コミュニティとカレーの会のおいしい関係
こんにちは。2019年6月まで仙台でコワーキングスペース「ノラヤ」を運営していた、元ノラヤ管理人です。
昔、カレーJellyをやっていた
ノラヤでは、以前「カレーJelly!」というイベントをやっていました。カレーをみんなで食べる会です。
初めてのカレーの会は2014年4月。
最後にやったのは2016年4月。初回が0でこれがvol.8だから、9回やったことになります。
その後はやらなくなりました。
やらなくなった理由は、おもにこの二つ。
1. 管理人の負担が大きい
2. 盛り上がらなくなった
その経緯を語ったことがなかったので、書いておこうと思います。
カレーの会のやりかた
一応カレーの会をどのように実施していたかを説明します。
まず管理人が前日までに材料を買い出しし、当日午前中〜14時ごろに「かなり具が多めのカレーの、カレールーを入れる直前」まで調理します。普段自宅で作る時のカレーの倍〜1.5倍くらいの量にしました。
その「カレーの素」をジップロックに入れ、二重三重に袋で包み、もれないように注意しながら、自転車でノラヤに運びます。ちなみに以前は、炊飯器も同時に自転車にくくりつけて自宅から持参していました。のちに炊飯器の寄付があったためその必要はなくなりました。
ノラヤに着いたらごはんを準備します。お米を研いで給水させておきます。
そしてカセットコンロで、大きい鍋に自宅から持って来たカレーの素を入れ水・コンソメ、トマト缶などを足します。ふたたび煮立ったところで、味を決めます。カレールー、各種スパイス、ソース、ケチャップなどを使います。このへんは私が普段自宅でやっている自己流です。
味が決まったら火を止め、炊飯スタートします。カレーの会が始まる頃にごはんがたけます。
カレーの会は基本セルフサービスで、各自ごはんとカレーを好きなだけ盛って食べます。
それだけです。
カレーを食べるだけで楽しいと思っていた
コワーキングスペースでカレーを食べるということは当時、けっこう多くのスペースでやっていたと思います。
カレーって、カレーというだけでなぜかテンションが上がって嬉しくなりませんか?さらに、集まってみんなで食べる、それだけで、なんだか楽しい気分にならないですか?学生の頃の、キャンプや合宿みたいで。大人になってそういう集まって食べる経験ってなかなか、ないじゃないですか。私も、楽しそうだなと思ったから真似して始めました。カレーが嫌いな人はほとんどいないし。
トッピングになるおかずやサラダなど持ってくる人もいて、豪華になることもありました。
参加者の中には、「お店以外で人の作ったカレー食べるの、何年ぶりだろう」なんて言う人もいました。一人暮らしだったら、特に料理好きやカレー好きでもない限り、わざわざカレーやおでんなど大鍋料理は作らないですよね。
会の間は、自己紹介ぐらいで、ただカレーを食べるだけなんです。
でも、なんとなく近況報告や最近気になっていることなどから話がはじまり、初めて参加する人の自己紹介などから話題が派生することもあり、いつも楽しく盛り上がりました。
あれっ。盛り上がらない。
何回か繰り返したある日。参加者がちょっと少なめで、新規の人もいなくて、自己紹介の必要もなかった回がありました。すると、ひととおりカレーが行き渡ると、
「しーん……」
と、してしまったのです。あれっ、盛り上がらない。
はじめて、本当に「カレーを食べるだけ」の会になりました。参加者は食べ終わるとなんとなくスマホをいじったり、本を読み始めたり。
焦りました。私はいつも、てきとうにカレーの準備だけしていればみんな勝手に盛り上がってくれると思っていたので。
「◯◯さん、最近どうですか?」「先日こんなことがありましてねぇ」
必死で私は話題を振ろうとしました。しかし、喋るのが大の苦手な私が、うまく場を盛り上げることなんてできるわけがありません。
そうか、これまでは誰かお初の人がいると、そこから新しい話題が生まれて、会話がなんとなく広がって、楽しく盛り上がってた。でも、全員顔見知りになっちゃったら、もう、特段話すこともない。
(ちなみにお喋りが得意な女性が1人いれば多少違ったかもしれませんが、ノラヤ利用者は圧倒的に男性が多く、この日も男性オンリーでした。)
やり方を変えてみよう!
そこで私は考えました。
同じような飲食イベントで「たこ焼きJelly!」というのがあり、こちらも人気です。こちらは参加者のほぼ全員が「作る」行為に参加します。具を入れたり、くるくる回したり、ほっといてもみんな積極的においしいたこ焼きを作る努力をしてくれます。
一方、カレーの参加者は用意されたカレーを食べるだけです。ならば、カレーにも「参加」の要素を作ってみてはどうか。
そこで「闇カレー」を企画しました。
たこ焼きの時は、毎回参加者が何か面白い具を持ち寄ってくるので、思いもよらない新しいたこ焼きができます。同じようにカレーでもできるんじゃないかと思ったのです。
上記レポートにも書きましたが、面白かったです。へんな具が投入されるたびに、笑いが起き、面白かったんですが……
たこ焼きと違って、カレーに面白い具を入れまくると、おいしくなくなるんですね………………いや、まあなんとか食べられるものでしたけど。
せっかくのカレーの会が、カレーがだいなしになる会では本末転倒です。
その次には、「昼カレー」をしました。これまで夜だけ開催していたので、時間帯を変え新たな参加者を呼び込もうというもくろみです。闇はやめて、カレーはいつもどおりにしました。
たしかに初参加の人がけっこういたのですが、問題のある人も呼び込んでしまい、ちょっと嫌な思い出が残ってしまいました。その人が汚した床を拭きながら「もう昼カレーはやるまい」と心に誓いました。昼カレーがダメなんじゃなくその人がダメなんですが、また来られるといやだったし。私が欠かさず書いているイベントレポートをこの時書いていないということは、本当に思い出したくなかったんでしょう。
次は、また夜開催にしよう、と思いました。でもいったいどう工夫すればいいのか。カレーの下準備の負担が大きいのもつらい。
「じゃあ、最初からみんなで作るカレーにしてみようか……」
「みんなでカレー作ったら管理人さんの負担も減るし参加者も楽しいのでは?」
というアドバイスは、ときおり寄せられていました。
ノラヤにはまともなキッチンがないし、下準備までノラヤですると生ゴミが出て処分が大変そう。でも、最低限の調理器具はあるし、やってみようか?
そう思って、最初から作るカレーの会を企画しました。
ところが。
申し込む人がほとんどいなくて、中止となりました。
その後、別のイベントで常連さんがこう言っていたので納得しました。
「最初から作るカレーなら、行かない」
「作る」体験があれば楽しいはず。それはこちらの勝手な思い込みにすぎなかったのです。
そりゃそうです。私だって作らずにカレーが出て来るなら、どんなに楽か。そう気付いたら、なんだかあまりやろうという気が起きなくなりました。飲み食いイベントはたこ焼きがあるし、別にカレーはやらなくてもいいか……
こうして、ノラヤのカレーはやらなくなりました。
考察
ちなみに、こんなに私がカレーイベントにこだわって続けていたのは、ぶっちゃけ、カレーは材料費が安いので収入がありがたいイベントだったからです…
定番イベントは、マンネリ化していきます。なんらかの工夫をして毎回新鮮ななにかがないと、人はわざわざ足を運びません。夏野菜カレーだとか、チキンカレーだとか、微妙に味を変えたりはしたんですけどね。
メンバーが同じなら、ジェンガやシンプルなゲームをするとか。なにかお題についてトークするとか。
でも、コミュニティの初期にカレーは非常に良いです。知らない人たちが一緒にカレーを食べるだけで、なぜか笑顔になれますから。これから成長していく新しいコワーキングスペースなら、スペースに人を呼ぶ気軽なイベントとして、カレーの会を開催するのはおすすめです。
できれば、まともなキッチンがあって、最初からみんなで作るカレーとして開催したほうがいいと思います。やがて定番となって「今日は◯◯さんの作るカレー」なんていうふうにできたら、マンネリ化もしないし、理想的。
いや、むしろ「じゃぁ、次は僕がカレーを作るよ」という人が出て来るようなコミュニティづくりができていったら、そのスペースもうまくいくんじゃないかなと思います。
ノラヤをクローズしてからは、ほぼ無職の日々です。自腹でスペースめぐりをしているので、支援いただけるとすごく嬉しいです!ドロップイン費用や交通費に活用させていただきます。