#07「ひと」小野寺史宜
読みながら、自分も何かをちょっとだけ頑張ろうと思える作品だった。
主人公が若くして両親を亡くし、周りの人間に救われていく物語。
この作品は主人公の周りにいる人間をいい人だけで完結させるのではなく、嫌な人間もきちんと描いていて、そこがリアリティを感じさせる。
何もかもを諦めなければならない状況になり、だけどその環境の中で唯一譲れないものを見つけ、少しだけ自我をきちんと持てた主人公に、共感とそして親心のようなものを感じずにはいられない。
この作品を読んで思ったことは
人は、他人に傷つけられ、そして他人に救われる。
ということ。
関わりの濃度の濃さで、孤独だと感じる人もいるが、私たちは基本的に生きていく上で、他人と関わりを持っている。
そして、その関わりの中で、傷ついたと感じる時もあれば、救われたようなあたたかい気持ちになることもある。
他人と関わることで、一人では芽生えることのない感情が芽生え、優しさや強さ、時には弱さや悲しみを知り、成長していくのだと思う。
この作品で、主人公と関わりのある、他人の優しさがすごくあたたかくて、そのあたたかさに何度も泣きそうになった。
わたしも誰かにとって、優しくあたたかい人間でありたい。
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