お金持ちはなぜ破産するのか

大人になってお金を稼いで使ってためて運用していろいろしているとお金の疑問は次々に湧いてくる。


ふと思う。宝くじで数億円当てた人が破産したり、有名音楽プロデューサーが大金を稼いでいるはずなのに借金まみれになったり。なんで?と。

人は口々に言う。「生活の質が上がると、金遣いが荒くなって使い果たしてしまう。」と。

いやいや納得できますか?スシローに行っていた人が銚子丸に行くようになったら破産するのですか?

というわけでこの問題について真面目に考える。正確に言うと、お金とその価値について真面目に考えていたら謎が解けた。そんな感じだ。


私がお金持ち破産問題を解くきっかけになったのは「ものの値段の決まり方」だ。結論から言う、ものの値段はものの質に比例しないということである。

どういうことか、簡単にいうと100万円のワインは1万円のワインより美味しいだろうが100倍美味しいというわけではないのである。

なぜこんなことが起こるのか持論を展開させていただく。

商品の質を上げると購入者の満足度は上がるというのは想像に難くない。いい素材を使って腕の良い職人が作ったものは高品質な満足度の高い商品ができる、しかし一方で文字通り高級品と化す。

一般的にいい素材、いい職人というのは希少品である。つまり供給がかなり限られている。さらに質の良いものは欲しいと思う人が多いはずで需要も高くなる。

製品の質を上げようとすると、需要が上がり、供給も下がるという二つの要素が値上げの方向に向かわせる。この時点で商品の質と値段は比例関係ではないという仮説ができてくる。

ではどういう相関なのかと考える。比例、つまり一次関数でないとすれば、2次関数、3次関数、指数関数、対数関数あるいは?

ここまでの話の段階で裏付けのない仮説みたいな話ばっかりと思っているかもしれないが、さらにじゃんじゃん飛躍させる。私の話はここまでもこれからも冗談半分ですので悪しからず。

どういう関数か、そもそも具体的な数値もないし、仮説が前提のグラフなので実在していない。実在していないグラフを分析するという自分でも意味不明である。でもヒントはあるはずだ。

私は株式に目をつけた。株式取引は企業価値というなんとも評価しにくい謎の物体に対してダイナミックに値段がつき続ける不可思議領域であるが、これにヒントがあるはずだと考えた。株式を語る上ではリスクという言葉は外せない。別名ボラティリティともいう。リスクは値段の振れ幅と考えて良いだろう。リスクが大きい株は大きく上がることもあれば暴落することもあし、リスクが小さいというのは大きく負けることはないが大きく勝つこともないといったものだ。

株式ではリターンは割合で考えるのが一般的だ。株で2倍になる可能性があるってことは0円になるかもしれないと過度に恐れている人をたまに見かける。その心持ちは理解できるが、あまり適切でないと考える。2倍になる可能性があるなら、それと同じくらいの確率で半分になるというのが適当だろう。

株式が企業の価値を反映して株価を決定しているとしたら、これは指数関数になりそうだ。

多分数学的に真面目に検証すればわかるだろうけどその術を持ち合わせていないので、雰囲気で喋っている。でもxが1増えたら2倍、1減ったら半分になるのはy=2^xっぽくない?(指数関数の微分とか申し訳ないけど忘れた)


ということで商品の価格は商品の価値に対して指数関数的に上昇するということでいいという結論になりそうだ。(ツッコミはいくらでもあるはずですが無視します)

言い換えると価格に対して商品の質は対数的に上昇するとも言える。


で、ワインの話に戻してみる。一般的にワインはいくらで飲めるだろうか。コンビニやスーパーに行けば700円も出せば最低限のものは買えるのではないだろうか。ちょっと奮発して2000円のワインを買えば明らかに美味しくなっているのがわかるだろう。5000円も出せばスーパーとしては最高クラス、だいぶ美味しく感じるはずだ。では1万円のワインといえば?はっきりいってそこそこ良いレストランの美味しいワインである。世のほとんどの人にとってはかなり満足いくレベルだと言える。ここで対数関数を思い浮かべる。700円から5000円では明らかに違いがわかる質の上昇を感じるだろう。ただ、10000円の段階で多くの人はプラトーを感じ始めると思う。ここから100万円に値段を上げたとしても商品の質の上昇量としては微々たるものである。その微妙な差を区別できるのはワインに精通しているものだけとなる。

お正月に家族で、100万円のワインと1万円のワインを目隠しで飲み比べてどっちが100万円のワインか芸能人が当てる番組を見るかもしれない。この番組は一流芸能人であれば美味しいワインを当然知っているはずだというような趣旨であるが、実は「1万円以上のワインは普通の人にとってはどれも同じ味だよね」という物事の本質をついていたのであった。


ということで破産の話に進む。一度に大金を手にしたものはお金を使って豊かな生活を営みたいはずだ。美味しいお肉を食べたらもっと美味しい肉を食べてみたいと思う。良い自動車を買ったらもっと良い自動車に乗りたいと思う。

商品の質と値段が比例するのであれば破産はしない。比例するのであれば高級ワインといっても数万円で頭打ちになるし、軽自動車が80万円なのであれば高級スポーツカーといっても400万円程度でなんとか収まってしまいそうなものである。だが実情は値段は指数関数的に上がるのでお金は思っている数倍は必要になるのである。

こうしてお金持ちは知らず知らずに大金を使い果たしてしまうということになるのである。

いやいや途中でこの金額高すぎね?って気が付いて自制すると思うでしょう。私は大金を持っていないのでなんとでも言えるが、多分、価格の不当な上昇に気が付かない、あるいは気が付いているけど諦めているというのが正しいのだろう。高額な商品であればあるほど商品の質とはかけ離れた高額になるのであるが、その価格帯で生活するとお金の価値が下がっていくことになるのである。

5000万円の自動車と1億円の自動車はおそらくその商品から得られる体験の差は微々たるものだろう。こんなこと言ったら怒られるかもしれないが、でもその微々たる差を購入するために5000万円が必要なのは間違いない。

すると、5000万円とはこの微々たる変化を味わうのに必要なお金ということになる。このような思考が前提にあると、100万円で何ができるの?というような感覚に陥ってしまう。こうしてお金の価値が下がっていくのだ。


じゃあお金持ちの皆さんのために、大金を持っても破産しないようにするにはどうしたらいいかということになるが、生活の質を上げることに警戒をすべきということに落ち着く。とはいえお金を持っているのに生活の質あげないのはおかしいと思うのは当然である。

私が提案したいのは生活の質を段階的に上げることだと思う。無段階に上げると上限のない無限インフレに突入するため、自分の資産の持続可能性を見極めつつ、段階的に可能な範囲で支出を上げていくという手法が大事である。


こんな自分に関係ない話を。。と思うかもしれない。だがこれは資産形成において節約の大切さを物語っているのである。節約といえば切り詰めてカツカツな生活をすることと思うがそうではない。身も蓋もない話だが、節約は資産形成を始めた頃の効果はそれなりで、ある程度資産が貯まったアッパーマス、準富裕層以上で極めて大事な概念になっていくという話でした。

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