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山の隙間

冬の跡 木々のざわめき 藤の花
木々の隙間を縫うような光は誇らしげ。
黄金に似たそれは緑葉を焦がして。
光の届かない薄暗いところでは
枯葉がからからと笑っている。
木の枝に絡まる藤の花は
淑やかに咲き、風が吹けば花を散らして
味気ないコンクリートを彩る。
枝は祈るように項垂れて
野にも山にも惑う人の行く先に
影を作って邪魔をしている。
ああ、光が照らすところばかり美しく、
影では亡霊や人がまぼしがって
枯葉の上で一様に頭を垂れる。
おお、頭を垂れる。

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