キャプチャ

独りで海を見たことがあるか

25歳の春にとった写真と詩には満たないようなつぶやきをまとめます。

誰かと一緒に海を眺めることを幸福と呼ばずしてなんと呼ぶのか

木の陰に座っていろんなことを考えた。研究のこともそうでないことも。
『風は最も柔らかい化石、太古から吹く物語』、そう書いてる本が手元にあった。風が吹いてた。遠くのひだまりでまどろむ幸福そうな恋人たちの姿がすごく愛しかった。
今日のこの一時間のことはきっと死ぬまで忘れない。

誰かの楽しそうな声が聞こえる。
若い恋人たちがひだまりの中で寝転がっている。
いつか彼らが離れ離れになるときが来ようとも、
それでもなお彼らには
誰かとこうやって春のあたたかい芝生の上で、
生きていることを祝福し合った思い出がある。

そんな思い出を持って生きていけることがどれだけ幸福なのか。
彼らがこの先の人生で悲しみに濡れる日、
この日の暖かい思い出がそっと手綱となって彼らをこの美しい世界にとどめますように。

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