禁断の果実／3個入り198円

    息子の頭に林檎を乗せて弓で射抜く、境界性パーソナリティ人格障害野郎。窓から林檎の木を眺め、万有引力の法則を発見した、空想虚言癖味噌舐め小僧。蛇に唆されて全裸で林檎を頬張るメンヘラ女。

    林檎、林檎、あぁ、林檎。

    有史以前よりこの地に実を結んでいる禁断の果実は、近所のスーパーにて3個入り198円で販売されていた。

    今日はリンゴでも食べるか。

    大きな銀のフォークに紐を2本通して

    ブランコを作ろう 夜の公園で 

 
    焼きリンゴ投げますか 

    駄目だよ 駄目 食べ物で遊んじゃ駄目

    サーカス来るよ サーカス来るよ

    私は魚 ここは 海の中だから
    どれだけ泣いても誰にも気付かれないんだ 

 
    いつか 何処かへ 連れて行ってね
    約束しましょう 約束しましょう

    神様の色が黒だったら
十字路で魂と引き換えに悪魔と契約せずにすんだのか

    わからない わからない 世の中は
白と黒だけじゃなく 黄色もあるんだから

    良い林檎はよく糞の上に落ちる。

    なんて言葉があるらしい、才能を持った人は早死にする、みたいな意味らしいんだが、なんというか、無かったのか、違う言葉は。この語彙の足らなさ加減に、イノセントな視線を投げかけてくるペットに対して感じるような、苦しさに限りなく近い愛おしさを感じずにはいられない。人生で使う場面は無いだろうが、林檎、と聞けば、頭の隅でこの言葉を思い出してニヤニヤしているのが、何を隠そう、この私である。こんばんは。と同時におやすみなさい。

    今日は疲れたので、続きは夢の中で。

おやすみ。