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鰻絶滅問題からイーロン・マスクまで #サイバーバカ異世界 中間報告

「アンプリファイド・ライフ・マガジン(ALM)」を始めてから数ヶ月が経過し、いまのところ唯一のコンテンツである「サイバーバカ異世界」略して「サイバカ」も回数を重ねてきました。

「アンプリファイド・ライフ」って何なのかという話についてはこちらの「アンプリファイドライフ宣言」を読んでいただくとして、今回は「サイバカ」の過去回を振り返ってみようというものです。https://note.mu/nnnnnnnnnnn/n/n2dd0f027c942?magazine_key=m86672b9b6e77


■計算資源としての鰻。まず第1回目は6月に収録したこちら。
「サイバーバカ異世界とは何ぞや」という話から始まり、ディストピア観の変遷についてテクノロジー系やサイエンス系のニュースを絡めて語っていくという形式がこの時点でだいたい採用されています。

このときは、「鰻が絶滅しそうになっているのに大量に仕入れて大量に廃棄している」というニュースから、「生物多様性を計算資源の多様性と読み替える未来」を考える内容になっています。マンガ『ナチュン』や、小説『コルヌトピア』を面白いと思ってる人には楽しく聞いてもらえる内容なのではないかと思います。あとイーガン『順列都市』かな。

僕はさいきんのエコロジーにおいて「なんで生物多様性を維持しなければならないのか」という議論を「計算資源として様々な生物種を捉え、その多様性は重要なのではないか」という方向にもっていこうとしています。それともうひとつ、21世紀的な階級社会がデジタルディバイドやグローバル経済における日本の地位の低下からどのように生まれてくるか、そして今後のAIの発達以降の労働環境や感情労働という議論もしています。
https://note.mu/terry10x12th/n/nfda0693d08b5?magazine_key=m86672b9b6e77


■ディストピアの階級性と多次元性。第2回は7月に収録したこちら。
前半の配信分は手違いで消えてしまった模様。僕のリテラシーの低さが悪いんですけど、配信プラットフォームにツイキャスを選んでしまったのが原因としても大きい気がする。ツイキャス、UIがわかりにくい。

第1回の最後に触れられた「IT階級」とかIT企業がグローバル企業として国家のように振る舞う世界について語っています。でも日本は経済的に沈没し、企業文化が前時代すぎてIT企業国家みたいなものが生まれたとしても、IT階級における貴族みたいなところに参入できない被差別民族になっていくのではないかという話です。

ここで、以降で使われる「打ち水ディストピア(日本的ディストピア)」「人力ディストピア」と「資本主義ディストピア」という、21世紀の2種類のディストピア像が打ち出されることになっています。

つまり、IT企業国家の「国民」あるいは貴族のような階級に属することのできるグローバルエリートと、デジタル・ディバイド的にそこから疎外される被差別民たちとにおおきく2層化する「資本主義ディストピア」と、その被差別民たちが形成する、愚劣な「打ち水ディストピア」。打ち水ディストピアはひとまず「日本的」と言われていますが、これはグローバルエリートになれない人たちの世界ではどの地域でも出現するだろうなという話です。

『銃夢』や『エリジウム』などを参照しています。
https://note.mu/terry10x12th/n/n13bc4e7a3003?magazine_key=m86672b9b6e77


■BMIとイーロン・マスクとメンヘラ。そして現時点で最新の、8月収録回。
7月回の最後に、ディストピアそのものが次の2つ、

つまり

上流ディストピア
 グローバルエリートが貴族化してアセンションする世界

下流ディストピア
 階級の低層の人々が暮らす世界。現状の日本的なままの世界

に分離していくという話をしました。
ここではその分離の焦点になっていくと思われるBMIつまりブレイン・マシン・インターフェースについて語っています。

メンタルヘルスの問題について話題になったイーロン・マスクを象徴として、上流ディストピアのグローバルエリートの問題を話したかったのですが、BMIでどんな社会が実現するかという方向に話が盛り上がりました。

言及している作品は野崎まど『know』や川原礫『ソードアート・オンライン』、冲方丁『マルドゥック』シリーズ。テリーさんが実際に取材したこのあるブレインマシーンインターフェースの話も出てきます。メガネが視力的な障害をある程度サポートしているのに、それが「萌え」の対象にされたように、BMIのヘッドセットがサポートする障害が未来の「萌え」を生み出すのではないかというような話もしています。Zoffみたいに、BMIデバイスを仕込んだウィッグをファッションとして提供するブランドが出てくるんじゃないかなと。

このときの話で個人的に重要だと思うのは、イーロン・マスクがPayPalでもテスラでも環境インフラとサービスを同時に考えているところと、BMIとIoTの組み合わせがつながってくるのではないかという話です。インターネット普及以降に生まれたデジタルネイティブの感覚のように、BMI普及後に生まれるであろうBMIネイティブの人たちの空間認識能力がどうなるのかというのが興味深いなと。BMIとIoTを補助するAI技術と人間がハイブリッド神経系を構成する世界。

なお8月からはツイキャスでの配信にさきがけてラジオトークという音声配信サービスで予告番組をするようになりました。
https://radiotalk.jp/program/4365


■そして次回は9月。テーマは「未来の性愛」です。
9月20日の21時からのツイキャス配信をお待ち下さい。


※今回のアイキャッチ画像は、ALMでデザインを担当してくれている黒木契吾さんによる、ALMロゴバージョンアップ中のスクリーンショットです。


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