一陽来福

キャンプ中、佐藤輝が打撃練習で豪快な当たりを飛ばしてもいい顔しなかった阪神岡田監督が打ち上げ前日の26日「守備はようなったよ。バッティングにもプラスになったと思うよ」と褒めたのに続き打ち上げの27日も「いやいや、守備がうまなったよな。特守が良かったと思うよ、俺は。下(下半身主導)で打てるようになるし、打つ方にも絶対プラスになってると思うよ」と上機嫌で語った。

 岡田監督の言う特守とは一人がノックの打球を追う練習で佐藤はキャンプ中にそれを8度実行した。26日も行った。全体での練習メニューを終え熊谷と2人で3塁の守備位置についたのが午後2時30分。そこから約1時間で計191球のノックを受けた。最後は「二人で20球連続ミス無しで終了」とノッカーの馬場コーチ。ところが佐藤2度ミスして振り出しに。1度目は倒れこみ、2度目は座りこんだが心は折れなかった。

 8度の特守。515時間を費やし受けたノックの数は1000本を軽く超えた。中で白眉は鳥谷敬臨時コーチの指導。始めの1日は相棒と二人でノックを受けたが翌日2軍での指導を終え戻ってきた3日目鳥谷氏とマンツーマン。3塁ベースの10m前で小さな椅子に腰を下ろし、転がす球を佐藤は前進してとり1塁へ送球した。捕球の際の足の運びの練習だ。この練習、最初から予定に組まれていたのか岡田監督の要請で組み入れられたのかは分からないが約100分の特訓が佐藤のボールさばきを格段にあげた。

 「守備がな」という岡田監督の評価が変わってきたのはこれ以降だ。打ち上げの27日のべた褒めにつながるが、繋がるといえば監督が守備、守備を繰り返したのは守備練習を繰り返すと下半身が鍛えられそれが打撃の向向上に繋がるという事からでそれも見事に繋がった。その点も監督は「あんまり変な空振り無いもんな。実戦の中で特守効果ってのは絶対プラスになってるよ」紅白戦を含めた実戦6試合、18打数9安打、打率5割、本塁打2、打点4がそれを裏付けた。

 もっとも佐藤は昨年暮れ単独で渡米米国の動体解析の施設に飛び込み数値をみて体の回転を重視、前で球をとらえる打撃フォームにかえた。それが強くなった下半身と連動したのも見逃せない。繋がりまくっている今。佐藤は「守備で考える事が減ればバッティングに良い影響がでる。後1ヶ月、しっかり練習して開幕を迎えたい」と言っている。今年の目標は本塁打40本、打点100だ。

令和6年2月29日

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