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【EDH】ナドゥのすゝめ

※当記事は全文無料です


はじめに

こんにちは、無印です。
先日立川のカードショップサトPinで行われた魔境戦vol.10にて《有翼の叡智、ナドゥ》を使用し優勝しました。
※大会の様子はサトPinさんのnoteからどうぞ!

またそれだけでなく、しばらく同デッキを一緒に調整(雑談)していたcしもっち𝕏秋風(敬称略)の二人も決勝に残っており、ほぼ同一リストを使用した3人全員が決勝進出とチームとしても大成功でした。
※一緒に調整したメンバーが実はもう一人いましたが、引きこもってFF14をやっていたみたいで大会には出てません

調整の結果も出せたしブルームバロウの情報も出てキリが良いので、調整過程やリストの特徴的な部分を解説をします。
※本当はもっと早く出したかったんですが、労働と若干の体調不良で思ったより時間が取れずで大会から1週間近く空いてしまいました…

メタゲームの変遷

メタの変遷に沿ってサンプルリストを紹介した方が調整過程や思考が分かりやすいと思うのでこの形式で記載します。
最新のリストが見れればいいという方は本項の最後まで飛ばしてください。

1.害鳥襲来

カード情報が出た瞬間から「ヤバそう」という評価が出ていたナドゥですが、蓋を開けてみたら事前評価からあまり変わらず結構ヤバい性能をしていました。

この画像を貼りたかっただけ

ナドゥのスペックが想定通り高かったことにより、MH3の以前と以後で環境は大きく動きました。
具体的にはMH3前にティムクラを頂点として形成されていたゲームスピードの激変です。

ナドゥの性能を活かす形でデッキを組むと自然とカウンターされにくいフィニッシュムーブを多段的にぶん投げる形になります。
併せて前環境の受けカードとして最強だった《沈黙》が効きにくいのもポイントです。

上記の点より環境の速度を定義していた、ティムクラを始めとした白を含む受けることができるデッキが軒並み駆逐されました。

珍しく強化が入らないと思われていたティムクラがまさか強化されないだけにとどまらず、王座を追われる形で環境がスタートするとは思いませんでしたね。

↑は環境初期のサンプルリストです。
0装備品からチェインしてそのターンに勝ち切る構成を便宜上「アグロナドゥ」と呼んでいます。

カウンターで対処されにくく《沈黙》も効きにくいうえ自分からカウンターも打てるので、デッキの方向性としてはある意味緑単系列の理想形に近いかなと思ってます。


2.世はまさに大グリクシス時代

ティムクラを駆逐したナドゥがそのまま環境を荒らし尽くすかというとそんなことはありません。
どんな杭でも(どこまで凹むかは置いておいて)出過ぎたら打たれるのが世の常です。

ティムクラを始めとした受け寄りのデッキが減った中で台頭してきたのはログサイやマル砕きといったBR+X(グリクシスとかマルドゥとか)の高速コンボデッキです。(仲間内では”2キルくん”と呼んでいます)

アグロナドゥが速いとはいえ、決めきれる平均タイミングは所詮3-4ターン目です。
2ターン目までに《むかつき》なりで勝ってしまえばナドゥの強みである”止めにくさ”は無視できます。

また、ナドゥ本体はもちろんのこと1ターン目のマナクリーチャーですら即焼かれるように、ナドゥの一挙手一投足すべてに妨害が飛んでくるようなレベルのヘイトを受けていました。

これは主に環境初期にティムクラユーザーによる ヘイトスピーチ ナドゥを叩けという趣旨の記事が上がっていたことや、デッキ構造上ヘイトが高いもの(装備品やアフェット、逆棘のビルなど)を置いてエンドという場合が多いことが要因です。

その結果、アグロナドゥは「一定の出力はあるが現環境では弱い」というポジションに落ち着きました。

・一挙手一投足に妨害を吸う
・2キルくんに速度で勝てない
・2キルくんを止めれるほどのインタラクション(※)もデッキに入っていない
 ※ざっくり言うと妨害のこと。詳細はこちらを参照

これでは既存の構成ではどうやっても勝てないですね。

勝ち筋の基本線をそのままにティムクラ系統へのオーバーキル感を減らし、インタラクションを増やしてミッドレンジ風にした形も試してみましたが、2キルくん側のMH3での強化分による伸び幅、および受けるデッキの母数(主にティムクラ)の減少と2キルくんの増加に抗えるほどではありませんでした。


3."2キルくん"への反逆

2キルくんがはびこる環境でナドゥで勝つためには、ナドゥ側もそれに合わせて変化しなければなりません。
ティムクラが墜ちたのであれば次の標的はグリクシスを始めとした"2キルくん"です。

幸いなことにナドゥという統率者はデッキの速度帯を可変させられるだけのスペックを持っていました。
そうして2キルくん絶対殺すマンとして誕生したのがコントロールナドゥです。

チェイン専用のパーツをほぼ全て抜き低マナで撃てるインタラクションを限界まで詰め込んだ形で、序盤に2キルくんに対して積極的にインタラクションを吐いてミッドレンジ以降のゲームに持ち込み、減った手札をナドゥの能力で補充して切り返すコントロールデッキです。

・《Sea Kings' Blessing》等の複数体を対象に取るスペルによるリソース回復が妨害されにくい
・積極的にインタラクションを吐いて卓の平和を守ったという免罪符
・アグロナドゥと比較してナドゥの着地タイミングが後ろにずれている
・盤面に激しくヘイトが高くなる置物をほぼ置かない

以上の点から卓の妨害を吸いにくく、要件通り2キルくんをシバける形に仕上がりました。

ただどこかに対して強くなった分異なる点が脆くなるのは必然であり、もちろん欠点もいくつかあります。

一つ目は純粋にゲーム時間です。
勝ち手段を減らして1ゲームに時間がかかるようになったため、時間切れのリスクが高くなりました。方向性として60分の時間制限がある大会向きではないチューンになります。

二つ目はティムクラ等の白いデッキから出てくる撤廃者系と向き合わなければならないことが挙げられます。
ゲームのレンジが後ろになればなるほど撤廃者やレインジャー長からスタートする攻めに対応する必要が出てきます。
ナドゥでは撤廃者系に対するカウンターとしても最強だった《沈黙》が使えないのも大きいですね。

また、このころにはティムクラユーザーがティムクラに回帰してきておりこの欠点へのリスクは増加していました。

三つ目は1位に出るためのアドバンテージ回収に時間がかかりがちな点です。
装備品系へのアクセスや1マナ起動の装備品を含めた恒常的なアドバンテージ源へのアクセス手段を削っていたため、ミッドレンジ帯の段階でリソースの回復手段が引けておらず、コントロールしきれずに押し切られることが度々ありました。

2キルくんは初動を潰せばしばらく復活してこないためアドバンテージの回収が遅れても大丈夫でしたが、それ以外のデッキが徐々に増えた結果として2キルくんを叩いた後の差し込みに対応できるかが運任せになりがちでプランと呼ぶには厳しいかなと感じていました。


4.そして完成へ

2キルくん、特にログサイへの対応という目的は達成しましたが、その他へのガードを少し下げすぎとも感じていたため再度の調整です。

幸いなことに世の中のログサイに対する認識もまとも(ちゃんと止めに行かないとマズい)になってきたので、2キルくんを受けられる+アドバンテージの回収速度を意識してギリギリのラインを探りました。

そうして完成したのがコントロールをベースにした上記のミッドレンジナドゥです。
もちろん苦手な相手はいますが、世間で言われるEDH3.0~4.0の環境に対して一番バランスよくやりあえるリストだと思っています。

moxfieldのURLも載せておきます。
メインのリストは↑の埋め込みと100枚一緒ですが、サイドやConsideringに試したものとかが入っているので気になった人は見てみてください。

基本のプレイ方針

キープ基準

卓の速度感で結構変わります。
また、特定のカードを探しに激しいマリガンをしても手が足りなくなってゲームに参加できなくなるので、大まかに下記の3パターンを目安にしつついい感じの手札が来たらキープしてしまいましょう。

・パターン1:卓に2キルくんがいる(≒卓の速度が速い想定の)場合
初手に2妨害 / 1加速 / 1アド源が欲しい卓です。
妨害は1枚はピッチカウンターだとなお良しですね。

キープ基準が一番厳しい卓で6枚くらいまではマリガンを許容します。
妨害枚数は2キルくんに当てられる卓の総枚数で考えるのが重要で、自分以外にも受け色の強いデッキがいる場合はうまいこと連携して対応することを意識しましょう。
例えばこのターンは構えるからもう一人の受けに展開を優先してもらい、次はその人に構えてもらって自分がタップアウトで展開することで、攻める側に対して晒す隙を分割するとかですね。

また、他人と協力するときもナドゥ側からインタラクションを切ることを意識しましょう。
デッキ強度の関係でこちらから協力する意思を示さないと連携ができないです。
(もちろん無い袖は振れないのでケースバイケースですが…)

・パターン2:2キルくんがいない(≒普通に進んだら3ターン目が来そうな)卓の場合
初手の目安は1妨害 / 1加速 / 1アド源です。
誰が誰をどう見るかの読み合いもあり、「このカードが必要」みたいなものも一概に言えないため、初手や引いてきたカード、同卓者のブン回り状況で臨機応変にプランを変更する必要があります。

・パターン3:明確に遅い卓の場合
受ける気満々な統率者が多い卓の場合、初手は1加速 / 1アド源(激しすぎない物)が欲しいですね。
妨害は後引きでもなんとかなりやすいので、マナ基盤とハンドを補充できる体制の構築が優先です。

アド源(激しすぎない物)というのは、《手甲》のような激しいものはどうせ通らないからです。
《森の知恵》や《フェアリーの黒幕》のような「まあ消されんやろ」くらいのものでじわっと引いて激しいものは勝ちに行くタイミングに取っておくことを意識すると良いでしょう。

また、マナ基盤もマナクリのように除去されやすいものや宝石の睡蓮のような使い切りのものより、しっかりと土地を伸ばせる初手のほうが望ましいです。


ゲーム序盤

基本的にはゲームレンジを伸ばすことを意識します。
通ったら負ける / 圧倒的1位ができる ようなアクションに対してインタラクションを撃っていきましょう。
※2キルくん相手に限っては初動を潰すのが重要です
 クリプトや太陽の指輪をガンガン消していきましょう

ナドゥを着地させる時も1バック構えておきたいですね。
手が強い相手を止めるためなのはもちろん、場に誘発剤が何もないのに除去を撃ってくる人も居たりするので自衛用という意味合いもあります。

このターンは無理だけど1ターン待つと1マナ浮いて1バック構えられるというケースではキャストターンを遅らせることも考慮しましょう。
ここの1バックには純粋な妨害だけではなく、複数対象に取れるインスタントも含みます。


ゲーム中盤

中盤と書いてますが、明確なターン数の目安はありません。
受け寄りのプレイで他者にリソースを吐いている状況からリソース回収へとギアを上げるタイミングのことです。

中盤の目標として、複数を対象に取れるスペルを3体以上対象で唱えることを目指しましょう。
ほぼ妨害されない1マナインスタントを撃つだけでギアを上げられるため、対象が3体だけでも見た目以上に強力な行動です。

受けよりのナドゥはこのギアチェンジの隙がほぼ無いこと、妨害しにくいことが今までの他のコントロールデッキと明確に異なる強みです。


ゲーム終盤

リソース確保後、卓内の順位が明確に1位になったタイミングです。
相手の盤面や手札枚数を考慮し、手甲のようなフィニッシュカードを通しに行くか受け潰すかを判断していきます。

デッキ構造上、基本的には1位に立った後も何回かターンを渡すため、受け間違えて頓死することもまあまあ発生します。
ここについてはゲーム回数をこなし経験を積まないと判断が難しい所なのでひたすら対人戦をこなしてください。

また、一つ明確に言えるのは、リス研やレモラのような他人が振り込むことができるものへの対応です。
これらはマストカウンターなので基本的には無茶してでも弾きましょう。
すでに着地している場合は1位に躍り出る前のどこかで剝がすように頑張りしょう。


採用カードについて

各種”王”

《Sea Kings' Blessing》を初めとした複数体対象を取る呪文のこと。
仲間内では「Sea Kings'」にちなんで○王と呼んでいます。

基本的に妨害されないアンリコで、2発目以降どんどん出力が上がっていくドローソースです。
前項で書いたようにギアチェンジの隙を作らず妨害もされにくいのが強みであり、デッキの心臓部といっても過言ではありません。
これが無かったら受ける構築が成立していないと言えるくらい重要なパーツになります。

《Lapis Lazuli Talisman》

仲間内での通称は💎。
卓内の青の数と自分の場のクリーチャー数で出力に幅は出ますが、最低限自分のアクションでほぼ誘発するので基本的にリス研レモラより強いです。
なんならこのカードに慣れるとリス研レモラでは物足りなくなるレベル。
マスカンなんで見かけたらカウンターするか破壊してください。

《セゴビアへの侵攻/Invasion of Segovia》

仲間内での通称は🦑ちゃん。
ひっくり返ってエンドの誘発を迎えたら概ね勝つと書いてある特殊勝利カード。
ナドゥ4誘発もですが、受けに必要な青4の供給が非常に強いです。
基本的にマスカンなんでこれも見かけたらカウンターするか、反転後にメインで除去してください。

なお、ナドゥ依存度が高いカードなのでナドゥに依存しないリソース札に差し替えることもあります。

《エメラルドの魔除け》

ふんわり残ってるインタラクション。
ティムクラ系統への負け筋になるリス研レモラ徴税を割れるほか、自分のクレイドルや他人の土地を起こしたりナドゥ誘発に使えたりと手で腐る場面が少なく軽いため優秀です。
ミッドレンジ以降を意識しているナドゥでは1回試してみてほしい1枚ですね。

《アガサの魂の大釜》

インタラクションと誘発剤を兼ねる1枚。
脱出が入ってる相手に嫌がらせしたり、レインジャー長に対して強く出たりと地味に強いです。
基本的に相手の墓地を煮込んでナドゥを誘発させたり、除去されたマナクリを煮込んでナドゥその他がマナクリになるだけで十分。

また、森を護る者やエルフの牧人を煮込むと宇宙ですね。
卓全体のヘイトを買いにくい誘発剤かつ上振れがあり、インタラクションとしても及第点なのでデッキに残り続けています。

おわりに

最初はあんまり味がしない統率者かなーと思ってましたが、コントロール型を作ったあたりから評価ががらりと変わりました。
今のリストについても私を含め4人がかりで約1か月弱調整した結果で、リスト・プレイ合わせてそれだけ遊ぶ余地が広く面白かったです。

今後についても、ティムクラ系統が増えるのであればアグロ寄りの構築に戻ることもあるでしょうし、2キルくんが増えてコントロール寄りに戻すこともできます。

環境に合わせた調整とプレイを考える余地が多分にある統率者なので興味がある方はぜひ使ってみてください。

質問があったらX(https://twitter.com/NoMark_mtg)で聞かれたら答えるかもしれません。

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