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演出の妙を感じ取りたい ラブガン2023

演出・主演で半分意識が飛んでるしんごさんにお誘い頂き、ラブガン2023を観劇させて頂きました。そんな状態でもお誘い頂くことに敬意を表して感想を書かせて頂きます。
(役名入りフライヤーを貰うのを失念してしまったため、一部後付けになります。)

あらすじ

自衛隊が国軍に?!外国で紛争に巻き込まれている日本人を救え!!
が、しかし、予算が削られ、救出に行けない・・・
副業が禁止されている中、隊員たちはあるアルバイトを遂行する。
そのアルバイトとは・・・
隊員たちの奮闘を描く美しきコメディー!!

http://www.airstudio.jp/airstudio/top_231115a.html

コメディだけど細かいところはしっかり

自衛隊が国軍となり、自給自足のためにおかまバーを経営する。いい歳した男たちが大真面目におかまバーを経営する姿だけでも面白いのですが、そのコンセプトゴリ押しで細かい演出が雑になることもしばしばあります。ですが、ちゃんと細かいお芝居がされている。そこに安心感を覚えました。バーで真面目な話をしている奥のカウンター、照明が当たっていない中でもアドリブに任せた無声芝居ではなく、ちゃんと優しい目、男として尊敬する目など、バックボーンがわかる暖かさがありました。もちろん、そのピンポイントだけを切り取ったら良いのですが、そこに至るまでもしっかりと真面目なキャラが描かれているのでとっても説得力があります。ドタバタしていてアホらしさがあっても、命令にはどんな相手でもちゃんと聞いており、武器を持つ相手には全力で取り上げにかかる。中隊長の気合い入れには理不尽であっても手を出さない。そういった染み付いた性質がちゃんと伏線として機能しているのはスッキリして好きだなーと思います。

ラストシーンで前のめりになれるか

ラストシーンは戦場に立つ7人。ギャグは一切なく、まさに死と隣り合わせの緊迫したシーンでした。あそこで、前のめりになって、緊張感を持てるかどうかはとても大事で、そのシーンだけ切り取ると大体の人はなんとなく悲しいとかそういう感情にはなると思うのですが、ただなんとなくのお涙頂戴シーンにならずにそこまでに7人の人間性がどれだけ積み重ねられたかが肝になると思います。9.5割ギャグでぶっ通しで最後だけ急にお涙頂戴をすると、なんというか安っぽいなあと思ってしまうタチなので。ちゃんと「死んで欲しくない」と思う根拠が見つかる作品でした。

弄りと皮肉の違い

個人的に気になった演出。藤岡弘、みたいな顔弄りをするシーンが何度か続いていましたが、前半はメタ的な弄り、後半は杉山への皮肉でした。後半は特に、自分の気持ちを吐露するまでの過程ですから唐突な「藤岡弘、」で笑いになってはダメ。そうなるためには、その前に擦りますくって「もう面白くないよそのメタないじり方」とお客さんに思わせることなのかなーと思いました。その意図があってなのか、自然となのか分かりませんが個人的にはそう受け取りました。そこが伝わらないと、変な笑い声が浮かんじゃうなーとも思います。その辺の意図はしんごさんに沢山お聞きしたいと思います。

無声芝居に注目して欲しい

個人的にはこう思いました。ドタバタコメディは放っておいてもメイン所は面白いし、面白い台詞回しはあります。ですが、例えばそのドタバタを俯瞰して見ている人の代弁者、前述のカウンターで見守ってる姿などはしっかりと人としての成り立ちを感じるものでした。最初は人とは思えないくらいの不器用さ(?)のある石川が、カウンターだとすごく素敵な女性(おかま)に見えたのはその最たる例ではないかなーと。また、反抗期真っ只中の娘の表情や秘密を知っている苦い顔、頑固オヤジを冷ややかな目で見ているところなどは個人的には好きでした。(それでもあの食事の時の儀式を律儀にやっているのは軍人の遺伝子によるものではないでしょうか)

エアスタ以外の人が観る世界もみたい

こじんまりとした空気感の良さもありつつ、普段の姿を知ってるありきな所もあって、もしも新しい風をバンバン入れるようなキャスティング、客層だったらまた違った演出にもなったのかなーと思います。普段観ない人目線だとお決まりのパフォーマンス以外も観たい部分はあるかなーと思います。(それは水戸黄門で印籠を出すなっていうもんなのでそれはそれで難しい)
まあその辺の是非は何が正解とは分からないので難しいですね。そのパフォーマンスが好きで来ているお客さんもいるので。

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