腸内細菌は治癒を早め、脂肪肝疾患を回避するのにも役立つ
腸内細菌は治癒を早め、脂肪肝疾患を回避するのにも役立つ
投稿日: 2023年03月04日健康・福祉
Shyla Cadogan著
人間の腸は体のあらゆる部分に不可欠ですが、特に免疫系はその約70％が腸内にあることを考えると、その重要性は明らかです。ハーバード・メディカルの研究者たちは、腸内微生物が私たちの免疫系に燃料を供給し、筋肉の損傷を回復させるという驚くべき発見をしました。
T細胞は白血球の一種で、侵入してくる細菌や感染症から体を守る働きがあります。研究者たちは、腸内細菌が制御性T細胞（Tregs）と呼ばれる特定の細胞に力を与えることを発見しました。これらの細胞の主な機能は、体内を回り、傷害部位を治癒するために、傷害部位に見られるストレス要因に反応することである。
"我々の観察は、腸内細菌が、常に腸から出ていて、体内の離れた部位でダメージを感知し、そのダメージを修復する使者として働く、制御性T細胞のクラスの生産を駆動することを示しています "と、ハーバード大学医学部ブラバトニック研究所の免疫学教授で、研究の上級著者ダイアン・マティスは、大学のリリースに述べています。
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研究者によると、トレグは体内で独自の役割を持つ高度に特殊化した細胞である。腸内では、腸の健康維持に積極的な役割を果たします。食物アレルゲン、大腸炎などの自己免疫疾患、さらには大腸がんから身を守るのに役立っています。また、腸内細菌がTregの産生を通じて腸管免疫に大きく関与していることはよく知られていますが、Tregが腸以外の組織でどのような働きをするのかについては、ほとんど証拠がありません。
そのため、研究チームは筋肉に同様の構造を持つ細胞を見つけたとき、かなり驚きました。
「ハーバード・メディカル・スクールの免疫学研究員である筆頭著者ボラ・ハンナは、「私は、非常によく似た、腸に由来するTregと同じ特徴を持つ細胞を偶然発見しました。"この細胞は、腸で作られ、微生物によって形作られることが分かっているので、これは、我々の注意を引きました。"
微生物が少ないと、怪我をした後の傷跡が多くなる
そこで研究チームは、なぜこの細胞がここにあるのかという疑問に、動物モデルを用いて答えることにした。そのために、研究チームはまず、筋肉組織内で見つかったトレグが実際に腸から来たものであることを確認する必要があった。科学者たちは、分子構造を分析し、その正体を確認した。そして、トレグを光でタグ付けし、マウスの体内を移動する様子を追跡した。その結果、細胞は腸の粘膜を離れ、体の他の部位に移動していることがわかった。最後に、Tregの表面レセプターに抗原があるかどうかを調べ、抗原とは、その細胞に固有のバーコードのことである。
「筋肉で見つけた免疫細胞は、腸のTreg細胞と同じバーコードを持っていたのです」とHannaは報告する。
治癒過程をモニターしていたところ、このTregを欠いた遺伝子組み換えマウスは、Tregを持つマウスに比べて筋肉の回復が遅いことがわかりました。さらに詳しく調べたところ、このマウスは傷害部位でより多くの炎症を起こしていることがわかった。また、筋肉が回復した後も、瘢痕や線維化が見られた。これは、筋肉がうまく回復しなかったことを示しています。そこで、腸内細菌がこの現象に関与しているかどうかを調べるため、研究チームはマウスに抗生物質を与え、有益な腸内細菌を死滅させました。その結果、このマウスも筋肉の修復がうまくいかないことがわかった。腸内細菌叢が正常に戻ると、治りがよくなったのです。
「抗生物質が、有害な細菌を殺すという抗生物質の主な働きの付随的なダメージとして、有益な腸内細菌を根絶することはよく知られています」とMathisは述べています。"私たちの結果は、筋肉の回復にとどまらない多くの理由で重要な、賢明な抗生物質の使用の重要性をさらに強調するものです。"
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これらの微生物は、臓器障害から守る働きもあります
最後に研究チームは、この関係がより一般的に見られるかどうかを確かめたいと考えた。肝臓、腎臓、脾臓など、さまざまな臓器に腸管トレグが存在するかどうかを調べたのです。この実験を行うために、研究チームはマウスに脂肪肝を発症させた。脂肪肝は肝臓に傷をつけ、細胞死や臓器障害を引き起こす病気である。その結果、脂肪肝のマウスは健康な肝臓のマウスよりも大腸トレグが多いことがわかり、この細胞は腸以外の場所でも炎症を制御できることが示唆されました。
研究者らは、この研究領域はもっと深く掘り下げる価値があると考えています。健康な腸内微生物の利用を促進するさまざまなメカニズムを持つ新しい治療法、つまり腸自体を保護するだけでなく、外部の傷や脂肪肝の治癒にも道を開くことができるかもしれないからです。
この研究成果は、学術誌「Immunity」に掲載されています。
出典 研究成果
Shyla Cadoganは、メリーランド大学カレッジパーク校で栄養学と食品科学の理学士号を取得したばかりの新入生です。次のステップとして、メリーランド大学医療センターで栄養学実習を修了し、小児科、腫瘍学、消化器外科、肝臓・腎臓移植など、医療栄養のさまざまな集団と分野で経験を積んでいます。また、食品成分分析、食品資源管理など、幅広い研究経験も持っています。
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画像はイメージです。ヒトの腸内細菌の図解。(CREDIT: Darryl Leja, National Human Genome Research Institute, National Institutes of Health)
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