珈琲に魅せられた話 (2杯目)
気が付いたら、焙煎したての珈琲豆とミルが目の前にあった。
珈琲ミルを手に入れ、珈琲豆にお湯を注いで蒸らすところから、カップを口に運び珈琲が喉を通り過ぎるまでの過程・香り・味わいの他に、珈琲豆を挽くという作業と音、珈琲豆の挽きたての香りという楽しみが加わった。
珈琲豆を挽き、淹れて飲むまでの行為を、視覚、聴覚、味覚で楽しむ。そんな、日々を繰り返しているうちに、珈琲豆を焙煎している時の香りも体験したいと思うようになっていった。
気がついたら、小さな焙煎パンと珈琲の生豆が目の前にあった。
買ってきた生豆を焙煎パンに入れ、明らかに形や色の悪い豆を取り除く。
ガスコンロに火を入れ、均等に火が入るように焙煎パンを回す。生豆は薄黄緑で、少しずつ膨らみながら褐色に変わっていく。
その時のソレが放つ芳香は、今まで嗅いだことのないものだった。何と表現したらいいのだろうか、ふわりと甘く感じるその芳香が、至福の時に導く。
その芳香はキラキラと輝いて見えた。
つづく
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