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かぼちゃ好きな人

かぼちゃが好きだ。私は、かぼちゃが大好物である。

かぼちゃの醤油煮、かぼちゃのそぼろ煮、かぼちゃスープ、かぼちゃサラダ、かぼちゃのスイーツ、かぼちゃコロッケ、かぼちゃのいとこ煮、かぼちゃのパスタ、全部好きだが、一番好きなのは、塩だけでほくほくに煮たものか、蒸したままである。いろいろ調味したものも美味しいのだが、かぼちゃそのものの持つ素朴な甘さが好きだからである。

甘さも食感も好きで、食べる目安を最初に決めてお皿によそっておかないと、際限なく食べてしまう。ただ、美味しすぎるかぼちゃに出会った時には、それは効果がなくなる。4分の1カットなどあっという間に平らげる。

かぼちゃは夏野菜である。とても強くたくましい野菜で、土と光さえあればどこにでも根を下ろし、太陽の光を求めて這うように成長して葉を広げながら伸びて行く。そして、沢山の実をつけてくれる。収穫したてはまだ水分が多いので、あの甘味やほくほく感を出すには、風通しのいい涼しいところにしばらくの間置いておく。それを、追熟と言うそうだ。保存が効くので、慌てて食べきらなくても、ほしいときに保管している棚から持ち出せばいい。その見た目も、順に待っている感じが可愛くて好きなのだ。

濃い緑の皮に、果肉の発色したオレンジがよく映えて、彩りが食欲をそそる。緑黄色野菜の一つであり、栄養価は高い。少し調べただけでも、多く含まれる代表的な栄養素は、βカロチン(細胞の老化防止、免疫力UP、風邪予防等)、食物繊維、ビタミンB1(疲労回復等)、B2(健康な皮膚、髪、爪をつくる等)、C(美肌効果、風邪予防等)、E(血行不良や冷え性改善等)、などである。

調べておいてなんだが、栄養価のことを知らなくても、かぼちゃという野菜とはこれからもずっとお付き合いしていくし、かぼちゃのない人生は考えられないくらいである。

いつからそんなにかぼちゃ好きになったのかは、わからない。とても硬い野菜である。もしかしたら、包丁で切る野菜の中で一番かもしれない。切るのもそれなりに力が要る。まるまる一個に包丁を入れようと思ったら、体重をかけて力を入れないと無理だし、気合いも入る。一度、力の入れる方向を誤り、かなり深く指を切ったこともある。それでも、嫌になるどころか、毎年夏の終わりから出回るかぼちゃを必ず心待ちにしているし、一口大に切る時のメキメキとした音を聞きながら、美味しいかどうかを楽しみにしている。

時々、とんでもなく美味しくないかぼちゃに出会う。そんな時は、何口かは確かめる。まるまる一個がそうだった場合はとりあえず落ち込む。しかし、味に妥協はせず、かつあきらめず、食べ方を変えるのだ。

食感が少し水っぽかったり、そこまで甘くなかった場合には、マヨネーズで和えて、塩胡椒して様子をみる。胡椒は粗挽きの方が、より香りでメリハリがつく。これで割と多くのかぼちゃは乗り切れる。しかしそれでも青くさかったり、あのマヨネーズでも手が追えないほど味がないかぼちゃの場合は、もう栄養素だけをいただく。炒めた玉ねぎとコンソメ、牛乳に助けてもらって、スープにする。ごめん栄養だけなんて身も蓋もないこと言って、でも無駄にはしない、ほぼコンソメ味だっていいよね、だって、あのままは不味いんだもん…というかぼちゃへの一連の気持ちを感じながら。

幸運にも今日は、塩で煮た甘いかぼちゃを食べられた。美味しすぎて、ご飯を食べ終えた後、明日にとっておいた分を、何の迷いもなく追加で蒸し始めていた。


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