日本にバイオ産業の活力がない理由

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公開日: 2024年4月22日
日本にバイオ産業の活力がない理由

https://www.nature.com/articles/s41587-024-02227-x

マーク・ケッセル & クリス・ビックリー
Nature Biotechnology (2024)この記事を引用する

メトリクス詳細

日本のバイオ医薬品業界に関する最近の分析では、日本でバイオテクノロジーのエコシステムが繁栄していないのは、薬価の厳格な管理によるところが大きいと強調されている1。しかし、これは説明のほんの一部に過ぎず、日本のバイオテクノロジーを促進する戦略は、問題の複雑さをすべて認識しなければならない。日本は、欧米に比べて政府の投資が相対的に不足しているにもかかわらず、生化学と医薬化学の革新的研究において、長い間、その重みを上回る成果を上げてきた。米国では、2011年から2021年の間に363の新薬が食品医薬品局によって承認された(参考文献2)。承認された新薬の原産国の第1位は米国で223品目であったが、第2位は日本で33品目であった。日本で最初に開発された医薬品には、スタチン(三共)や、ノーベル賞受賞者の本庶佑氏によるプログラム死阻害タンパク質の発見に基づくがん免疫療法オプジーボ(ニボルマブ:小野薬品工業)などがある。バイオテクノロジーの分野では、モノクローナル抗体を製造するバイオワ(キリンが買収)や、日本最大のバイオリアクター生産能力を持ち、大株主であるロシュから安定的に新薬を供給されている中外製薬が成功を収めている。

しかし、日本には自前のバイオテクノロジー・エコシステムがない。京都大学の山中伸弥教授による人工多能性幹細胞の発見でさえ、細胞治療における日本のリーダーシップにはつながっていない。薬価規制以外にもいくつかの要因が絡んでいる。日本の製薬会社の多くはコーポレート・ベンチャー・キャピタル部門を持ち、バイオベンチャーに投資しているが、その投資先はほとんどが米国など日本以外の地域である。日本のベンチャーキャピタル投資全体についても同様である。2022年、このセクターの米国への投資額は日本の120倍であった3,4。日本はスタートアップのエコシステム、特にバイオテクノロジーを発展させることに失敗している。Startup GenomeのGlobal Startup Ecosystem Report 2021によると、東京はスタートアップ・ハブとして世界第9位で、北京や上海など東アジアの他の都市を下回っている4。

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参考文献
Ezell, S. How Japan squandered its biopharmaceutical competitiveness: a cautionary tale. https://itif.org/publications/2022/07/25/how-japan-squandered-its-biopharmaceutical-competitiveness-a-cautionary-tale/ (Information Technology and Innovation Foundation, 2022).

全米ベンチャーキャピタル協会. Yearbook 2023. https://nvca.org/wp-content/uploads/2023/03/NVCA-2023-Yearbook_FINALFINAL.pdf (2023)

ベンチャーエンタープライズセンター. VEC yearbook 2023. https://www.vec.or.jp/en (2023).

スタートアップ・ゲノム。The global startup ecosystem report, GSER 2021. https://startupgenome.com/report/gser2021 (2021).

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著者および所属
米国ニューヨーク州ニューヨーク

マーク・ケッセル

米国ニューヨーク州ブルックリン

クリス・ビックリー

コレスポンディング・オーサー
マーク・ケッセル宛。

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著者らは競合する利益はないと宣言している。

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この記事の引用
Kessel, M., Vickrey, C. Why Japan lacks a vital biotech industry. Nat Biotechnol (2024). https://doi.org/10.1038/s41587-024-02227-x

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発行日
2024年4月22日

DOI
https://doi.org/10.1038/s41587-024-02227-x

テーマ
生物学的技術
ビジネスと産業
ネイチャーバイオテクノロジー (Nat Biotechnol) ISSN 1546-1696 (online) ISSN 1087-0156 (print)

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