人型ロボットに思いを馳せる~指とは〜

昨日テスラはAI搭載人型ロボットの試作機を披露した。
これに関するニュースや考察はたくさんあるはずだからここでは深掘りしないが、
ふと考える。
別に二足歩行させる必要なくない?と。
素人の感想だが、歩行に関しては4足などの多脚ロボの方が安定しそうだし、アームも4本くらいあった方がマルチにこなせそうだし、カメラなんて全ての躯体につけて頭外しちゃえば?とか思ったりする。
その是非はさておき、
なんてこと考えてると、人間の構造も腰痛抱えて2速歩行で頑張ってるなと思う。
あくまで勝手な想像だが、4足歩行の可能性もあったのだろうが、2足でなんとかなってしまったので最低限の躯体と高い知能で繁栄できちゃって今があるんかななど思う。

ここで「指」について考えたい。手は2本で収まったが、指は5本もある。ロボットで5本指を再現するのはそれは難しそうだ。人間て足は2本しかないのに指はたくさんあってアンバランスな気もする。前述の私の独自の進化論によるとおそらく5本の指は必要最低限の本数ということだったのだと推測される。

では指の本数は5本必要かちょっと真面目に考えてみる。
まず1本指だった場合。それは握り拳と同じだ。何かを押したり叩いたりする以外使えない。
では2本指ならどうか。ものは掴めそうだ。これで引っ張ったり持ち上げたりできる。
2本でも良さそうな気がする。

ただ人間が人間として繁栄するために必要なこと、あるいはよく人間の特徴として言われることがある一つは道具を使うこと。もう一つは道具を作ることである。

まず道具を使うことから考える。
道具といっても種類は様々だ。最もシンプルな道具として私が定義したいのは形が変わらない道具つまり「可動しない道具」だ。
可動しない道具とは例えば、ナイフ、フォーク、コップ、杖、ハンマー、ペンなどだ。使っても形状は変わらないというのは想像できるだろう。ナイフなら握って振り回せば肉を切れるし、フォークならつかんで物を刺す。コップなら持って水溜りに入れれば水をすくう事はできる。
可動しない道具に共通する事は「握って保持すれば使える」という事である。
ではこのような道具を使うには何本指が必要か?
前述したように物が掴めれば良いので2本か?いや、3本だろう。
掴むには2本だが、保持するには3本必要だ。
説明しよう。
物を保持するとはどういうことか。大事なのは握ったものが安定して動かない事である。
ナイフを掴んで物を切ろうと力を加えた時手の中で回転したら怪我するし、フォークなら先端が外れてうまくささらないだろう。道具にある程度の力が加わっても手の中からこぼれないようにしなくてはならない。
ここで保持、安定とは何か幾何学的に考える。手の中で道具が安定した状態というのは、手という座標系の上で道具が座標を維持する事である。結論から言うと維持するためには3点を固定することが必要十分なのである。
直線を決定するのは2つの座標、面を決定するのは3点の座標だからと言えばいいだろうか。
簡単に言うと2本指で掴むだけだとくるくる回るから3本目が必要だよねと言うこと。
と言うわけで指は3本は必要なのは分かったが5本もいるのかな?というのは解決しない。
わざわざ「可動しない道具」なんて言葉を作ったのには訳がある。つまり「可動する道具」があることだ。この話を進めたいがもうちょっとだけ「可動しない道具」を掘り下げておく。

「可動しない道具」にはもう一つ共通点がある。これらは今では製造された市販品を使うのが当たり前だが、実はこれらの道具は作らなくても自然のもので代用可能であることだ。
ナイフなら鋭い黒曜石、フォークは尖った枝、コップなら少し頑丈な葉っぱなど。
そう、しれっと言ったが道具を作ることが人間の特徴であるとは言われているが、あえてそう言うのは道具を使うのは猿なども自然の素材を道具として使うことがあるからである。

と言うわけでここで初めて「可動する道具」が生まれる。人間が作った道具の特徴、つまり人間の象徴とも言えそうだ。では「可動する道具」とは何か。
例えばハサミ。中心部を軸に動かすことでかみを切ることができる。ピンセットは形を押して帰ることで物を掴める。箸も一見ただの2本の棒だが、手の中で相対的な位置を動かすことで物をつまめると解釈できる。あとは、楽器、コンピュータ、自動車、各種スイッチなど多くの工業製品は「可動する道具」に分類される。
見ての通り「可動する道具」は複雑で自然界にはない「作られた道具」つまり人間のためにある道具と言えそうだ。そう、作られた道具を上手く使いこなせるからこそ道具を作るとういう行為が行われるのである。
ということで「可動する」を何本の指で使えるかということが分かれば、人間に必要な指の本数が分かりそうではないか?
つまり5本なのだが、それはなぜか考えよう。
やはりキーワードは「可動」にあると確信する。
道具を可動させることを考えよう。
とりあえずハサミを考える。
ハサミは物を切る道具である。ナイフに近いものともいえ使い方を間違えると怪我をするため、大前提としてしっかり保持することが必要である。実際に使ってもらえればわかると思うが、指3本を使い片方の刃をしっかり固定する。その上でもう1本の指でもう片方の刃を上下させ可動させる。
つまり4本の指が必要だ。いや、実際のところは4本で動かせるように上手く設計してある。可動させるための持ち手には穴が空いていて1本の指で上下させることができるようになっている。素晴らしい。穴が空いていなければ持ち手を2本の指で摘まないといけないので5本の指が必要だ。(こじつけ)
箸はどうか。
箸も複雑に2本動かしていそうだが実際は箸の1本は2本の指と手のひらの3点を使って固定し、もう1本の箸を残った3本の指で固定しながら動かしている。実は5本の指で6点の座標を操るスーパプレイだったりする。
・・・だめだぴったりな例が浮かばなくて申し訳ない。

ただ私の理屈はこうだ。道具を掌で可動させるような複雑な動作をするには、道具の一部を固定し、もう一部の相対的な位置をずらすことが必要である。
つまり、3本の指で固定して残った2本の指でつまむなどの動作をすることで複雑な動作が可能であるということである。

ということで人間には指が5本というのは必要にして十分なのだというのが私の考察である。

ここまできて、ロボットの指は5本必要なのかと思う。
単純な動作、「可動しない道具」の利用なら3本の指で良さそうだし、複雑な「可動する道具」の使用だったら5本は必要だけどさらに精度の高い動きだったら二つのものを確実に保持するという点で6本はあった方がいいと思うな。なんて考えるのである。

そしてじっと手を見ると人間の指は全て長さも太さも異なっていて、さらに違う役割を担っているということに気づいてしまい驚愕するのであった。


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