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厨房とカフェ研究のはなし|なみなみをつくる#3

工事プランを詰めていく時の大きな要素がキッチンで、厨房の広さやレイアウトを割と早めに確定させなくてはいけなかった。
でも決めるためには、まずどんな厨房機器や什器を入れるかを決めなきゃで、またそれを決めるにはメニューを決めなくてはならなった。
ちゃんとした食事を出すなら火力の強いガス台が必要だし、例えば揚げ物をするならフライヤー、生ビールならサーバーなど、出すメニューによって入れるものが変わるし、広さの制限もある。

喫茶のメニューとして出したいもの、出すべきもの、出来ること出来ないことなどを整理していったのと、そもそも他のカフェはどんなふうにしているのか?を知るため、カフェ研究と題して改めていろんなお店をめぐって勉強してみることにした。
好きなお店はたくさんあるが、どんな食器を使っていたかすら全然思い出せず、あそこのあれがおいしい、くらいな記憶で。ましてや厨房の中をどのようにしているかとかは全く未知の領域だった。

メニューの内容や価格をはじめ、グラスやカップ、食器、ストローや砂糖のほか、カトラリーとナプキンの出し方など、細かい部分を研究。好きなお店から行ってみたかったお店、ふらっと入ったお店でも意識して見てメモをとったり。
トーストひとつとってもパンの大きさや枚数、付け合わせの内容や有無、カッティングも違うし、チーズトーストといってもチーズの種類から、中にミートソースを忍ばせているお店なんかもあり、様々。
そもそも喫茶店、カフェ、コーヒースタンドと、スタイルもいろいろ。
短期間で20店舗くらいで飲食して、自分たちならこれが良いかも?というのを確認しながらすり合わせていった。

メニューについては、もともと出したいコーヒーなどがあったので、そこを中心にドリンクやデザート、トーストなど、メニューの大枠を決め、必要な厨房設備・調理器具を詰めていった。また、今後やってみたいメニューや、間借りをしてもらうことなども想定して、最初はそんなに使わないが、ある程度の調理には対応できるもので揃えることにした。ちなみに機器の単価で大きかったのは、冷蔵ショーケース、製氷機、引き違い戸の冷蔵庫(いずれも中古品)の順だった。冷蔵ショーケースには、自家製のチーズケーキや、ラベルが特徴的なクラフトビールなども並べる予定。

お店をつくることを公開してから、知り合いのカフェ・飲食店の方々に会うたびに「何かできることがあったら言ってね」と気にかけてもらえ、とてもありがたかった。
そんななかでも特にmusica hall cafeヒルニネルでは、初期の何が分からないかも分からない状態の頃から、厨房の設備はもちろん作業動線についても気さくに教えてもらえ、そして具体的な話以外にも10年以上続けてきたお店ならではのエピソードや、限られたスペースで様々なメニューに対応していることなど、興味深いことがとても多かった。
厨房機器メーカーさん、デザイナーの山本龍さんにもそれぞれの知見でアドバイスをいただけたし、珈琲教室に通わせてもらった徳光珈琲さんには、教室のあとに実店舗で寸法や手元の広さの目安などまで細かく教えてもらえたことも本当に良かった。

最終プランは、コーヒー抽出作業の場と、その他の軽食デザート調理の場を分けること、コーヒーに関する作業の時間が長いので客席に背中を向けない配置であること、洗い物を下げてきたときの動線が重ならないようにすること、などに考慮して確定させた。

厨房のプランを決めるにあたり、メニューや、細かくは機器の消費電力、想定している置き場まで、それぞれいつ頃までに決めなければならないという期限に沿って考えられたのでスムーズに進んだのかなと思うのと、今後の展開も具体的に考える機会になった。

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