リターンの振れとは何か?

 RRs分析では、標準的に以下のような「リターンの振れ」を週足で表すグラフを公開しています。ここでは「リターンの振れグラフ」と表現することにします。通常の週足チャートとは少し違うのと、通常のチャートよりも投資に役立つ情報が取れるので、詳しく説明します。

下図の例を挙げて、グラフに出てくる言葉、数字が何を示すか、活用方法を説明します。

画像1

保有期間
 リターンの振れグラフは、保有期間を(例えば)1年に固定し、2019年1月4日に購入して1年保有したときのリターン、1月11日に購入して1保有したときのリターン、という感じで統計データを取っていきます。RRs分析では週足データを用いていますので、売却日ベースで1年分のデータを取る場合は52種類( 7日(1週)x52週 = 364日 ≒ 1年)となります。

 上の図、リターンの振れグラフでは、例えば2020/4頃に最高リターンが「92%」になっています。具体的には、2019/8/26の週に購入し、1年保有後の2020/8/24の週に売却した場合のリターンが92%という意味になります。このグラフの元データは以下のようになっています。

キャプチャ

キャプチャ2

 2020/4頃に最低リターンが「4%」になっています。具体的には、2019/4/1の週に購入し、1年保有後の2020/3/30の週に売却した場合のリターンが4%という意味になります。、

観測期間
 例えば「観測期間2年」とは、上記の表の買付日の始まりが2019/1/7の週で、その2年後の2020/12/28の週が最後の売却日となっており、その期間は2年ですので、それをもって観測期間2年と表現しています。

リターンの振れ
 株価は言うまでもなく、毎日上がったり下がったりしています。従って、1年を52週に分割した場合、52種類のリターン(%)が算出されます。これがリターンの振れです。(ありえない仮定ですが)もしも株価が必ず毎日0.1%ずつ上がっていくとしたら、1年あたり36.5%上がり、リターンの振れはゼロという事になります。

平均リターン
 例えば52種類のリターンがあったとしても、それの平均値をとることで、凡そ1年でどれぐらいのリターンがありそうなのかを推定できるようになります。下図の場合は、平均リターンは50%です。

平均

リターンの振れをどう表現するか?
 リターンの平均が分かったとしても、値動きの大きい銘柄であればリターンがマイナスになる可能性も高いです。このリターンの振れ、値動きの大きさを一つの数値にして分かり易くしたものが「リスク」です。

注意:ここでいうリスクとは未来の不確かさではなく、過去のリターンの振れの大きさで表します。

 リスクが大きいという場合は、リターンが大きく振れているという事になります。もっと端的に言えば、リスクの大きい銘柄は、高掴みする可能性が高いですよ、と言い換えることもできます。下図では、リスクの大きさは±29%と表現されています。プラス側のリスクは薄い緑色で、マイナス側のリスク範囲は、薄いオレンジ色で表現しています。

リスク

 なお、リスクは統計学の標準偏差の数値を使います。
  リスク=標準偏差
 上図のように、平均リターン50%でリスク(=標準偏差)29%の場合は、統計的には、リターンが21%から79%の範囲に収まる確率が68%となります。

  21%=平均50%-リスク29%
  79%=平均50%+リスク29%

統計学上、リターンが79%より多くなる確率は16%、リターンが21%より小さくなる確率は16%となります。

 リスクを2倍にして計算しなおすと、更に保守的な考え方が可能になります。

リスク29% x 2倍 = 58%

 統計学上、平均値50%に対して、リスクの2倍以上リターンが振れる確率は5%とされています。高い方にリターンが振れる確率は2.5%、低い方にリターンが振れる確率は2.5%となります。

平均リターン50%、リスク29%の場合
 リターンが108%以上になる確率、2.5%
 リターンが ー8%以下になる確率、2.5%

 108%=50%+29% x 2倍
  ー8%=50%-29% x 2倍

 RRs分析の場合、上記のような統計データを使わずともグラフを見れば実際のリターンの振れが分かるので便利です。上図の場合、実際の最低リターンは4%なので、リスクの2倍(ー8%)までは下がりませんでした。最高リターンも94%と、リスクの2倍までは届きせんでした。

 上図では保有期間1年のグラフですが、1年ごとの保有期間を分析しており、RRs分析の場合は最大で保有15年(観測期間30年)もの長期でのリターンを分析しています。一般には保有期間が長くなると、リターンがリスクを上回りやすくなります。そうすると、

 「この銘柄は3年保有すればリターンがマイナスになる可能性は低いな」

という見立てを建てることが出来るようになるというわけです。

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