今日の漫画
書くことないわ! でも今日のよかったことを書いてくね!
・永田正実「団地レンジャーズ」がよかった。
2007年の短編。団地でとなりの部屋に住む年上のおにいちゃんにずっと片思いしてきたけど……的な、物語の前提はよくある話なのだけど、そこに「反対側の隣に住む同い年の男子」、「別の階に住む同い年の女子(おにいちゃんを狙う主人公にとっての天敵)」と四角関係をつくる人物がでてきて、物語は「団地」と「学校」の二軸を持つ。(同い年3人組は同じ高校に通う)
高校生としてのフレッシュな学園生活も、我慢を知らず暴れまわっていた幼少期の過去も、「高校生以前」からの付き合いの肩の力の抜けたほのぼのとしたやり取りも描かれて盛りだくさんだ。それぞれの段階で人物たちが思惑を抱えて動き回っている。
というふうに盛りだくさんな話なのだけど、個人的に「主人公の天敵」の女の子がとってもいい!
主人公とおなじく団地のおにいちゃんに片思いをしているのだけども、その思いのぶんだけ主人公への当たりがめちゃめちゃ強い。もともとそんな気性の子なんだろうけど、矛先が完全に主人公に向いてしまっている……裏を返せばそれだけおにいちゃんに惚れ込んでしまっていて、思うに任せない恋へのストレスや成就させ得ない自分へのコンプレックスに飲まれて、暴力的になってしまっているように思う。
その描き方がすばらしく新鮮だ。顔を合わせば幼児並み、それか小学生男子並みの暴言を吐くし後ろ姿に呪詛、大声を出すわ幼少期は暴力も辞さない。天性の悪ガキといった描かれぶり。
しかも眉根にしわの吊り上がった目つき!
少女マンガらしい――ことに永田正実はその完成させた画風が特徴的だけれども――まんまるい黒目と濃くやわらかな睫毛のふちどりを残したままで、眉の角度や睫毛の配列で絶妙に気の強いヒールっぽさを出している。サンリオのクロミを思わせる表現だ。
別マに代表的な爽やかな恋愛少女マンガの世界で、こうした「暴」をマスコット化したようなキャラクターは意外とめずらしい。いわゆる「女子高生」らしくもないし、基本的にみんないい子ちゃんだからか。
クロミらしく……というわけでもないが、彼女はやっぱりサブヒロインで、作中で恋愛を成就させる立ち位置にはないのだけれども、そのすがすがしいキャラの貫きっぷりが痛快だ。これはぜひとも連載化してほしかった……。
・オザキアキラ「ふしぎの国の有栖川さん」5-6巻
これもよかった……! 巻数が進んで人物も増え、関係が複雑化していくなかで、ひとりひとりから100%学びを得て主人公が着実に成長していっている……! その学びの先にひらかれてある世界観が、もちろん恋愛ベースではあるのだけれどかなり前向きで健やかで人間的にたくましい。頼りなげで純真すぎる主人公のつくる世界観の本領が示されてきている。この作品はちゃんと取り上げたい。
以上、寝るぜっ!