無職、独身。絶望のハローワーク。【転落人生-倒産編3/8】
ここまでのお話と今回のあらすじ
押し寄せる絶望。
私は倉庫アルバイトで汗を流す傍ら、求人に応募する毎日を送っていた。
就職活動のあまりの手応えのなさに、心が次第にすさんでいく。
そしてアルバイトをしながらも金がなくなりかけると、実家に少しばかりのお金を無心する情けない毎日。
自暴自棄になりながらも、なんとか自分を奮い立たせて求人を探していると、気になる求人を一件見つけた。
はたして私はこのまま腐って朽ちていくのか、それとも希望の光を見つけるのか?
無職男の絶望の毎日。もうだめか
私は倉庫で働きながら、転職サイト、ハローワーク、エージェントなど、考えられる色々な媒体を通じて求人に応募した。
その当時33歳。再スタートとしてはギリギリの年齢だと思っていた。
企画書を書いて応募書類に添付したり、自分の熱意を示すために色々な工夫してはみたものの効果は全くない。
しかし、そう考えていたのは自分だけのようだった。
採用側からしてみれば、一貫したキャリアのない私ような人物は、敬遠したい応募者とみなされていたのだろう。
書類選考すら通過しない日々が半年近く続いていた。
当時は毎日のように求人を検索し、三日で二社に応募することをノルマとしていたが、それでも時間を持て余してしまうことがあった。
そうなると、定職についていない自分が嫌になってくる。
それを紛らわせるように、私は近所を散歩したり図書館に通っていた。これならばお金を浪費しないで済む。
とはいうものの腹は減る。節約を心掛けていたが、それにも限度がある。
アルバイトはしていたものの、それでもお金が足りなくなると実家に仕送りを頼む。
これほど情けないことはなかった。散歩しながら涙が出そうになった。
こんな生活がいつまで続くのか、俺はもうダメなのか、実家に戻ったほうがいいのか、そんな思いが頭の中をグルグルと駆け回っていた、
そんなある日、いつものようにハローワークで仕事を探していると、ぜひともやってみたい仕事を見つけた。
この求人は、隅から隅まで舐めるようにして奇跡的に見つかったものだ。
仕事内容も勤務地も給与も申し分ない。なんでこんな案件がハローワークなんかに出ているのだろうと不思議に思ったくらいだ。
ただこれほどの条件であれば、その競争率は恐ろしい数字になることが予想されたので、念のために現在の応募状況を聞いてみた。
すると、応募締め切りまで一か月以上あるにもかかわらず、すでに50倍を超えているとのこと。おそらく、最終的にはこの倍はいくだろう。
絶望的な数字だ。ヤル気が一気に削がれていく。
絶望の無職男が一縷の望みを託したお宝求人
この求人は隅から隅までチェックしてやっと見つけたものだが、それは私だけではなかったのだ。
そして、倍率のも高さからその応募を躊躇していた。
そんなとき、心の声が聞こえてきた。
『失うものはないのだから、不採用だったとしても痛くもかゆくもない』
私はダメもとで応募してみることにした。
きっと、とんでもない経歴を持つ人が何人も応募しているのだろう。そんな人たちに勝るポイントは私には何一つない。
そこでとにかく、熱意だけでもアピールすることだけを心掛けた。
どうせ時間を持て余しているんだし、納得のいく応募書類を作ってやろうと意気込む。
それにはまず、応募書類が採用担当者の目に留まらなければ何も始まらない。
そこで、履歴書のフォーマットを大きくいじり、自分のやりやすいように書き換えた。もちろんPCで作成した。こんなものを手書きしていては日が暮れてれてしまう。
そして、嘘とは言わないまでも、ちょっとだけ話を盛った職務経歴書を作成して、やっと全てを書き終えた後、それを何度も何度も見直して推敲を繰り返した。
時にはハローワークの職員にも見てもらい、第三者からのアドバイスももらいながら、なんとか納得のいく書類を作り上げることができた。
さっそく最寄りの郵便局に行き、祈るような気持ちで応募書類を郵送し、そこから待つこと2~3日。先方から電話があった。
それはなんと、書類選考通過の連絡!
絶望や失望が続いた中で、少しだけ希望の光が見えてきた。
やっとつかんだチャンスだ!!
私は、この好機を逃してなるものかと意気込んだ。
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