野球は無差別

ヤクルトの球界最年長、44歳4ヶ月の左腕石川雅規投手が2日の楽天戦で今季初勝利を記録、平成14年青山学院大から入団以来23年連続勝ち星を上げ、これまでの最長あの米田哲也投手の22年を抜いた。

 米田は昭和31年、阪急(現オリックス)での初勝利がスタート。鳥取の境港高出で最初阪神に入団するはずだったが、阪急にかわった。身長が1m67と球界で1番低い石川に対し米田は異名がガソリンタンク、身長も体重も石川をはるかに超えた。

 200勝を達成、プロ野球名球会のメンバーに入った米田が野球教室で石川の生地秋田を訪れた時当地で生まれ小学生だった石川は教えを受け「体は小さいが良い投げ方をしている。野球は体の大きさは関係ないから頑張れ」と言われている。

 体が小さいのは今もってついて回っているが、石川はそれをハンデと思った事は1度も無い。小さいのを努力の励みにした。昨年オフには40歳以降急速に低下してきた体の出力を上げるためスクワット180kg、デッドリフトは170kgとこれまでにない重さでトレーニングをした。「石川雅規はまだここにいるという姿を見せたいんだよ」といって歯を食いしばっての挑戦するところは見ていて鬼気迫った。

 こうした努力に幸運の神は報いた。先発が役目の石川は5回をリードして投げ終えないと勝利投手になれない。23年連勝勝利を記録した2日の楽天戦は今季4度目の先発だったが過去3度は5回までに降板している。2日の楽天戦それを始めて越えたところで試合前から降っていた雨が強くなり5回コールドゲームになりヤクルトがそれまで4点取りリードしていたため5回4安打、楽天を0に抑えた石川に完封で勝ち星がついた。

 石川の秋田の実家に「石川雅規ルーム」という書庫があってそこに父昭芳さんが収集した新聞のスクラップが並んでいる。「野球は無差別」という信念の集積でオフに帰省のさい石川はそこに入り次の年の思いを新たにしている。

令和6年6月4日

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