経営者の評価は浮き沈みが激しい

イランで現地採用され、社長に成り上がるや、米原子力事業を6400億円で買った男は、いつ、どこで、何を、どう、間違え、東芝を “奈落の底”に突き落としたのか。
大宅賞作家が第15代東芝社長、西田厚聰の肉声を交えながら描いた企業崩壊ドキュメント。

上記のサイトより

東大での思想研究から外務省職員を経て東芝とイラン政府の合弁会社で現地採用され、その後、PCで実績を上げて東芝の社長になり、東芝解体の一因となったウエスチングハウス買収を推し進めた人物。東芝という会社でも、こういう人が成り上がることがあったというのは1つの歴史として、本になるという意味でも価値がある。
西田氏のキャリアを丁寧にたどり、亡くなる直前に長時間のインタビューも実施している。そのインタビューの中でも、西田氏へ色々と突っ込むし、全体的に政治思想や思い込みも少なく、真面目に作られた一冊である。
一番面白かったのは、イランの合弁会社に入った理由をどうしても教えない点と東芝の経営者としてまずやりたかったことは半導体への投資と本人が言った点。原子力の方はその次というような言い方をしていて、これは本人の中でもウエスチングハウス買収が黒歴史として記憶を改竄しているのか、あるいは、本心なのかはもうわからない。
そして、現役時は選択と集中を実現した名経営者として名を馳せたものの、その後、会社が解体されて首の皮一枚で生き残っているという状態になった時に、その戦犯の一人として挙げられてしまうあたり、経営者への評価というのは当てにならないと思う、ほんとに。

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