悩める未完の大器

信用が持てないというか平たく言うと正体不明が1番当たっていると思えるのが阪神の佐藤輝だ。21日の中日戦の7回右翼席ぎりぎりだったが3ランで試合を決めた。ところが1日置いて移動、横浜でのDeNA戦、23日は三振、三振、中飛、3塁ファールフライ、三振。24日は三振、三振、三振、三振だ。

 長距離打者には三振は避けられないが今年4年目の佐藤は長距離打者とは言えない。1年目こそバットの芯に当たればフェンスを越した。3年目の昨年もそういう状態だったが今年は違う。打球が飛ばない。現時点で3ホーマーというのがそれを物語るがその3本もスタンドの前部に入ったものだ。

 この佐藤について大山の同点打で勢いづき逆転勝ちした24日のDeNA戦の後の会見で岡田監督は「同点打は大山の意地」と聞かれると「それでええやん。意地でも1本出る方がいいやん。出えへんものもおるのやから」と答えた。佐藤を指しているのはすぐわかった。

 ところで21日の中日戦で上記3ランを打った佐藤は22日横浜に移動する前、大阪府内の施設に近大1年時からの練習パートナー柔道整復師のTさんを訪ねた。「もう実家みたいな場所ですね。これだけ自分の打撃の事を理解して教えてもらえる場所もないので凄く有り難いです」と佐藤。 T氏とのバットを持ってのやり取り「16日の巨人戦ではインコースはこう見えていた」という佐藤にT氏「だったらこうしょう」と長短の木の棒を用いて体のチェックをした。

 この間1時間、佐藤は汗だくだった。そうして臨んだ翌日からの横浜でのDeNAとの2試合は9打数7三振。岡田監督は24日の試合後、同点打を打った大山と比較して「意地でも1本出る方がええのや。出えへんものもおるのやから」と暗に咎めた。

 とりようによっては球団の方針に逆らう選手はどう扱えばいいのか。それが原因になっているとは言えないが佐藤は状態が一定しない。打撃フォームがそうで良い形で打っていたのがある日ころっと変わる。なぜそうなるか本人にもわからない。コーチが熱心に指導しているという話も聞かない。そこにTさんに助けを求めるしかない佐藤がいる。

 飛距離も落ちてきた。今のままでは大器、未完に終わる。

令和6年4月26日

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