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いいことばかりなのに、なぜか不安になるの

9月を目前にして、新組織が発表になった。
わたしの所属するチーム日本はふたつに分かれ、わたしは4人グループ(チーム東日本)に入る。メンバーはチーム日本のから、現Mgrの千葉さん &仲の良い埼玉さんが抜擢され、隣から仲のいい神奈川くんが異動してくる。

新生チーム西日本のMgrにはリーダーその1であった大阪さんが昇進した。かなり若いマネージャーになる。話せばなんてことないがなんとなく緊張感があった同期のリーダーその2京都くん、そして、同じくチーム日本で担当として共に辛酸を舐めてきた仲良しの後輩神戸ちゃんも同じくチーム西日本に、さらに隣から2名増員。

元は6人だったグループが、チーム東日本4人、チーム西日本5人と計9人に増員されたのだ。

チーム西日本に配属されなくてよかった、と心底思った。大阪さんは外資系でも活躍できそうなパワフルでエネルギッシュなたくましい女性で、さっぱりした性格が好きではあるが勢いのある話し方にしばしば疲れると思っていた。
悩み事にストレートに対処できてしまうので、あのめんどくさい人に連絡するの嫌だな、みたいな気持ちはわからないようで、それできるならやってるよ、ってこともたびたびあった。
今わたしが適応障害で在宅していることをどう捉えるかわからないが、今のようにのらりくらりと働けないだろう。要はそういう、人間的な不安感や戸惑い、ためらいみたいなものを感じない人だ。

京都くんと離れるのは少し残念だ。彼と話していると常に学びがあって、考え方も立ち振る舞いも話し方もとても真似できない、いつもすごいなあと思える人だからだ。彼がわたしをどう思っていたかわからないが(仕事しない、できない奴だと思われているだろうが)、わたしは彼が好きだ。

後輩の神戸ちゃんと離れるのはさらに辛い。もともと違うリーダーの下で働いていたが(神戸ちゃんは大阪さんの下、わたしは京都くんの下)、我々は2人しかいない担当として、水面下で手を握り合い辛さを分け合ってきた。
今度は神戸ちゃんの下に新しく奈良と和歌山が入ってくる。奈良は神戸ちゃんの後輩で、明るく前向きな子だ。和歌山はまだわからないが、個性的なビジュアルの、たくましそうな子だ。

わたしは、神戸ちゃんと水面下で握った手が離れてしまうことが怖い。また、このやりがいを微塵も感じない仕事をこなすだけの日々を1人で抱えることになることを恐れている。

恐れているのはそれだけではない。
神奈川くんに仕事ができないと思われることが怖いと思った。
もうひとつ恐れているのは、わたしは評価されていない、と感じ続けることだ。組織が発表されたときがっかりした。中途採用の神奈川くんの名前は、組織図上、わたしより前にあった。ああ、またわたしは下っ端なのだ、と思った。この1年半の仕事ぶりは、この部署で働いたことのない彼以下なのだ、と。

確かに今のわたしは、わたしには、以前別の部署にいたときのような、マグマのように熱く滾る、溢れ出るような情熱は微塵もない。
以前のわたしを知っている人が今のわたしを見たら驚くだろうし、逆もまた想像がつかないくらい、今のわたしは茂みに囲まれ日も当たらない、水面が揺れることもない淀んだ池の、腐った水のようなテンションで仕事をしている。周りもやりづらかろう。

評価として正当なことは間違いない。そりゃそうだ。やることしかやっていないし、熱心に仕事をしていない、アピールポイントも大してない。ならば何故そんなに落ち込んでしまうのだろうか。
わたしはまだ、自分自身の変わりようを心で受け入れることができていない。煮え滾るマグマからヘドロになってしまった自分の情熱に慣れていない。過去何年も、自分は情熱的に働き積極的に働きかけ、外向きのエネルギーを発し続けてきた。評価されるのが当たり前であった。だからこの体たらくに戸惑うのだ。

転換期なのだ、と言い聞かせる。仕事ばかり懸命にやってきて、体を壊し、視野を失い、精神はもっと追い込んだ。情熱の持てない仕事に、湿った導火線に火をつける努力より、導火線を切り捨て別の着火源を見つける方が今後の自分のためなのだ。いや、むしろ火をつけ燃やすことが必要なのかどうか、それすらも疑問なのだ。今は考え直す時期なのだ。割り切るのだ、自分よ。そう言い聞かせるのだ。

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