最小の感染因子を発見したテオドール・ディーナー氏、102歳で死去

最小の感染因子を発見したテオドール・ディーナー氏、102歳で死去

https://www.nytimes.com/2023/05/08/science/theodor-diener-dead.html

ジャガイモの病気の原因が、ウイロイドと呼ばれる非常に小さな病原体にあることを突き止めるまで、ディエナー博士は何十年も科学者を悩ませてきました。
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テオドール・ディーナーの発見したウイロイドは、既知の最小の感染性物質であり、地球上の生命の起源に関する科学的理解に示唆を与えると考えられている。
ダニエル・E・スロトニク著
2023年5月8日掲載2023年5月9日15時7分（日本時間）更新
限りなく小さなものを見つけるのは、決して簡単なことではありません。しかし、何を探せばいいのかがわからないと、もっと難しい。
連邦農業研究局の植物病理学者であったテオドール・ディーナーは、ジャガイモを痩せ細らせる病気である紡錘形塊茎病の調査を始めたとき、その問題に直面した。
3月28日にメリーランド州ベルツビルの自宅で102歳で亡くなったディーナー博士は、長年にわたって原因究明に取り組み、その結果、最小の感染性物質を発見し、ウイロイドと名付けた。
1920年代に初めて確認された紡錘状塊茎病は、時に農作物に悲惨な結果をもたらす。この病気は、ジャガイモの収穫量を最大64％低下させるという研究結果もある。この伝染力の強い病気を抑えるには、厳しい検疫と、場合によっては作物全体の破壊しかない。しかし、この病気が発見されてから数十年経っても、科学者たちはこの病気の原因を突き止められずにいました。
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ディエナー博士と農務省の一部であるリサーチ・サービスのウィリアム・B・レイマーなどの同僚は、1960年代の大半をこのパズルを解くことに費やした。
彼らは、ジャガイモよりも結球紡錘病の潜伏期間がはるかに短いことを発見したトマトの植物で病原体を研究し、最先端の技術を使って、この感染性物質がタンパク質を含まず、生命の構成要素の一つであるRNA（リボ核酸）が不可欠であることを突き止めた。
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レイマー博士は1966年に民間企業への転職のため研究機関を去り、ディーナー博士は「その後5年間、ウイロイドの単離と特徴づけ、実験の検証、穴埋めなどを行い」、「新しい『不可能』概念の提案を一般的に迎える懐疑心に応える準備をした」と、1989年の『農業研究』の記事「とらえどころのないウイルスを追う」に書かれています。
当時、科学者たちは、多くのウイルスの80分の1の大きさのウイロイドのようなものは、感染を引き起こすにはあまりにも極小だと考えていました。
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ウイルスと同様に、ウイロイドは健康な細胞に侵入し、細胞自身の遺伝子の代わりにウイロイドの遺伝子を複製するように細胞を再プログラムすることで繁殖します。
しかし、ウイルスはDNAやRNAでできており、タンパク質でできた保護膜を持ち、細胞に侵入した後はタンパク質をコード化する。一方、ビロイドはRNAのみでできており、タンパク質の被膜を持たず、タンパク質をコード化することもない。
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ディエナー博士は、1972年に開催されたウイルス学者の国際会議で、「病気を作り出すその方法は、他のすべてのウイルスのそれとは基本的に異なる」と述べた。
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紡錘状結球病の原因となるウイロイドを特定した後、それを検出する検査法の開発に貢献した。1987年、ホワイトハウスのローズガーデンで行われた式典で、ロナルド・レーガン大統領から国民科学メダルを授与された。
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ディエナー博士の発見以来、科学者は植物に病気を引き起こす30種類以上のウイロイドを同定した。
ウイルス学者でハーバード・メディカル・スクールの元教授であり、今年『フォーブス』誌にウイルスに関する一連の記事を書いたウィリアム・ハセルタイン氏は、電話インタビューで、ディーナー博士が "生命の全く新しい枝を発見した。少なくとも私の定義では、おそらく生命の最も基本的な枝である" と述べた。
Diener博士の発見は、生命の起源の科学的理解や医学に影響を与え、メッセンジャーRNAを使ってCovid-19のワクチンを開発するような画期的なことに貢献するとHaseltine博士は述べています。
ディエナー博士の発見以来、科学者たちは、アボカド・サンブロッチ、ココナッツ・カダン・カダン、ナシ・ブリスター・キャンカー、ホップ・レイテント・ウイロイドなど、植物に病気を引き起こす30種類以上のウイロイドを特定し、これらは麻や大麻の作物に壊滅的な影響を与えることが分かっています。
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テオドール・オットー・ディーナーは、1921年2月28日、テオドールとヘドウィグ（バウマン）・ディーナーの一人子としてチューリヒに生まれた。父親は郵便局員、母親は会計士であった。
幼い頃から動物に親しみ、ネズミのコロニーや亀、カナリアなどを飼い、両親を困らせた。父親は、自費出版した回顧録「Of Humans, Humanoids, and Viroids」（2014年）の中で、"小さな生き物 "に対する彼の消費的な興味を認めなかったと書いています。
彼は「私が熱心に、ある小さな昆虫やミミズ、菌類の特徴を述べていると、しばしば信じられないと首を横に振った」とディエナー博士は書いています。
第二次世界大戦中はスイス空軍で飛行機の整備をしていたディエナー博士は、1948年、スイス連邦工科大学で生物学の博士号を取得した。
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1949年に米国に移住し、ニューヨークでしばらく過ごした後、ワシントン州立大学（現ワシントン州立大学）に就職するためにワシントン州スポケーンに移った。ワシントンに来てから約10年後にメリーランド州に移り、政府の研究機関で働くことになった。
シャーリー・バウマンとの最初の結婚は、離婚に終わった。1968年、シビル・フォックスと結婚し、2012年に死去した。
最初の結婚相手であるマイケル、セオドア、ロバートの3人の息子、5人の孫、そして3人のひ孫がいる。
ディエナー博士のその他の栄誉は、全米科学アカデミーと米国芸術科学アカデミーの会員に選ばれたことである。1987年には、イスラエルのウルフ財団から10万ドルの賞金を授与されるウルフ賞（農業分野）を受賞した。
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ビロイドは農業の害虫以上の存在かもしれない。ディエナー博士が探索を始めるまで気づかれることなく、地球上の生命の最も初期の段階で存在していたことを示唆する研究結果があります。
スタンフォード大学の微生物学者であるDavid A. Relman博士は、電子メールでDiener博士について、「彼が発見したウイロイドと植物病害におけるその役割は、基本的な生物学的プロセスにおけるRNA分子の役割、そして生命自体の起源に関わる可能性を明らかにするのに役立ちました」と書いています。
Ashley Shannon Wuが取材に協力しました。
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