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ゾウの時間 ネズミの時間ーサイズの生物学

時間とは時計ではかるものであって、動物も植物も人間も同じ速度で進んでいく「絶対時間」が常識とされていますがそんな常識をくつがえしてくれるのが本書“ゾウの時間ネズミの時間—サイズの生物学”です。

「体の大きさが変わると何がどう変わるか」を研究する“動物スケーリング”という分野があります。

これは牧畜において冬場にどれだけ餌を用意する必要があるかを実務的に調べるために始まったのがこの学問。

動物は餌を食べる必要があるのは細胞がエネルギーを必要しているためで、細胞の大きさは体の大きさに関わらず、ほぼ一定なため体の大きな動物ほど細胞が多いことになります。ということは体の大きさに比例してエネルギーの消費する量も増えていくと考えるのが普通ですが、実際に調べてみたら体重が10倍あっても食べる量は5倍ほどで、これは体の大きい動物の細胞はエネルギーを使っていないということを意味していて、なぜそうなのかは未だにわかっていないそうです。

だたその中でわかった事は「時間」は体重の4分の1乗に比例するいうことで、大きな動物ほど何をするにも時間がかかるということ。たとえばゾウとネズミでは体重が10万倍違うために、時間が約20倍違うそうです。

確かに人間も、体の大きな友人は森のクマさんみたいにノソノソしているし、小柄な知人は喋り方も早く動きも機敏なリスみたいな印象でまさに映画「ズートピア」の世界。生物学でみれば人間も同じ哺乳類。

また古生物学に“島の法則”というのがあって島に隔離されると、サイズの大きな動物は小さくなりサイズの小さな動物は大きくなる。この現象の原因として考えられるのは島という環境は、一匹の肉食動物を養っていくのに必要な餌として草食動物が100匹必要になるが島の狭さから、餌となる草がたとえば10匹の草食動物分しかないとすると、肉食動物は餌不足で生きていけなくなり、草食動物が生き残れることが理由とされています。

アメリカで生活する友人がインターネットの工事が一向に来ないとか、ビルの修理が一向に進まないという話をよく聞いていたけれど、これも「島の法則」が当てはまるのかも!?大陸に住む人は、とてつもない事を考えたり、常識はずれなことをやることも可能になるけれど、日本で同じ事をやろうと思うと出る杭は打たれるで、周りの目が厳しくなかなかムズカシイ。日本という島国と、アメリカや中国ヨーロッパなどの大陸国の違いを考える上でも、生物学は参考になると本川氏は語っています。

社内でも家庭内でも、流れている時間は人それぞれ。それをジブン時計で計って“遅いだの、せっかちだの”と言ったところでまったくもってナンセンスだと気づかせてくれる本書は、イライラな毎日をちょっぴり寛容にしてくれます。

時間と言えば、最近ドラクエ3をダウンロードして遊んでいます。気づくと一日終わったりします。重要なアイテムが見つかった時のワクワク感、ラスボスを倒した時の達成感。そんな何の役にもたたない無駄な時間が実はよかったりするんじゃないかなと再確認しています。

自動車のハンドルも「遊び」と呼ばれる無駄があり、これがないと段差を超えたりするときそのショックが直にハンドルに伝わり、長時間の運転が難しくなる。人生もクルマも無駄が大切なんです。

この”NN BOOKS”はモノを知って賢くなって楽しいというエンターテイメント目指しつつ、たまにはドラクエみたいになんの知識にもならないけれど、ちょっぴり知恵にはなる(遊び人はレベル20になると賢者になれるというゲーム設定は僕の人生に多大な影響を与えてます。)面白いだけのコラム(これが一番ムズカシイ)を届けたいと思いつつ今回も叶わずでした。


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