さな

エッセイと詩など この星にいるあいだに 書いています

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あくぬき〔詩〕

蒸気が立ち上る 視野の袖引かれるままに 誰かいるのと首をやる 爽やかに匂う湯気 身で皮で吸い上げた水で そらへの照明は齧られて歩き 包みは転がって行くんだと なにごともなかったように

    • たけのこの皮のおやつ

      4月も後半になり、そろそろ春の暖かさに体が慣れてきた。起きがけの布団の心地よさでそこから出たくなくなる時期も過ぎたことを知ると、あれもある種の旬だったのだと思う。 今日は小雨の中、道の駅へ買い出しに行った。 定休日の翌日で、新鮮な作物が並べられている。苺、ワサビ菜、わらび、ほうれん草、葱など。 何を買おうかと、足元のコンテナにゴロゴロ入った筍に目が留まる。 長さは30センチ以上、黒々としてずっしり重そうに見えた。採れたて特有の湿気を帯びて存在感がある。 筍のあく抜きを炊

      • かぼちゃとわたとどんぐり〔詩〕

        かぼちゃとわたとどんぐり 種の照りに発芽を夢見る土 透明になってもちぎれずに おじぎとならともにいれる むごんこぼれるまるごと感

        • 育む〔詩〕

          ぎんいろにうねる 眩しい足跡を追った 大画面のやわらかさを じきにひび割れ堰切る粒子 鏡となって迎える最後列 混ぜ込み湖畔育む空色帽子

        あくぬき〔詩〕

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        記事

          ゆたかなページ〔詩〕

          あなたからなんだよ こんなにも豊かなページ捲れる わすれていた写真は動かせないね ほんものだよ あったんだよ みせたくなったよ みせたくなるよあなた産み出したんだもの みせたくなるっていう細胞膜のあかりまでも かるい青空を自在にぐるり逆上がり 雨上がりにぴったりな着地音

          ゆたかなページ〔詩〕

          いにしえ〔詩〕

          かつてはぬくいなみのように いるだけでみとめあえたのかもしれない たびじにあまいこきゅうふくんだころも かりてかえすわっかのさそうねむけ

          いにしえ〔詩〕

          けちゃっぷ〔詩〕

          はんじゅくたまごのオムライスまで あまずっぱくぬるくする あんなにまっかでひんやりなの あたためたらそれはそれで あじがぼやけてピンとこないわ こいあじはいつもどこかぬるい おちたらなかなかいろあせない

          けちゃっぷ〔詩〕

          とろ風〔詩〕

          窓をあけた気がしたんだ 内が外になる微温い春のお通り とびでないわけにはいかなくて ゆびにもすきまふんわりあって 蒸気どうしころころ立っていたんだ

          とろ風〔詩〕

          短〔詩〕

          ぞろぞろ ビーズかぞえたら ぽたぽた しずくひとおもい さらさら こんこん そばだてて  ふるふる つぶつぶ みじかすぎて しゅくふくのこどう あわだてて いっしょうのながさ ふきけして

          短〔詩〕

          もやし〔詩〕

          もやしだけどもやしじゃない もやしだけじゃない ゆらぎうちけしたり ガイダンスきたいしたり わらわれても けんぶつされても せめられなくても  みられなくても このなかにはやした ねのはりは それだけじゃないおはなしだらけ いまからだいずにそらをまきます かえりみちはもやしととびたいから

          もやし〔詩〕

          やわさ〔詩〕

          こずるいやわさ そらにくいこむほど むきたくて ゆきだるまころがったもっと ゆきどけのおんどしらなくて うなるいんせきふさいだみち おおうなばらのせいしが ちぎりえのとちゅう まどべやわらかに ぜっこうするくらい さしでふぶきたい

          やわさ〔詩〕

          カラスノエンドウの天ぷら

          あたたかい風を感じられるようになった。どこからともなく白鷺がやって来て田んぼの畔に佇む姿に、春だなと感じる。 晴れ間に蝶が喜んで舞い、散歩道には瑠璃唐草の青い花びらが眩しく、ナズナもいつの間にか大きくなって風にふるえている。 最近、身近な野草の事を詳しく知りたくなり、図書館でポケットサイズの野草図鑑や野草の料理本を借りた。 持ち重りのする本を片手に散歩するのは借り物を落としたらと多少気が引けたので、気になる草花一つ二つを記憶して家に戻り図鑑で確かめた。 そしてさらに野草

          カラスノエンドウの天ぷら

          一息〔詩〕

          癖の一瞬だれのもの いま選ぶのは いまわからないのは いまはそれがぜんぶで 貪欲が諦めを攫い 愚直な軟膏の香り一息 いますべてを産み創る強欲 スパークルたらしめる 虚無のそらを用意しすぎた 質問者は融解音 愉快この葉の身

          一息〔詩〕

          判断

          大臣の発表 納税は判断できる 公の根城 全党お仲間 国会無視の閣議決定イリュージョン 眠りこけた振りで黙る司法買われたの 裕福な脱税者の宣う 納税お願い 更なる増税 改憲加速  海の向こうへ億や兆 ポッケへ運ぶ紙の軽い重さ どれだけの個性 感情 命を 何に使いましたか シンプル大泥棒 信用さようなら 主権は庶民 納税は判断できる

          おめがね〔詩〕

          亀の足跡もにじむ眼鏡ぶら提げて さらさらと粒から粒なぞりながら 肌をたより手を放したら短さを決めます 覆いつくす金属を引力と見紛いませんよう 文字に忍んだ人工衛生をその度数で解体し 匂い立つきょうだいとはにかんでいますよう

          おめがね〔詩〕

          住人勢〔詩〕

          閉ざした扉で仮住まい レールに呼び込む養分と世間話 人類生活たらしめる泡のソード 数字に詳しい清さはすきですか 名無しの風雨は期待値ですぎですか 擬態抱く渾身の住人

          住人勢〔詩〕