 28. října」って書いてあったわ。確認不足☆
そんなこんなで無事3日券を購入。1500円くらいなので、単純計算すると1日500円で市内交通が乗り放題になるのはめっちゃ便利。今回の滞在では結局検札官と遭遇しなかったなー。6年前には1度だけ見たけど、わたしの前でしょっぴかれた人がいたせいでわたし自身は検札されなかったw
センターの中ではひっそりとプラハの市内交通のロゴマークを使ったTシャツやマウスパッド(かわいい)、あと昔のトラムの写真集なんかも売っててめっちゃおたくが喜びそうな感じだった。もっと大々的に売ってもいいと思うよ!?

Národníをぶらぶらし、途中気になった中庭へ入ってみたりトラムの写真をたくさん撮ったりしつつホテルに戻る。カフェ・ルーヴルやカフェ・スラヴィアの前を通ったので軽く話題に出してみるも、両親の興味がまったく向いていないのを感じたのでこの旅行でのカフェめぐりは諦めるわたし。ホテルの部屋でお湯沸かしてコーヒーやら日本から持ってきた謎のお茶やら淹れてのんびりするの、それはそれで気楽だったしな……また別の機会にいろんなカフェを巡ってみたい。
それにしても電圧が違うので、部屋備え付けのなんてことない電気ポットでもめちゃくちゃ早くお湯が沸く。父が持ってきたコンデジのバッテリー充電器も、心なしか早く充電できる気がする。いやさすがに気のせいか。今回持ってきたスマホやカメラの充電器はみんな海外電圧に対応していたので、変換プラグさえあればあとは気にせず使えて楽ちんだった。

ホテルで一休みの後、天気が良いのでヴルトボヴスカー庭園へ行くことに。岩合さんのネコ歩き@プラハのロケ地ということでここは是非行ってみたい! と親からの数少ないリクエストがあり、わたしも行ったことがなかったので気になっていた。
スリに充分注意するよう促し、人でごった返すカレル橋を渡る。ストリートパフォーマーと物乞いが混在するカオススポットなので、晴れた日中といったらそりゃもう人がゴミのような有様なのである。わたし的には観光スポット感が強すぎて正直うへえ……となるのだが、それでもやっぱり綺麗だし歩いているとワクワクするのもまた事実。ミッション:インポッシブルのロケ地となったことで有名な階段に父を立たせて写真を撮ってみるも、我々のイメージがフワフワすぎたせいもありトム・クルーズには程遠かった。ただ写真としてはなんか面白かったので100点。お城側へ近付くとツグミの鳴き声が美しく、母と「まさにビートルズのブラックバードのアレ」「録音かと思った」と雰囲気のない会話をした。

ヴルトボヴスカー庭園の入り口はKarmelitskáに面しているのだが、ま~はっきり言ってチェコ語がわかる&明確にここを目指す人以外にはまずわからないだろうな! この入り口で初見で「お庭がある! 入ってみよう!」となる人がいたらすごい。自分は無理。

こぢんまりしているのだけど本当に美しい庭園で、ちょうどこの団体が帰っていくところだったので人も少なくのんびりした空気が漂っていた。大げさなチューリップに母が文句をつけていたけど、たぶん今頃はバラの季節でもっと美しいんだろうな。確かに、どう考えてもバラまでの繋ぎで適当に植えられたとしか思えないチューリップだったなw

なかなかきつい急斜面と階段を乗り越えて庭園の最上部に辿り着くと、こんな景色が待っている。期待以上の絶景に心奪われ、しばらくベンチに腰掛けて眺めていた。百塔の街プラハと呼ばれる所以がわかるというもので、どこを見ても尖塔が顔を出している。いやほんと、綺麗だね……。
あんまり有名な観光地ってわけではないし、ネコ歩きの番組内でもロケ地が明言されていたわけではないから知らない人のほうが多いと思うけど、ここはいろんな人におすすめしたい。プラハ行く知り合いいないけど。

その後まさにネコ歩きで見た! というポイントを発見して大喜びしていると、唐突にリアルネコ歩きがスタートしてさらに狂喜乱舞。か、かっわいい……クロネコチャーン超かわいい……「ネコはやっぱ早朝とかにしか出てこないかね~」「観光客いる時間帯はどこかで寝てそう」とか話してたらこれだぜ……こんな出来過ぎなことがあっていいのだろうか。プラハサイドからの接待がすごい。ありがとうございます。
ネコチャーンはささーっと我々の前を駆け抜けていくと、自由に庭園内をウロウロしていた。最高。素晴らしい。みんなほんとヴルトボヴスカー庭園行こう。

トラムとメトロを乗り継いで旧市街広場へ。イースターの市が立っていていつも以上に賑やかなことになっている。しっかし本当にトゥルデルニークだらけだな……いやまあ、トゥルデルニークが好きで食べる人も勿論いるんだろうけども、チョコレートが決して日本発祥ではないように、トゥルデルニークはどう間違ってもチェコ伝統のお菓子ではないのだ。プラハ名物になりつつあるのはもう仕方ないけど、もっかい言っとく。トゥルデルニークはチェコ発祥のお菓子ではありません。チェコ伝統の名物です! って勧めてる人めっちゃ多いけど、それは東京に観光しに行くよって人に「東京伝統のタピオカドリンクが名物だよ~☆」って言うようなものなのでマジでどうかと思う。少なくともチェコ人やチェコ在住の人でお勧めしている人は見たことないので、まあそういうことだよね。
伝統とかは関係ない、チェコ発祥じゃないのもわかった、ただ単に美味しいから勧めるんだ! って分には別にいいと思うよ。トゥルデルニークに罪はないので。

Pařížskáにこういうものが残っている、ということを知って是非自分でも探したいと思っていた金色の碑。それは思っていた以上に小さく、石畳の道の片隅にひっそりと埋め込まれていた。ここにはかつて住んでいたユダヤ人の名前、そして彼らがどこへ連れて行かれてどこで亡くなったのかが記されている。この人たちはテレジーンへ送られ、そこからさらにアウシュヴィッツに送られて亡くなった。3つ見つけた中で2つはこのパターン、もう1つはウッチへの移送が記されていた。
おそらくこの存在を知っている観光客はあまりいないのだろう、写真を撮っていたら別な観光客にそれは何か有名なものなの? と尋ねられた。チェコ語で記された内容を簡単に英語にし、Osvětimというのはアウシュヴィッツのことだと説明すれば充分だった。
どこから来たのかとか、日本は行ったことあるよ素敵だったとか、そんな他愛もない話をしてお別れ。リアルふれあい街歩きみたいな時間だった。たとえブロークンなEnglishだとしても、伝えたい、わかり合いたいと思うことがまずは大事なんだよな。それはそれとしてもっと語学力をつけましょうって感じではある。おそらく決定的に単語力が足りないってのは10年くらい前から知ってる……。

ちょうど2時になるとこだったので、天文時計のからくりを見ることに。人がゴミのようだpart2である。再度スリに対しての最大限の警戒を呼び掛けてしばし待機。いくら世界3大がっかりだとしても、まず見てみないことにはどうしようもないので見てみるのだ。その感想がやっぱり「全く大したことは無い(by父)」だとしても、この目で見たからこそそう言えるのである。わたしは動画を撮ったのでこれからいつでも世界3大がっかりを体験できる。イェーイ。

がっかりじゃない観光スポットを体感すべく、共和国広場に移動して市民会館のツアーのチケットを買いに行く。やはりここはいつでも人気で、直近の2つのツアーは売り切れていたがその日最後の英語ツアーにまだ空きがあったので迷わず購入。プライベートツアーらしき観光客もたくさん出入りしていた。結構柔軟に組んでくれるらしいので、旅行社企画のツアーとかやりやすいんだろうな。
ツアーまで時間があったので、6年前もさんざんお世話になったPalladiumのalbertでサンドイッチやエメンタールチーズ、サラミ、レバーペーストを購入。Vysočinaというサラミがあって、薄くスライスされたものがパッケージングされて売っているのだがこれがやたらと安くておいしい。100gで100円しないのだから驚き。そりゃ母も値段を一桁読み違える。あと、レバーペーストを乗せるために買ったクラッカーがやたらと美味しかった。たぶん小麦粉が違うんだろうけど、小麦粉自体のほのかな甘みと風味がしっかり感じられてクラッカーだけでもおいしいのだ。ところでここのalbertは特に綺麗になっていたような気がするぞ!?
ホテルに戻って遅めの昼食兼おやつ。両親が紙コップや紙皿、割り箸やスプーンなんかをたくさん持ってきてくれたおかげで、部屋の中でも簡単に食事することができて楽だった。別にキッチンがある部屋とかじゃなくてもこういう感じにできるんだなあと感心すると同時に、世界のどこに行っても我々のやることは変わらんのだなあと思った。でも外食だけじゃなくてスーパーで買ったものを食べるのもまた旅の醍醐味なので、部屋でのお食事タイムはとっても楽しかった。

ツアーの時間になったので再び市民会館へ。ツアーは英語だけど、チケットを買う時に申告すると日本語で書かれた説明を貸してもらえる。1時間くらいかけて市民会館の部屋の大部分を回るツアーなのだけど、もうとにかく内装の凝った部屋のオンパレードで、正直よくわからなくなってくる。感覚が麻痺しそうになったところでミュシャが手掛けた部屋が出てきて、そのすごさに逆に正気に返るような感じ、ある。ガイドさんの説明も熱が入りまくりで、チェコ人の威信というワードが頭の中をぐるぐるしてくる。

いやでもほんと、情熱を超えてある種の執着すら感じるような圧倒的な建物なんで是非ツアーで内部まで見てほしい。英語がわからずとも職人さんたちの仕事ぶりの素晴らしさは充分に伝わってくる。いつかスメタナ・ホールでコンサート聴きたいなあ。

ツアーが終わり、ドヴォルザークが結婚式を挙げた聖ペトル教会や6年前わたしが暮らしていたフラットを眺めながらLokál Hamburgへ移動。人気店とのことで予約しておいたのが正解で、店内は地元っ子っぽい雰囲気の人たちでいっぱいだった。

ビールを頼むとどれだけ飲んだかカウントする票がテーブルに置かれる。上の段が500ml、下の段が300mlだ。ビールの絵がなんかかわいい。

いや~~~も~~~~~やっぱし生Plzeňský Prazdrojはサイコーだよな……。ビール好きなんだけど、ぶっちゃけ日本のビールは350ml缶1本で充分みたいなとこあるんだよね正直。でもチェコでなら1Lくらい余裕さ。いくらでも飲める。最終的にはビールだけで飲める。これはすごいことだと思う。
グラーシュは最もメジャー(と思われる)な牛肉のグラーシュをチョイス。うんまい。ちょっとこってりめの味付けになっているところがまたビールが進む感じで大変うんまい。クネドリーキもばさばさしてなくてかつソースを吸いまくりでうんまい。
プラハハムの字面だけ見て頼んだら生クリームが一緒だった。ハムに生クリーム? と思ったのだが、ホースラディッシュが入っていてピリッと辛いのだ。ふわふわなのに辛い。こいつをハムと一緒に食べるとこれまたうんまい。
そして我々内一番のヒットだったのが、カマンベールのオイル漬け。世界入りにくい居酒屋で観てからずっと食べたかったのだが、これこそビールと組み合わせたら永久機関の完成である。おそらく発酵していることによる味なのだが、なんかこう辛みを取り除いたキムチみたいな風味がするのだ。すごくうんまい。
ビールのうまさに感無量、という感じでなかなかの速さで1L飲んでしまった結果、気持ち良く酔った。しかし同時に、「あっこれでホテル帰ったらよ~く寝れるわ」と思った。実際よく寝た。ビール万歳。

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