![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/116358116/rectangle_large_type_2_62c92a6091d64308b3506e51b1f70b9c.png?width=1200)
ジャパンプロサイクリストランクの作成
この度ジャパンプロサイクリストランク(JPCR)を作成しました。
これにより今まで皆が抱いていた「結局誰が一番強いんだ」という疑問に1つの基準を与えることができたと思います。
今回はそんなランキングを制作した経緯をはじめに、ランキングやポイントの仕組みについて説明します。また、本文の中では各選手への敬称を省略させていただきます。
Ⅰ.ランキング制作の経緯
こと日本の自転車競技界隈において、明確にこの人が一番強いと表したランキングは存在しません。JBCFやJCLのリーグ内での独自のランキングや、全日本選手権での結果を元に主観で強さを認知している傾向にあります。
しかしサッカーやテニス等の多くのスポーツでは各協会が世界ランキング○○位と明確に示しています。これらのランキングは絶対的な意味を持ち、様々な大会で活用されています。
今回私が作成したJPCRはあくまで非公式であり、とある条件下でのランキングであることをご理解いただければと思います。
Ⅱ.ランキングにおけるキーマン
まず作成にあたって実際のレースリザルトとあまりにも乖離したものにならないようにする必要がありました。そのためキーマンを数人設定し、キーマンの順位を調整しながらポイントを設定することで違和感のないランキングに仕上げられます。
キーマン① 新城幸也
誰もが認めるランキング1位の選手だと思いますが、日本のレースのみを 対象としている為、1位を取るにはレース数が不足しています。彼が参加したアジア選手権と全日本選手権の両方で3位内に入ると1位になる程度の調整にしました。
キーマン② 沢田桂太郎
今後数年ランキングを運用するにあたって、彼をキーマンに設定せずにポイント設定をするとどこかのタイミングで1位になる可能性が高いです。彼はクリテリウムでの勝率が他の選手と比べて異常に高いため、ほとんどがクリテリウムでのポイント獲得です。ロードレース選手のランキングとしてそのようなタイプの選手が1位になるのは少し違和感があるため、クリテリウムのポイントは係数を掛け、低めに設定しています。見方によれば最強の選手であるのは間違いありませんが、その強さ故にバランスを崩す存在でもあります。
キーマン③、④ 篠崎蒼平、加藤辰之介
この2選手はU23で入賞常連選手であり、ランキング作成当初は上位が期待されましたが、2つのチームに所属している為ポイントが分散してしまいました。詳しくは後述しますが、ランキング参加チームではない方のチーム(東京大学、Nerebani)でのエントリーが多かった為、現実の結果と乖離した順位になってしまっています。彼らを救うシステムも考えましたが、チームを掛け持ちしている大学生が有利となり、上位に大学生が多くなることが予想され今はランキング参加チームでの結果のみ集計という形を取りました。
Ⅲ.予想される上位選手
キーマンを設定した後は、主観によりランキング上位選手を以下のように予想しました。
新城幸也
山本大喜
岡篤志
増田成幸
留目夕陽
入部正太郎
岡本隼
草場啓吾
津田悠義
金子宗平
これら10選手の内、8選手は上位(20位内)に入っていないとランキングに違和感が生じてしまいます。8選手と設定したのは、過去の成績により認知バイアスがかかっている可能性があるからです。
この段階で作成しても良いのですが、このままでは私の主観のみで基準を設けたランキングになってしまう為、グーグルフォームを利用しアンケートを実施しました。
【アンケート内容】
あなたが思う現在の日本人最強のロードレース選手は誰ですか。(3選手回答)
アンケート開始当初は1選手のみ回答としていましたが、回答が新城幸也に集中してしまった為、3選手としました。
70件程度の回答が得られた後、集計するとまたしても回答が偏っていました。理想は10~15選手が回答されることでしたが、実際の有効回答は6選手程度でした。
再度アンケートを実施しました。
【アンケート内容②】
あなたが思う現在の日本最強ロードレース選手を3~5名回答してください。
※以下の選手は対象外とします
・新城幸也 選手
・山本大喜 選手
・留目夕陽 選手
・岡篤志 選手
回答数が特に多かった4選手を対象外とし、回答の分散を図りました。以上の2つのアンケートを集計した結果が以下の通りです。回答数は非公開としますが、3件以上の回答があった選手のみ記載しております。
新城幸也
山本大喜
留目夕陽
金子宗平
岡篤志
増田成幸
津田悠義
小石祐馬
鎌田晃輝
岡本隼
私の予想とアンケートの結果、そして先述したキーマンを軸にランキング作成を開始しました。
Ⅳ.レースポイントの設定
レースの平均順位で順位を決めてしまっては1レースしか出ずに1位をとった選手がランキング1位です。そうならない為にも、各レースごとのポイントを設定しました。JBCF等のシステムと同じです。しかし一概にレースポイントといってもレースによって難易度は違うので最初にポイントを決めてはいけません。そこで私はレース後にポイントを設定する方法を採用しました。内訳は以下の通りです。
① 人数ポイント
出走人数に係数を掛けたポイントです。出走人数が多いほどポイントが増えます。
② 完走ポイント
出走人数と完走人数の差に係数を掛けたポイントです。これによりレースの難易度によるポイント変動が起こります。
③ チームポイント
UCIワールドチーム、UCIプロチーム、UCIコンチネンタルチーム、ジャパンプロの4階級に分け、各階級のチームが1人でも参加していれば1チームにつきポイントが加算されていきます。この時UCIワールドチームのポイントはかなり多めに設定しています。
④ 総合優勝ポイント
ステージレースの場合にそのレース全体の難易度を考慮しボーナスとして加算されます。ステージ優勝よりもポイントは少なく設定しています。
世界選手権や国内選手権などの特殊なレースは全体のバランスを見て上記以外の方法でポイントを設定しています。また、U23カテゴリ及びクリテリウム、ヒルクライムに関してはポイントを低めに設定しております。
Ⅴ.リザルトポイントの設定
先程設定したレースポイントに係数を掛けたものをリザルトポイントとし、1位の選手に付与します。2位以降は1位のポイントから一定の割合で減少していきますが、2位、4位、7位、11位で大きく減少します。また、どのような順位でも完走者には最低1ポイントが付与されます。
選手にポイントを付与するにあたって問題となるのが、同タイム完走です。公式リザルトでは形式上連続した順位の表記となっていますが、JPCRでは11位以降の選手に対して、前走者から1.00秒未満の差を同順位としてカウントします。これによりアシストの選手にも上位参入の機会が与えられます。
また、DNFに関しては能力不足以外の要因がある場合も多く、リザルトからは読み取れない為考慮しないものとします。
Ⅵ.ランキング参加チーム・選手
以下のチームに所属の日本人選手を対象とします。
※【ジャパンプロ】チームに関してはJBCF登録選手のみ
【UCIワールドチーム】
BAHRAIN VICTORIOUS
【UCIコンチネンタルチーム】
愛三工業レーシングチーム
JCL TEAM UKYO
KINAN Racing Team
レバンテフジ静岡
マトリックスパワータグ
さいたま那須サンブレイブ
シマノレーシング
Sparkle Oita Racing Team
TEAM BRIDGESTONE Cycling
宇都宮ブリッツェン
VC FUKUOKA
ヴィクトワール広島
EF EDUCATION-NIPPO DEVELOPMENT TEAM
【ジャパンプロ】
弱虫ペダルサイクリングチーム
CIEL BLUE KANOYA
群馬グリフィンレーシングチーム
稲城FIETSクラスアクト
越後しまなみeNShare
イナーメ信濃山形
Bellmare Racing Team
アヴニールサイクリング山梨
Bryton Racing Team(該当選手無)
京都産業大学
EQUARS
対象レース
① JCFレースカレンダーに記載のレース
② JBCF主催Jプロツアーカテゴリのレース
③ JCL主催JCLポイント対象のレース
※対象外レース
・タイムトライアル種目
・学連レース
・世界選手権、アジア選手権を除く海外レース
Ⅶ.ランキング作成
いよいよランキング設定ですが、全てのレースを参照すると多く出場している選手が有利の「出たもの勝ち」の状態になってしまう為、上位6レースを対象に集計しました。これは各選手の出場レース数から決定しました。
上位6レースにする理由としては、いわゆる「上振れ」の要素を評価したいという点もあります。
上位6レースのリザルトポイントの合計を算出した後、対象選手に総合優勝ポイントを加算したものを最終のランキングポイントとします。これにより各選手に順位が与えられます。
![](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/116341843/picture_pc_540b09dbb1d295c9d7ba98f8cd354bd2.png?width=1200)
Ⅷ.ランキング作成を終えて
構想から完成まで1ヶ月程度でした。ポイントのシステムは以前から考えていたので大半の時間は集計(データ入力)に費やされています。Excelでデータをまとめていたのですが、私の能力不足で殆ど手打ちで入力しました。今後は半自動化のシステムを構築していくとともに毎月ランキング更新していければと思っています。
今回は説明した以外にも取り入れたい要素がいくつかあったので紹介します。
① 時間経過
現在から見て新しいレースであるほど価値が高くなるシステムです。例えばシーズン序盤に3連勝した選手が、その後はすべてのレースで最下位完走だとします。この場合でも上位には入ってくるのですが、本当に現在の上位選手といえるのかという問題を解決するためのものです。これの導入自体は簡単だったのですが、目標レースに照準を合わせている選手も多いと思うのでその意思を尊重し、導入を見送りました。
② タイムトライアル種目
非常に扱いが難しいと思いました。誰が一番強いという問いに対し有力な指標であることは間違いないのですが、レースの駆け引きの部分が弱いと感じたことと、そもそも出場機会のある選手が少ないことから良い落としどころが見つかるまで導入を見送る予定です。これにより今回のランキングでは留目夕陽と小石祐馬のランキングが本来よりも低くなっています。
③ チームの掛け持ち
キーマン③、④の説明にもあったように、2つ以上のチームに所属している選手が存在します。彼ら以外にも嶋田祥、中司大輔など優秀な成績ながらも他チームでのエントリーが多く、順位が低くなっている選手がいます。今回は集計の見落としを恐れて一律対象外としましたが、今後は他チームでのエントリーでもランキング対象にする予定です。
④ 学連レース
一部の学連レースはJCFカレンダーに記載されています。今回対象外としたのは③にあるようにチーム名がすべて大学となっている為、京都産業大学のみ集計となってしまい、公平でないからです。しかしインカレ等大きなレースはポイントを与えるに十分値するレベルのレースである為、今後は③の改善とともにランキング対象となる予定です。
⑤ 海外を拠点に活動する日本人選手
現在一部の選手がランキング対象外となっています。改善予定です。
⑥ 海外レース
これが一番難しかったので一律対象外にしてしまいました。最近は海外レースに参加する日本チームが増えている為、来年度以降はランキング対象にできるよう調整中です。
以上となります。今後とも宜しくお願い致します。
また、ランキング作成にご協力いただける方がいらっしゃいましたらXのDMまたは下記メールアドレスにてご連絡いただければ幸いです。営利目的での運営ではない為、報酬はお支払いできません。ご了承ください。
【内容】
・Excelでのデータ入力(誰でもできます)
・Excelでのシステム作成(関数やVAB得意な方歓迎)
・海外レースのリザルト提供
・対象チームの情報収集
・ランキング画像作成
X:@nnising
メール:jpcr202309@gmail.com
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?