見出し画像

二人の部屋の冬色【詩】

窓辺に 紅いシクラメン

外は雪解け まばらな白 

ランプ中には

ブルーのろうそく

玄関口のパキラの緑

昨夜壊れた目覚まし時計

少しはがれた白い壁

ばらけた欠片をなんとか

透明のテープでつなぎとめた

透明な水を飲む

透明な涙が流れる

乾くと白い痕になる

バルコニーの白い雪だるま

だんだんと透明に溶けて

輪郭をなくしてゆく

夕暮れ時 シクラメンは

赤オレンジに輝く

水たまりの氷も輝く

オレンジ色に黒い瞳も茜色

透明の冷たい風は

黒髪揺らして赤く火照った頬を撫でる

「どうやってあなたに謝ろう」

日暮れ近く

オレンジの外灯が残った雪を美しく染める

「さあ どうやって、あなたに 謝ろうか」

この白い雪を踏みしめて

買い物に行く

晩御飯は何にしようか

あたたかく白い湯気の出る

お鍋にしよう

あなたの眼鏡を

白く曇らせてしまおう

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?