GoogleがWizを3.6兆円で買収交渉
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クラウドセキュリティ(クラウド保護)の領域で驚きのニュースが飛び込んできました。
以下の記事は、2024年7月16日のSDxCentralの記事を意訳したものになります。意訳後に記事に関する考察を述べています。
Google reportedly in talks to buy Wiz for record $23B: Customers and industry impact
Google、記録的な230億ドル(約3.6兆円)でWizを買収交渉中との報道:顧客と業界への影響
Googleが230億ドルでWizを買収交渉中との報道
Googleの親会社であるAlphabetが、クラウドセキュリティのユニコーン企業であるWizを約230億ドル(約3.6兆円)で買収する交渉中であると報じられています。
これはGoogleにとって史上最大の買収となります。この動きは、Googleがクラウドコンピューティングとサイバーセキュリティの両方で競争力を強化する方針を示すこととなり、サイバーセキュリティの重要性の高まりと業界内で進行中の統合を強調しています。
2020年にイスラエルで設立されたWizは、2024年5月に10億ドル(約1,580億円)を調達した後、評価額が120億ドル(約1.9兆円)まで急上昇しました。
このスタートアップは2023年に年次定期収益(ARR)3億5000万ドルを達成し、フォーチュン100の40%以上の企業にサービスを提供しています。Sequoia Capital、Andreessen Horowitz、Index Ventures、Lightspeed Venture Partnersなどのベンチャーキャピタル企業から支援を受けています。
Wizは、Amazon Web Services(AWS)、Microsoft Azure、Google Cloudを含む主要なクラウドプロバイダーと提携しています。また、従業員数を増やし、米国、ヨーロッパ、アジア太平洋、イスラエルにわたる現在の900人以上の従業員基盤に追加する計画です。
「私たちの目標は野心的で、年次定期収益10億ドルを目指しつつ、将来のIPOも視野に入れています」とWizのCOO兼社長のDali Rajic氏は以前SDxCentralとのインタビューで述べています。
Google Cloudのセキュリティポートフォリオの強化
GoogleのWizへの関心は、2022年にサイバーセキュリティ防御および対応ベンダーMandiantを54億ドル(約8,500億円)で買収した後に続いています。
MandiantのGoogle Cloudへの統合は、Googleのサイバーセキュリティ能力を強化し、AWSおよびAzureとより効果的に競争することを目的としています。
Google Cloudはまた、Google Cloud Next '24イベント中に、生成型人工知能(genAI)能力をセキュリティ運用に統合するGemini in Security Operationsを発表しました。これには、Mandiantの脅威インテリジェンスとセキュリティコマンドセンターサービスが含まれます。
Wizをポートフォリオに追加することで、Googleはセキュリティオファリングをさらに強化するでしょう。Wizの技術には、クラウドネイティブアプリケーション保護プラットフォーム(CNAPP)が含まれ、複数のクラウド環境での可視性とセキュリティを提供します。
Google CloudおよびWizの顧客におけるメリット
Google Cloudの顧客にとって、Wizの買収は、クラウド環境に対する深い可視性を提供するWizの技術がもたらす可能性があります。これにより、Google CloudおよびMandiantの既存のセキュリティ能力と統合されることで、脅威をより効果的に検出し、優先順位を付けることができます。
Wizの顧客は次のような利益を期待できます。
Googleの高度な脅威検出および対応機能へのアクセスによる強化されたセキュリティ能力
Googleのグローバルインフラストラクチャを活用したスケーラビリティとパフォーマンスの最適化
GoogleのAIおよび機械学習能力へのアクセスと、GoogleがWizのプラットフォームにAI技術を統合することによる自動化されたセキュリティ能力の提供
クラウドセキュリティの競合状況
クラウドセキュリティ市場は非常に競争が激しいです。Gartnerは昨年のCNAPPsレポートの市場ガイドで27の代表企業を名指ししており、その中にはAqua Security、Check Point、CrowdStrike、Lacework、Microsoft、Orca Security、Palo Alto Networks、Rapid7、Sysdig、Trend Micro、Wiz、Zscalerなどが含まれています。
クラウドセキュリティ業界ではいくつかの大きな動きがあり、最近ではFortinetがLaceworkの買収計画を発表し、Aqua SecurityとOrca Securityという2つのクラウドセキュリティユニコーンがランタイム保護と可視性機能を統合するパートナーシップを発表しました。
GoogleのWizの買収の可能性は、クラウドセキュリティ市場の動向を変える可能性があり、サイバーセキュリティ業界で進行中の統合のトレンドを強調しています。
以上が、SDxCentralの記事の意訳となります。
この記事に関する考察
日本国内では、7月13-15日の3連休に飛び込んできたニュースになりますが、正直驚きました。
先日、同じCNAPP領域でのAqua SecurityとOrca Securityのパートナーシップについての記事を投稿したところですが、Palo Alto NetworksとCrowd strikeに次ぐWizが、まさかGoogle(Alphabet)が買収する(買収できる)とは思ってもいませんでした。
いわゆるクラウドセキュリティ(クラウド保護)は、上図の右上「Cloud Security」となります。
売上規模を考慮すると、主なクラウドセキュリティベンダーとしては、Palo Alto Networks、Crowdstrike、Wiz、Lacework、Sysdig、Aqua Security、Orca Security になります。
もちろん、AWS(Security Hub等)、Microsoft(Defender for Cloud等)もありますが、Googleについては、殆どこの領域では目立っていませんでした。
Wizについては、2024年5月に10億ドル(約1,580億円)の資金調達を行い、評価額120億ドル(約1.9兆円)となったため、企業買収されない(普通の企業ではできない)評価額まで達成したと思っていましたが、まさかGoogle(Alphabet)が、Wizを買収検討するとは思いませんでした。
Googleが、今年5月の評価額 1.9兆円 の 2倍 の 3.6兆円で買収できるのかどうかが今後注目です。
Mandiantに続き、CNAPPのWizを取り入れ、サイバーセキュリティ分野で、AWSやMicrosoft(Azure)へ対抗できるかどうかに注目です。
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