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どこの国でもネコはあざとい

 ネコというお方は、なんでこんなに可愛いのか。東南アジアのとある路地裏。ゴロニャンとすり寄ってきて、下に置いてたわたしのバックを陣取って、立ち往生させてしまう罪なやつ。

 紐のところがお気に入りのようで、ちっともどいてくれない。リュックが背負えないではないか。ご機嫌を伺いながら、そっと退けようとすると、シャッ、と前足を一閃。嗚呼、右手から血が。。

 きっと私の右手の傷には、異国の得体の知れない病原菌が注入されたことでしょう。なんか小さく腫れている。破傷風は仕事で海外出張のときに予防接種したけれど、それ以外なら死ねる。でもまだ死にたくない。

 そんなことはさておき、そこを退いていただいてよいでしょうか、おネコさま。


 あ、どいてくださるのですね。

 ありがたき幸せ。

 さて、喫茶店に向かいます。

 ふう。

 落ち着く。

 と思っていたら、先ほどのおネコさま、わたしの後ろをついてきてらして、隣の席に着座なされた。

 撫でろとのポージング。

 かわいい。

 こちとら手から血が出てるのに、その憎しみをもってしてなおカワイイ。

 撫でますよ。

 お撫ですればよろしいのでしょ?

 お腹をなでなでナデナデ。

 アゴの下もなでなでナデナデ。

 ゴロゴロゴロゴロ。

 ご機嫌のご様子。


そしてこの顔である。

かわいい。あざとい。


血は止まったが、腫れてきている。東南アジアの片隅。お猫さまの爪に潜む病原菌の恐怖と戦いながら、せっせとおネコさまのアゴを撫でる。

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