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失われたドーナツの穴を求めて

自分が好きなものになぜだか丸くて穴が開いているものが多いことに気づきました。例えばレコード、チョコワ、そしてドーナツ。

今回の推薦書は“ドーナツの穴”について歴史学、経済学、コミュニケーション学、数学、言語学、哲学などなど、様々な視点から研究された“失われたドーナツの穴を求めて”です。

“ドーナツの穴”なんて、人生に何の役にも立たないと思っているかもしれません。でも、ドーナツの形は宇宙の形と共通しているとしたら、ちょっと気になりませんか?

形としてのドーナツを掘り下げられた著者の奥田太郎氏は、ドーナツの形の特徴を表面上を垂直方向に進めば、ぐるりと回って元の位置に戻り、また水平方向に進んでも、同じように元の位置に戻る。こうした形を数学の世界では、「トーラス」と呼ばれていて、宇宙の形も同じトーラス型の構造を持っているという説があるそうです。

たとえば、もし宇宙がビックバンによって生まれたとすると、宇宙の大きさには限りがあるはずですが、実際様々な研究結果を見ていくと宇宙には果てがなさそうだということがわかってきたそうです。この事実から、宇宙は大きさが有限でありながら果てがない、という性質を持った形をしているということになって、私たちが暮らしている地球(球体)も垂直に移動すれば元の位置に戻ってきて、水平にまっすぐ進んでも戻ってこられるという大きさが有限なのに果てがないので、宇宙と共通の性質をもつ形は球体か、同じ構造のトーラスかもしれないという見方が有力になっているようです。

ちなみに、ロールプレイングゲームの「ドラゴンクエスト」世界も上へ進んで行くと下から現れて、右に進むと左から現れる世界観で、この世界地図の上下の辺をくっつけると筒状になるが、その筒の両端をくっつけるとトーラスの形になりドラクエの世界の中で主人公はドーナツの形をした世界を疑似体験していることになると綴られています。

他にも、コミュニケーション学の観点からみて、ドーナツ型会議が歴史的に大きな役割を果たしたとして、パリ和平会議を例に丸いテーブルを使うことで、すべての代表が平等に扱われるような配慮がされ、和平に向けてのいい結果が生まれ、座席位置に縛られないことで立場の違いを超えた意見が出やすくなり、普段気づかなかった人の細かい表情やしぐさからその人の人間性が発見できたり、ドーナツ型会議はコミュニケーションを円滑に保つためにもとても役立つようです。

貨幣の視点から考えると、古代中国で生まれた“玉壁(ぎょくへき)”と“方孔円銭”というものがドーナツ型をしていて、玉壁の円形に丸い穴が開いていて、円形は“太陽”丸い穴は “月”を象徴し、円孔円銭は円形に四角い穴が開いていて、中国では“天”は“円形”で“地”は“四角形”をしていると考えられていることから、世界を象徴しているとも言われていて、つまりドーナツ型は“世界”を表しているとありました。

他にも“ドーナツを穴だけ残して食べる方法”なんていうのも真面目に研究している本書。

ぜひ。とは言いにくいですが、無駄を楽しむ余裕を、ぜひ!

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