手紙
なにを待ってるわけでなくともたびたびメールボックスを開いてしまう。
帰ってきて郵便受けを凝視してしまう。
すばらしい知らせはすばらしい知らせが来ると思わないうちに来るものだというように。
待つことの楽しさしんどさをよけてしまって、なにを待っているのか忘れているように呆けてずっとなにかを待っている。
「じつは……」というのを待っている。
ほんとうのことはすばらしく、見えないところからやってくる。
反対に、目の前のことはすべてゲームなのだと思う。
よくできたかできなかったかという作りものの分岐しかない。
ゲームの攻略法とか、覚えてきたものがすべて無に帰る日が来る。それはすこし惜しいかもしれない。
海の底を見てきた浦島太郎が羨ましいと思う。帰ってきた浦島太郎を哀れだと思う。
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