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2019プラハ旅行記~その4・展望編~

いつも朝食食べ過ぎちゃうね~今日は控えめにしようかね~とか言いながら朝食会場へ行き、結局フルーツをお腹いっぱい食べて1日がスタートした。控えめとはなんだったのか。
昨日洗濯しなかったシャツやズボンなど大きめの洗濯物をまとめて、ホテルから5分くらい歩いたところにあるクリーニング屋さんに出しに行く。ここは通常のドライクリーニングだけでなく、一般的なお洗濯も3kg(だいたいかご1つ分)250kcで引き受けてくれる。その日のうちに仕上がり、乾かしてビニール袋に詰めるところまでやってくれるのだから旅行者には便利なサービスである。色の濃いものと薄いものに分けたらちょうどかご2つ分になったので、500kc支払って引き取り票をもらう。HPでは3時間でできると書いてあったけど、5時間後に取りに来てねと言われた。どこかへ出かけて戻ってくるとちょうどいいくらいの時間だったので、かえってありがたい。

旅行、それも海外旅行の洗濯物となると悩む人も多いと思う。6年前はフラットシェアだったので部屋に共有の洗濯機あり+フラットの人が自分の洗剤・柔軟剤を分けてくれたので全く苦労しなかったのだが、今回は普通のホテル暮らしなのでそうもいかない。一応調べてみたがプラハはコインランドリーが少なく、遠いところまでわざわざ洗濯しに行くのは億劫だ。日数も少ないので割高なのは覚悟してホテルのランドリーサービスを使おうかと考えたのだが、念のためホテルに問い合わせたら「うち、ランドリーサービスやってないよ」と回答が返ってきた。えええ!? B〇〇king.comにはランドリーサービスありって書いてあるのに!? 「でも近くにクリーニング屋さんがあるからそっちに行くといいよ」と教えてもらったのが前述のお店、というわけだ。ちなみにホテルの部屋には、セーフティーボックスの脇にちゃんとランドリーサービスの用紙と袋が置いてあった。なんだったんだ。クリーニング屋さん安かったからいいけど。

ということでホテルを出発。メトロA線のStaroměstskáに向かうついでに、天気が良いのでルドルフィヌムの写真を撮っておく。明後日の夜はここでチェコフィルを観る予定。
ちょうどこの写真を撮ったあたりの場所にチェコフィルの広告がたくさん出ているのだが、その中にあった団員一覧を眺めているとフルート奏者のところに日本人っぽい名前が! いろいろ調べたのだが詳しいことはわからず。日本・海外を問わず、オケの一奏者のデータを探すことはたいていの場合とても難しいのである……。

A線とC線を乗り継いでVyšehradへ。いい天気の日はVyšehradと決まっているのである(わたしの中で)。以前来た時はメトロ駅からの道のりで少し迷ったのだが、今回は昨日に引き続き遠足らしき子供たちの集団が近くにいたため、その少し後をくっついていくことで無事に到着。
伝説では7世紀頃にプラハの繁栄を予言した王妃リブシェが住んでいたとされるVyšehradなんだけど、近年の研究によるとここに実際に城ができたのは10世紀ごろでプラハ城より後らしく、まあ伝説は伝説ってことで。でも城ができる前にここがどうなっていたのか、ということについてはまだ正確にはわかっていないらしい。ロマンあるよ! 大丈夫!
現在は城跡を整備した公園になっていて、広い敷地の中には文化遺産だけでなく幼稚園や貸しテニスコートなんかもある。実際に住んでいる人もいるらしいって昔どこかで見かけたのだけど、探してもソースが見つからず。でも普通の家っぽいのは確かにあった。
プラハ城もそうだけど、こういう場所が全部「保存」されているだけじゃなくて今も誰かが住んでいたりするのってすごくいいなと思う。言ってしまえばプラハの街全体がそうか。家は人が住まないと朽ちてしまうし、建物だってそう。規模は違えどそれは街も同じことなんだな。

ターボル門をくぐり、インフォメーションセンターに立ち寄る。曖昧な記憶でなんとなくここで何かのチケットを買ったような気がしていたので、窓口のおばさまに「チケット売ってます?」と尋ねてみたら「11時からなのよ」と答えられる。あれ? 普通に中に入ってこれたし何が11時からなんだろう……と迷うも、あっそっか教会とかが11時からってことかな? と勝手に納得したので、Vyšehradの地図だけ20kcで購入。
これを書いててようやく思い出したんだけど、6年前もここで買ったのは地図だけだ……。教会に入る時は直接そこでチケット買うし……。根底にとんでもない勘違いがあったのだけど結局重要なことは伝わってて特に困ることはなかった、というパターンでした。
ちなみにこんなことをやっている間、両親はというとセンターの中にあったお土産のショーケースを熱心に眺めていた。錫製らしきチャームやミニチュアが気に入ったみたいで、最後にもう一度ここに立ち寄っていくつか購入することに。カード払いにしようと思ったら珍しく現金のみの扱いだったので、手持ちギリギリ足りてホッとした……。両親は「安かったからもっと買っとけばよかった」とか言ってたけど、そしたら現金が足りなかったわけで。うーんこれが巡り合わせ(適当)。

レオポルド門をくぐり、聖マルティン教会のロトンダへ。丸っこいフォルムがかわいい、プラハで一番古いと言われる(Vyšehradに関しては本当に断定しない言い方ばかり連発することになる)建造物。ロトンダというのは礼拝堂のことで、ずいぶんこぢんまりしているな~と思っていたら天井を支えるために壁は相当分厚いらしく、となると中はさらに狭いということになるわけで。ドアの張り紙を見る限りは今も礼拝堂として使われているっぽかったので、時間によっては内部も見れるのかな?

ロトンダからさらに外周へ向けて登り、外側に見えるプラハの街と内側に見える公園の風景を眺めながらのんびり歩く。チェコ語で5月はkvěten(花の月)というのだけれど、その名に違わず樹木にも野原にも小さな花がたくさん咲いていて、何の花かはわからないけどとてもきれい。ここからほんの少し離れたらすぐに人でごった返す観光地なのだということを忘れてしまうくらい、ゆったりした時間が流れていた。
ヴルタヴァにかかる鉄橋を渡る列車を待ち構えて写真を撮ったり、途中で見つけた銅像が絶対ヴァーツラフ4世だと思ったらやっぱりヴァーツラフ4世だったり、何かの工事をしている重機を父が熱心に写真に収めていたり……我々もゆったり散歩を楽しんだ。

外周をぐるっと回ってようやく聖ペテロ聖パウロ教会に到着。よく見るとちゃんと2人いるのがわかる。
チケットを購入して中へ入ろうとしたのだけど、バーコードを読み取り部にかざすとドアのロックが外れるようになっていることに気付かずまさかの強行突破を試みてしまった。ご、ごめん……。言い訳させてもらうと6年前は入口のところにテーブルと椅子を置いて座ってるお姉さんから入場券を買ってそのまま入るだけのシステムだったんだ……あと昨日のお城とは違って1人1枚じゃなくて3人分まとめてのチケットをもらえたから、まさかこれを改札して入るとは思わなかったんだ……時代の進歩についていけてない。

そしてここは天井の装飾というか彩色がすごい。結構派手。日本のお寺もそうだけど、たまたま時が経ったものを見ていることが多いからくすんだ色のイメージがあるだけで本来はこれくらいアッパーなもののほうが多いんだろうな……。でもこれなら天国いいとこ恐れずおいで感があっていいと思う。そういう意図かどうかは知らんが。

教会を出て、すぐ隣の墓地へ。今回はじっくり回ろうと決めていたので配置図と著名人のお墓リストをスマホでも撮影してすぐ確認できるようにしてから臨んだ。

ドヴォルザークのお墓は壁沿いで分かりやすいのでわりとすぐ見つけられる。お墓界の壁サー。ご家族も一緒に眠っている。

カレル・チャペックのお墓。少し離れたところに兄ヨゼフ・チャペックのお墓もあるのだけど、彼はアンネ・フランクも命を落とした強制収容所で亡くなり、その遺体は処分されチェコに帰ってくることはなかった。
「ZDE BY ODPOČÍVAL」それでも、その魂は祖国で安らかに眠ると信じて。

カレル・アンチェルのお墓。チェコ・フィルについての卒論を書いた際、その歴史を辿る中で心に残っていた指揮者だ。アウシュヴィッツのガス室を逃れ共産党時代のチェコ・フィルを立て直した名指揮者でありながら、最後の最後に祖国へ帰ることができなかったアンチェル。けれど後の世になって、身体も魂もここへ帰ってきた。

スメタナのお墓も広々としているので見つけやすい。両脇の楽譜はもちろん「Vltava」冒頭のフレーズだ。

この民族墓地のお墓は比較的整然と並んでいる方だとは思うけれど、それでも「ここ本当に通っていいのか」「人の墓の中なんじゃないのか」というくらい狭い通路もあり、全部見て回るのはなかなか骨が折れる。墓地の中を自由に見て回れるというのも不思議な感覚だけれど、お墓ひとつひとつがそこに眠る人の人生を表しているようで、眺めて回るだけでもあれこれ考えてしまった。
墓地を出ると、ちょうど聖ペテロ聖パウロ教会の鐘が鳴った。スメタナの「Vyšehrad」だ。前にここに来た時は「Vltava」が流れていたのだけど、ひょっとして「我が祖国」全曲を時間ごとに流すのだろうか。気になる。

少し歩くと、そのVltavaが最もよく見える展望スポットだ。それにしても川幅が広い。あと日本じゃありえない川岸の感じね。護岸とか堤防とかそういう概念はたぶんない。10年に1回くらい大規模な洪水被害に見舞われるというのも正直納得である。
6年前ここでイタリア人(っぽい)カップルに写真撮影頼まれたな~なんて思い出話を母に語っていたら、同じようなシチュエーションのカップルに写真撮影を頼まれた。噂をすれば影。ずいぶんこだわりがあったようで何度か撮り直しまでさせられた。なんやろ……そういうオーラあるのかねわたし……。

ぐっと下を覗き込むと、トンネルからトラムが出てくるスポットがある。なかなかいい図なので、これ目当てで待つ人がたくさんいた。我々もいい写真を撮って満足。

時間のほうもちょうど良かったので、トラムに乗ってホテルに戻り、洗濯物を受け取る。びっくりするほど薄くて何故か赤いビニール袋に詰められていたのがなんか面白かった。もちろんそんな袋のことは全く信用していないのでそのままエコバッグに詰めて持ち帰ったのだけど、洗濯物を袋から出した瞬間に袋が破けたのには笑った。
肝心の洗濯物は、ゴワゴワだったり柔軟剤の匂いがキツすぎるようなこともなく標準的な仕上がりだった。アイロンのいらない服であれば何も気にすることないかな。ただ、厚手のものだと一部乾ききってないものもあったので一度全部広げて確認するのが◎。

残り物で軽くお昼を済ませ、トラムに乗ってストラホフ修道院へ。プラハ城の更に上のエリアまで行くのでグングン坂を上ることになる。トラムを降りてからもややキツめの坂を上ってようやく到着。写真だと暗くてさっぱりわからないが、やはり有名な観光地なので結構人が並んでいた。

「世界で一番美しい図書館」という果たして世界にいくつあるのかわからないうちの一つがここプラハにもある。ちょっと前にプレモルのCMでも使われていたような。プレモルはチェコ産のホップを売りにしているのでちょいちょいチェコ関連のものがCMに出てくる。
ここは「哲学の間」。天井が高く、荘厳な雰囲気。

こちらは「神学の間」。手前の人はいったいなんちゅう顔をしているのだ。

どちらの部屋も光の具合がちょうどよく、わたしにしては上手く写真に収めることができた。でも当たり前なんだけど肉眼で見た方が100倍きれい。ガイドブックにも必ず載るような場所なので日本人観光客も多く、「えっこれだけ?」とか「たいしたことないね」みたいな会話が筒抜けだったんですけど実際に見てもその程度の感想しか出てこないあなた方の貧弱な感性を嘆きなさいな、という感じではあった。百歩譲ってもその場ですべき発言ではない。我々だって、さすがにいくらなんでも世界三大がっかりのことをその場で世界三大がっかりなんて呼んでないぜ。TPOだいじ。

修道院を出てまた少し上ると、ここにもネコ歩き@プラハの撮影場所がある。だいたいこのへんかな~とは思っていたものの、もっと私有地っぽいところとか許可がないと入れないようなところが多いのかと思っていたのでこんなに簡単に見つかってしまうと驚きが隠せない。テンション爆上がり。

さらに上ると、ペトシーン公園のほうへ続くエリアに出る。というかペトシーン公園はかなり広く、どこからどこまでがペトシーン公園なのかはよくわからない。
天気が良いので芝生の上で昼寝をしている人もちらほら。吹き抜ける風も心地良くて、のんびり散歩するにはもってこいの場所だった。

そろそろ野菜が食べたい、という両親からのリクエストを受けTESCOへ。なんとチェコでもカット野菜的なものが売っているので、これとドレッシングさえ買えば簡単にサラダができるという寸法。前日食べたタルタルステーキについてきたルッコラがとても美味しかったので、ルッコラが入ったベビーリーフミックスとイタリアンサラダミックスを買った。200円ちょいでたっぷり3人分のサラダができて、味も普通に美味しい。わりとマジな話、チェコで外食中心の生活をしていると生野菜ぜんぜん食べられないことが多いので手っ取り早く量を食べるにはこれが一番いいと思う。
ちなみに念のため、マルチビタミンのサプリも毎日飲んでた。一種の保険。

旅も折り返し、翌日は少し早いスタート予定だったのでこの日は部屋でゆっくり酒盛りの後就寝。PrazdrojとKozelがあったのでセルフŘezanéをやってみたけど、そりゃもちろん二層にはならず。あれどうやってやるんだろう。

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