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星野源‐地獄でなぜ悪いとエンタメに宛てて

めちゃくちゃ自分語りです。

私がこの曲と出会ったのは大学生の頃だった。

私が通っていた大学は芸術系ということもあり、そのへんのTSUTAYAよりも豊富な量のCDの貸出や、映画もたくさん見ることも出来た。

無限に時間のあったあの頃、私は目に付いたCD、本、映画、なんでも手に取ってみていた。
その中のひとつがYELLOW DANCERだった。

星野源と出会ったのもその作品だった。
YELLOW DANCER、日本人による日本人のためのポップスとわたしは解釈している。

その頃我が家は父親が失踪し、正直家庭環境は最悪だった。

大学生活もあまり上手くいっておらず私の小さな世界はまさに地獄だった。この世には私よりも大変な人なんてたくさんいるのに。
屋根のある家に住めて、ひとまずごはんを食べることができて、学校にも通えている。

でも父名義のこの家はいつなくなるのだろう、ごはんが3食たべられなくなるかも、学校をやめて働かないといけない?
私はある日突然無くなるかもしれない明日を抱えながら生きていた。

そんなときに「地獄でなぜ悪い」に出会った。

事あるごと地獄だ、はやくどうにかなりたいと思っていた時に「地獄でなぜ悪い」というワードはパンチしかなかった。
その発想はなかった、と思い私は歌詞カードを開いた。

その瞬間からこの曲は私の人生のテーマソングになるのだ、と悟った。
いま、曲と出会っておよそ9年。揺らぐことなく地獄でなぜ悪いは人生のテーマソングとして君臨している。

無駄だ ここは元から楽しい地獄だ
生まれ落ちた時から 出口などないんだ

教室 群れをはぐれた 重い空を行く
生まれ落ちた時から 居場所などないさ

話は逸れるが何個かのnoteにも記載のある通り、私は中学生のころは不登校をしていた。
なぜ不登校をすることになってしまったのかはわからないが、それなりにしんどかった。
そんな時にいまこの瞬間のつらいことを忘れることができたのものがあった。
それがエンタメだった。エンタメ、と総称しているのは音楽、映像、絵などなんでもかんでも触れていたからだ。
当時は特にお笑いに傾倒していたが、高校になると音楽、大学になると本、映画、ドラマによく触れていた。

どんなにつらくて笑うことも涙すらも出なくても、お笑い番組を見れば笑えたし、映画を見れば泣けたし、音楽や本は毎日の生活に寄り添ってくれていた。

自然と私はエンタメに携わる人になりたいと思い、大学はいわゆる美術系に進学した。

結局いまはエンタメとは程遠い職種で会社員をしている。
なぜエンタメ業界を諦めたか経緯を簡単に話すと、
冒頭でもふれたとおり、家庭環境にガタがでてしまいそのころからメンタルが安定しなくなってしまったこと、制作をすればするほど自分の人間としての未熟さ、汚さが露呈していくことに耐えられなかったこと、センスがないと思い込んで行動することをやめてしまったことなどがあった。

私はエンタメに携わる人を目指すことをやめた瞬間から、じゃあ私はプロの消費者になろう。好きなアーティスト、作家さんが自分の思うとおりに活動できるように。ファンという有象無象のひとりだとしても、その人に恥じないように生きよう。呪いのような願いを抱えながら、今まで生きてきた。

だからどんな事情があれこうやって何かが披露される場が奪われること、作品がリリースできないことに関して私は本当に本当に悔しくてたまらない気持ちになる。

ただ、この曲が携わった作品にかかわる人が許されないことをしていること、それには被害者がいて、被害者が何かの拍子に「地獄でなぜ悪い」というワードを目にしてしまったときに被害をフラッシュバックしてしまうかもしれない。それらは否定はできない。

今回の楽曲変更の件で、どうしても納得してくれと言われたとして、じゃあこれなら納得できます、と言うならば公式から出されていた
「オファーの意図から離れ、真逆の影響を与えるのであれば、それはオファーをうけた私たちの想いに反してしまいます。」
この部分でしかないと思う。

私はこの曲をきっと死ぬまで愛しているし、何かあるごとに人にも聞いてほしい!と勧めている。
この曲が、紅白歌合戦というハレの場で歌われるなら、きちんと星野源の意志と、意図が伝わる場であってほしいとは心の底から思う。

だとしても、だとしても!
やっぱりこの曲がうたわれる機会が奪われたこともまた事実で、胸のなかはざわついているままだ。

何がエンタメだよ。私が救われてきたエンタメはどこに行ったんだよ。
どうしたって納得できないことばかりのこの世界で唯一救ってくれていたエンタメはどこに、



本当にこの世界は地獄だ。
でも、地獄を進むものが悲しい記憶に勝つから、
今日抱えたはらわた煮えくりかえりそうになった気持ちに勝つために
地獄を進んでいこう。

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